「タレントマネジメントシステム」とは?
「タレントマネジメントシステム」は個人情報、スキル、経験値などの社員情報をデータ化し、一元管理するシステムです。
必要となる情報を集約し、マネジメントを効率化することで、人材の適正配置、人材育成など人事戦略が可能となります。
タレントマネジメントシステムを利用すれば評価や採用、配置を行う際に、担当者の主観や周囲からの評価だけでなく、システム上のデータから判断するので、より正確な情報をもとに判断ができます。
少子高齢化による労働人口の減少、働き方改革の影響によりタレントマネジメントシステムが注目されるようになりました。
従来の人材マネジメントでは、終身雇用制や年功序列制の影響が大きく「より優秀な人材を登用できない」「適材適所の人材配置を行えない」などの課題が多くありました。
このような課題解決のために、タレントマネジメントシステムの導入・活用が多くの企業で始まっています。
「タレントマネジメントシステム」にはどのようなタイプがある?
タレントマネジメントシステムは4タイプに分けられます。
- 評価業務支援タイプ:評価業務を自動化・効率化したい
- 目標管理支援タイプ:人材開発・育成を効果的に実施したい
- 人材活用支援タイプ:先着的な人材配置を行いたい
- 多目的タイプ:離職防止に役立てたい/一連の工程(評価・育成・活用)を効率化したい
導入目的・優先させたい事項によって選美ましょう。優先度がつけられない場合は、多目的タイプがおすすめです。
「タレントマネジメントシステム」の選び方は?
続いては「タイムマネジメントシステム」の選び方をご紹介します。
- 料金
- システムの設定・連携
- サポート体制
料金は初期費用やランニングコストなど。システムや従業員数によってコストは月数千円〜数百万円まで様々です。
導入する上で、タレントマネジメントシステムによって設定の難易度やかかる時間が異なります。また、すでに利用しているシステムとの連携ができるかどうかも選ぶ際のポイントになるでしょう。
導入してからどのようなサポートがあるかも重要になってきます。また電話・メール・チャット対応しているのか、導入後のサポートにかかる費用などもチェックしておきましょう。
「タレントマネジメントシステム」比較検討時の注意点は?
タレントマネジメントシステムを比較検討する際の注意点は以下の2つです。
- 導入の目的が明確か
- 現場の意見を採用しているか
「なぜ導入するのか」「導入後どのように活用していきたいのか」を比較前に明確にしておく必要があります。曖昧なまま導入してしまうと「余計な業務が増えた」「何に役立っているのか不明」「導入後の効果がわかりづらい」と思われてしまい、従業員のモチベーション低下につながる可能性があります。
タレントマネジメントシステムを導入する際は、人事担当者の都合だけでなく、現場の従業員の意見にも配慮しましょう。システム導入時、人事担当者からの一方的な押し付けになるのは避けなければなりません。
企業や部署によって求められる機能が違うので、標準モデルがあっても細部は企業ごとに調整する必要があります。
主要な「タレントマネジメントシステム」の一覧
ここからは主要なタレントマネジメントシステムを、サービス内容や対象者、費用などと併せて3つご紹介します。
「カオナビ」(株式会社カオナビ)
多目的型タイプの「カオナビ」は、名前の通り従業員の顔写真を見ながら人事戦略を考えられるシステムです。
また、目標管理や360度評価など、企業にあった評価制度を運用できる「評価ワークフロー」機能があるので、効率的な評価運用が可能です。
【おすすめ対象者】
・顔と名前を一致させながら人事評価・人事戦略を考えたい企業
・後から追加項目や設定の変更を行いたい企業
【主要機能】
無料機能:人材データベース、社員リスト、組織ツリー図、評価ワークフロー、社員アンケート、配置バランス図、社員データグラフなど
オプリョン:適性検査、人材採用アシストなど
【特徴】
・顔写真で直感的に人材を把握し、人事部門だけでなく現場マネジメントでも使える画面
・従業員を部署・評価テーブル・年代など様々な切り口からマトリックス表示させ、自由に並び替えられるため「どう配置するのが最適か」などイメージをふくらませやすい。
・社員のスキルだけでなく、キャラクターやモチベーションまでを集約管理できる
【料金】
データベースプラン、スタンダードプラン、プロフェッショナルプラン:要問い合わせ
【無料プラン・無償トライアル】
あり
【サポート内容】
・導入時サポート(セミナーの開催、導入時・導入後の進捗確認会)
・豊富なサポートツール(スタートガイド動画、サポートサイトなど)
・メール・電話対応のサポートデスク
・他社との交流ができるユーザーコミュニティ(セミナーの開催など)
「HRBrain」(株式会社Donuts)
人事評価からタレントマネジメントシステムまでカバーできるクラウドサービス「HRBrain」も多目的タイプです。
