「ETLツール」とは?
ETLツールとは組織内に混在しているデジタルデータを抽出・収集して、目的に合わせて変換・加工し、適切な保管先に有効データとして保存するツールのことです。
ETLツールのETLとはExtract(切り抜く)・Transform(変身)・Load(載せる)の頭文字を取ったもので、ローデータを使用可能な情報に変換してくれるため一般的にはDWH(データウェアハウス)にデータを保管する前に利用することが多いです。
データベースにデータを保管するには一定の形式で整理してデータを保管しなければなりませんが、形式をCSVファイルやWMA形式など多様な形式で保存していたとします。
形式がバラバラだと一度データの形式を統一にする必要がありますが、1つ1つのファイルの形式を変換していては業務効率が悪く、全てのデータの変換が終了するまでに膨大な時間を費やしてしまいます。
そういった際にETLツールを利用すると、多様な形式のデータを「一定の形式に統一して保存する」という処理を指導で行ってくれます。
データの保管先であるDWHには形式を統一する機能は搭載されていないので、膨大なデータを保管する際にはETLツールが必要不可欠となっています。
「ETLツール」にはどのようなタイプがある?
ETLツールは多くのサービスが提供されていますが、主に「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つのタイプに分かれています。クラウド型とオンプレミス型の大きな違いは、どのサーバーを経由してETLツールを利用するかという点です。
クラウド型のETLツールは、ソフトウェアの提供会社が構築する仮想サーバーを経由してツールに接続します。その新しいサーバーを開設する必要はなく、利用者は月額利用料を支払うだけで簡単にETLツールを導入できるメリットがあります。
また、クラウド型はインターネット環境があれば24時間いつでもツールにアクセス可能で、サーバー開設は不要だからコストを抑えてサービスを利用したい企業から人気があります。
クラウド型のデメリットとしては大衆向けのサーバーを利用しているから、利用者の要望に合わせて機能のカスタマイズや操作画面・デザインの修正ができないという点が挙げられます。
オンプレミス型はクラウド型と異なり、自社専用のサーバー(ハードウェアとソフトウェア)を新しく開設してETLツールにアクセスします。そのため、月額利用料金とは別にサーバー開設のための初期費用が発生し、トータルコストが高くなる傾向にあります。
しかし、専用のサーバーを使ってアクセスするから外部からの不正アクセスなどのサイバー攻撃を受けるリスクが低く、自社の用途に合わせて機能やデザインを自由にカスタマイズできるというメリットがあります。
オンプレミス型はシステムのアップデートやメンテナンス作業などの運用・構築を自社で整備する必要があるので、プログラミングの知識が豊富な従業員が在籍していなければオンプレミス型での運用は難しいでしょう。
既存システムと連携させてETLツールを利用したい方や、高いセキュリティ性を求める方はオンプレミス型がオススメです。
「ETLツール」の選び方は?
ETLツールを選ぶポイントは「データ変換にかかる時間」や「接続タイプ」を軸として選ぶことをオススメします。
ETLツールは組織の中で混在したデータの形式を揃える役割を担っているので、1番の目的であるデータ変換にかかる時間を参考にツールを選定するとストレスなくツールを利用することができます。
デモ利用や無料体験期間が設けられている場合は、実際にETLツールを使用してデータ変換にかかる時間を時間しておきましょう。
接続タイプはクラウド型とオンプレミス型があることをお伝えしましたが、運用方法に合わせて最適な接続タイプを選びましょう。
企業の情報データを変換するために膨大な量のデータをアップロードするので、情報漏えい対策として外部からの不正アクセスを受けにくいオンプレミス型を選ぶのも1つの手です。
「ETLツール」比較検討時の注意点は?
