再生可能エネルギーとは?定義や例、それぞれの特徴も解説

資源エネルギー庁が2022年10月に公表した報告では、「再生可能エネルギーの世界の導入状況」は次のようになっています。

  1. 世界の再生可能エネルギー発電設備の容量(ストック)は2015年に約2,000GW程度まで増加し、最も容量の大きい電源となった。
  2. その後も、引き続き再生可能エネルギー発電設備の容量は増加しており、2020年には、約3,000GW程度に達している。
  3. 特に先進諸国は再生可能エネルギーの導入に積極的で2017年段階の導入率は最も高いドイツで33.6%、最も低いフランスでも16.5%となっている。また、カナダは別格で再生可能エネルギー導入比率が65.7%に上り、その内訳は水力発電が58.5%、風力発電が4.7%になっている。
  4. 日本の場合は、導入比率が16.1%であるが、これから水力発電を除くと(地熱0.2%、バイオマス2.0%、風力0.6%、太陽光5.2%)となっている。

このような報告を読みますと、日本は再生可能エネルギーの導入が遅れており急ピッチで再エネ導入に取り組む必要がありますが、資源は無料でも課題が指摘されていますので、ここでは、「再生可能エネルギーとはどのようなものをいうのか、その定義や特徴も述べますので、是非役立ててください。SDGs(持続可能な開発目標)でも、地球温暖化防止対策とエネルギー問題を解決できる重要な対策の一つとして取り上げられておりますので、貴社が参加されると貴社の社会的評価の向上は確実です。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーは、「恒久的な利用が可能なエネルギー」と言います。「自然界に常に存在」しており、「化石燃料のように有限ではない」エネルギーです。

恒久的な利用が可能なエネルギー

ご存じの通り日本は資源の貧困国ですから、オイルショックと言われた1973年度のエネルギー自給率は9.2%でした。それでも東日本大震災前までは自給率が高まり19.6%まで向上しましたが震災後は再び低下して2016年度は8.4%になっております。最新の統計では2020年度で11.3%まで回復しているようです。

しかし、残念なことに2021年度の統計を見ますと「石油・石炭・LNG」のいわゆる化石燃料への依存度が83.2%に達しております。その他にこの統計では、再生エネ等が10%、水力3.6%、原子力3.2%となっています。 

自然界に常に存在する

「自然界に常に存在するもの」を利用できれば化石燃料を使う必要がないので、日本も胸を張って世界に地球の温暖化阻止に協力していると公言できます。

化石燃料のように有限ではない

しかも、常に日本にもある自然の資源を利用してエネルギー生産をすることができますので、化石燃料のように枯渇する心配もありません。

再生可能エネルギーの定義

再生可能エネルギーの定義の中には「尽きることがない」「地球上どこでも存在する」「CO2を増加させない」という条件が入っています。

尽きることがない

これまでに使われてきた日本のエネルギー源は大部分が「石炭・石油・LNGなどの天然ガス」ですので、輸入に依存している日本は常に輸出国の動向や資源の枯渇に左右される状態に置かれています。これに対して再生可能エネルギーは「尽きることがない」資源ですので、エネルギー源にすることで安定させることができます。

地球上どこでも存在

しかも「地球上どこでも存在」しますので、システムを作って利用できるようになれば、これまで味わってきたエネルギー源「小国」の悲哀を返上できます。

CO2を増加させない

再生エネルギーを利用する場合は、「CO2を増加させない」ことも定義の1つですから、そのようなシステムを構築できれば、日本も地球温暖化の要因を滅失させることができ、さらにそのシステムを輸出することで、温暖化防止に日本が果たしている役割の高さが国際的にも認知されると思われます。ただ、システム開発には多額な投資が必要なことと、現行の電気供給システムとどうマッチングさせていくのかなど解決が必要な課題が数多く存在します。

なお、再生可能エネルギーの根拠となる法律は、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)」ですので、一読することをお勧めします。

再生可能エネルギーの例

ご存じと思いますが、現時点で「再生可能エネルギー」とされているのは、次の7つです。

太陽光

「太陽光発電」は文字通り「太陽の光エネルギー」を利用したもので、最新の2020年度統計では、電源構成の割合で「8.9%」を占め、再生エネルギーのトップランナーです。

風力

「風力発電」は風車の回転エネルギーを利用するもので、電源構成の割合は「0.9%」で低位に留まっています。

水力

水力の利用は元もと日本のお家芸ですが、最近は大きなダムを建設できるような河川はありませんので、ダム水路式・揚水式など小型の発電所が建設されています。それでも電源構成の割合は7.8%を占めています。