目的やニーズに合わせて細かい設定ができるので、ベンチャー企業から大企業、飲食、流通など様々な業態の企業が導入されています。
【おすすめ対象者】
・様々な人材データをクラウドで一元管理したい企業
・評価プロセスを透明化したい企業
【主要機能】
・人材データを一元管理
・人事評価の集計作業が完全自動化
・組織図ツリー
・組織分析
・アンケート機能
【特徴】
・人事業務全般をクラウドサービスとしてフォロー
・ベンチャー企業から大企業まで幅広い導入実績あり
・情報公開範囲の設定、人材管理データのカスタマイズ可能
【料金】
月額69,800円〜 ※利用人数に応じて変動
【無料プラン・無償トライアル】
あり
【サポート内容】
専任のカスタマーサクセス担当が付き、課題の解決徹底サポートを行う。
システム導入時の設定サポート、目標管理・人事評価のアドバイス・運用サポートまで
「HRMOS」(株式会社HRBrain)
人材活用支援タイプの「HRMOS」は、顔写真付きの組織図が特徴のタレントマネジメントシステムです。従業員の入社時から異動履歴や組織図の変遷など、現在だけでなく過去までの情報が管理可能です。また、Slackなど他の勤怠管理サービスとの字従業員情報の自動連携もできます。
【おすすめ対象者】
・過去から現在までの移動・組織図の履歴を把握したい企業
・ユーザーインターフェースで情報整理を行いたい企業
【主要機能】
・従業員データベース
・評価管理
・1on1支援
・組織診断サーベイ
【特徴】
・ユーザーインターフェースで必要な情報がすぐに閲覧可能
・リモートワークや働き方改革など「環境変化に対応する組織づくり」を実現
【料金】
データベースプラン、スタンダードプラン、プロフェッショナルプラン:要問い合わせ
【無料プラン・無償トライアル】
あり
【サポート内容】
・サービス導入後、3ヶ月間の専任サポート
・期間問わず問い合わせ可能なサポートデスク
・目標設定と定期的な振り返りの提案
「タレントマネジメントシステム」導入のメリット、デメリットは?
ここからは「タレントマネジメントシステム」の導入にはどのようなメリット・デメリットトを説明します。
「タレントマネジメントシステム」導入のメリット
タレントマネジメントシステム導入のメリットは3つあります。
- 戦略的な人材育成・配置が可能
- 従業員のモチベーション向上
- 人事業務の効率化
タレントマネジメントシステムを利用すると従業員を客観的・総合的に評価できます。従来の評価制度では上司の主観やイメージにより評価されることが多く、従業員本来の能力を把握しづらいという問題がありました。しかしタレントマネジメントシステムでは偏った判断ではなく総合的なデータをもとに判断されるため、従業員の能力に合わせた人事配置や育成が可能になり、より高いパフォーマンスを引き出す効果が期待できます。
隠れた才能を持った人材が発掘できたりするので、全体的な生産性が向上するのです。
システムの導入でデータが透明化し評価基準が明確になるため、従業員は「適切に評価されている」と感じやすくなります。
Excelや紙など様々な状態で管理されていた人事データを一括管理することで、業務の簡素化・効率化が期待できます。
人事部門のスタッフが煩雑な事務作業に追われることが減り、先着的な人材マネジメントに集中できるでしょう。
「タレントマネジメントシステム」導入のデメリット
タレントマネジメントシステムを導入する際のデメリットは以下の3つです。
- コストがかかる
- 慣れるまで時間がかかる
- システムを使いこなせない可能性がある
タレントマネジメントシステムはシステムによって幅広いコストがかかります。
使える機能が多かったり、複雑なシステムになるほど高くなるため、自社がどんな機能を求めるのかを検討して、システムを選定する必要があります。
また、導入時以外の運用でもコストがかかることをお忘れなく。
実際に利用する上司や従業員が慣れるまで、時間がかかるのもデメリットの1つ。
従業員の協力なくして導入や運営はできません。そのため、導入前に必要性や目的、効果を正しく説明し、理解してもらう必要があります。
目的以上のサービスが多すぎると、扱いが難しくなったりコストが高くなります。
導入時に目的を明確にし、目的にあった手法やサービスを導入するようにしましょう。
慣れていない人や低予算の場合は、機能がシンプルなタレントマネジメントシステムがおすすめです。
まとめ
タレントマネジメントシステムは、人事部門の業務工数削減だけでなく、従業員の評価を一元管理できるシステムです。上司や周囲からの評価だけでなく、データ化された評価で総合判断できるので、個人のスキルや状況に応じた最適な人材配置を行うことが可能です。
機能やコストはシステムによって様々です。
自社の求める性能や費用などを考えた上で、タレントマネジメントシステムの比較検討を行いましょう。