ETLツールを導入する際の比較検討時の注意点は「契約可能期間を確認しておくこと」です。
ETLツールには月額利用料を支払ってソフトの利用を行う、サブスクリプションタイプのツールが多いので、スポット的にツールの利用を行いたい場合には何ヶ月単位で契約できるかを確認しておきましょう。
年に数回しかツールを使用しないという企業は、1ヶ月単位で契約できるETLツールを導入するとコストが抑えられてお得です。
主要な「ETLツール」の一覧
「trocco」(株式会社primeNumber)
おすすめ対象者
データ変換や加工を自動で行いたい方、クラウド型のETLツールを求める企業、サポート体制の整っているツールを求める企業、基板整備を0から行いたい企業
主要機能
転送元/転送先コネクタ、データマート(ELT)、ワークフロー機能、自動スキーマ追従、テンプレートETL、Git連携・コードレビュー、メタデータ管理、チーム機能、監査ログ、SLA/インフラカスタマイズ、オプション機能追加
特徴
初期費用不要で低コストで導入可能、チャットサポート体制完備、最短5分で本番デプロイ、約100種類の連携先、ISO27001(ISMS)準拠
費用
ライトプラン:月額料金10万円 ※総転送時間無料枠の目安:250h/月
スタンダードプラン:月額料金30万円 ※※総転送時間無料枠の目安:1,250h/月
エンタープライズプラン:カスタム価格(料金は応相談につき個別見積り)
そのほかMySQL・PostgreSQL・SQL Server・SaaS系などオプション追加サービスあり
無料プラン、無償トライアルの有無
無料プランなし、無償トライアルあり(14日間)
サポートの有無
サポートあり(専任の担当者による運用サポート、チャットサポート、電話・メール対応)
「ASTERIA Warp」(アステリア株式会社)
おすすめ対象者
業務を自動化して業務効率をアップしたい企業、人為的なミスを減らしたい企業、分かりやすい操作性を求める企業
主要機能
業務自動化(RPA)、データ連携基盤(EAI)、クラウド連携、データ統合基盤(ETL)、高速開発・内製化、Excel連携・PDF連携
特徴
9,500社以上の企業での導入実績、ノーコード環境で構築期間を短縮、簡単に使える業務自動化ツール、システム間のデータ連携、国内No1のシェア
費用
ASTERIA Warp Core:月額利用料金30,000円~
ASTERIA Warp Core+:月額利用料金60,000円~
ASTERIA Warp Standard:別途見積取得
ASTERIA Warp Enterprise:別途見積取得
無料プラン、無償トライアルの有無
無料プランなし、無償トライアルあり(30日間の無料体験)
サポートの有無
サポートあり(カスタマーサポート、電話・メール対応、オンライン相談窓口)
「kintone(キントーン)」(サイボウズ株式会社)
おすすめ対象者
バラバラの情報を1つにまとめたい企業、情報の見える化で組織の意識を高めたい企業、業務効率をアップしたい企業、使いやすさを求める方
主要機能
データを蓄積・一覧・検索、チャット機能、案件管理、問い合わせ管理、タスク管理、レポート機能、データの統合
特徴
20,000社以上の導入実績、場所や時間を気にせず利用できる、機能、チャットでコミュニケーションが取りやすい、不正アクセスを防ぐ、人為的なミスの軽減
費用
スタンダードコース/初期費用:無料、月額1,500円(1ユーザー)
ライトコース/初期費用:無料、月額780円(1ユーザー)
無料プラン、無償トライアルの有無
無料プランなし、無償トライアルあり(30日間の無料体験)
サポートの有無
サポートの有無(製品の導入から運用までサポート、電話・メール対応、カスタマー相談、セミナー開催)
「ETLツール」導入のメリット、デメリット
ETLツールを導入するメリット・デメリットについてお話していきます。
ETLツールを導入するメリットは次のようなものが挙げられます。
- データの統合が自動でできる
- 人為的なミスの削減
- 業務効率アップ
ETLツールは自動でデータを変換して統合してくれるので、変換時の時間を削減できて作業効率がアップします。また、システムが自動で変換処理の作業を行ってくれるので、人為的なミスは発生するリスクもありません。
ETLツールを導入するデメリットは特にありませんでしたが、統一したいデータが少量の場合は割高になってしまう可能性があります。自動でデータが少量の場合は手動でデータ変換した方が低コストに抑えられるケースも考えられます。 変換したいデータ量とETLツールの導入にかかる費用を吟味してツールを導入するようにしましょう。