地熱

日本は火山が多くそれに伴い温泉が各地に点在しますので「地熱」を利用した発電が可能ですが、発電設備開発に時間とコストがかかることや自然や地域産業を破壊する可能性があり、開発反対などの声もありますので利用が遅れており、電源構成の割合は僅か0.3%に留まっています。

太陽熱

再生可能エネルギーの1つである「太陽熱」は、太陽の熱を使って温水や温風を作り、給湯や冷暖房 に活用するものです。経産省の資源エネルギー庁の説明によりますと、

「集熱器とお湯を貯める部分が完全に分離しているものは「ソーラーシステム」、集熱器とお湯を貯める部分が一体となっているものは「太陽熱温水器」と呼ばれている。日本における販売台数は、現在太陽熱温水器が年に38,000台、ソーラーシステムが年に5,700台程度であるが、1980年頃にはそれぞれ現在の20倍、4倍程度導入されていた」

と述べています。近年はあまり市場が伸びていないようですが、イニシャルコストがかかることと設置される設備が高効率化していないことが原因のようです。近年は電気代等が高止まりの傾向がありますので、新たなシステム開発をして手ごろな価格で売り出せば、ブームになる可能性が十分あります。

大気中その他の熱

「大気中その他の熱」利用では、日本では例えば、地下水、河川水、下水などの水源を熱源としたエネルギーがあります。夏場は水温の方が温度が低く、冬場は水温の方が温度が高いことを利用して、水の持つ熱をヒートポンプを用いて利用しています。冷暖房など地域熱供給源として全国で広まりつつあるようです。(資源エネルギー庁のホームページを参照)

バイオマス

動植物などから生まれた生物資源の総称をバイオマスと言いますが、このバイオマスを直接燃焼したりガス化するなどして発電します。 光合成によりCO2を吸収して成長するバイオマス資源を燃料とした発電は「京都議定書【温暖化防止のための気候変動枠組条約締約国会議で取り決められた世界で初めての国際協定】」における取扱上、CO2を排出しないものとされています。従って燃焼することもできます。

おもな再生可能エネルギーの特徴

貴社が再生可能エネルギーを利用するお考えであれば、その特徴を知っておくと参考になると思いますので、取り上げてみます。「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」について特徴的なことを述べます。

太陽光

「太陽光」は先述しましたように再生可能エネルギーのトップランナーですが次のような特徴があります。

近年爆発的に増加

太陽光発電は近年爆発的に増加しておりますが、その大きな理由は研究を重ねた結果、製造コストが下がり性能は逆に向上したことです。また、国の施策でも太陽光発電を推進するために、「ソーラーシステム普及促進融資制度」が1980年度に設置されて、個人が住宅にソーラーシステムを設置する際、設置資金の融資が低利で受けられるようになったことや2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入されたことなどが爆発的増加につながっています。

設置コストが安い

資源エネルギー庁の調査では家庭用の場合、システム費用の平均値が2012年は46.5万円/KWでしたが、2021年の平均値は28.8万円/kWで約60%程度の値段になっています。それでも住宅用はパネル出力3〜5/kWで構成されることが多く、単純計算では総額86.4万円(3kW)〜144万円(5kW)程度になるようです。

これに対して、産業用太陽光発電の平均的な費用相場は、1kWあたり18~25万円程度のようです。このなかには、太陽光パネルやパワーコンディショナーのような機器の本体価格だけでなく、工事費や設置用の部材費、屋根・地面に架台をしっかりと固定する基礎工事なども含まれているようですので家庭用より割安です。また、産業用の場合は、発電した電力について「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」を選択できます。自社の屋根など空間を利用して設置し、自社が必要な電力は自前で供給し、余剰の分は電力会社に買い取ってもらうようにすると、温暖化防止に貢献している企業として評価されると思います。

天候に左右される

当たり前のことですが、太陽光発電ですから夜間は発電しません。曇りや雨でも大きな影響を受けます。中部電力の調査では、正午の発電量は、晴れの日が7MWを超えているのに対し、曇りの日は2MWほどしかなく、雨の日にいたっては1MWを下回っています。クリーンなエネルギーですが発電量が「天候に左右される」ことを知っておく必要があります。発電量と使用量のバランスが崩れると大規模停電の原因にもなります。

将来的な廃棄問題

また、太陽光発電に使われているパネルは、製品寿命が約25~30年とされています。そのため、FIT開始後に始まった太陽光発電事業は2040年頃には終了し、その際、太陽光発電設備から太陽光パネルを含む廃棄物が出ることが予想されています。製品によって使われている素材が異なっていますので、中には有害物質が使われている可能性があります。そのことを知って寿命が来た時にどのような処置をとるか決めておく必要があります。

風力

風力発電は「風のエネルギーを電気エネルギーに変える」もので夜間でも発電しますので太陽光発電より安定していますが、次のような特徴や課題があります。

強風の地域に建設

風車の羽(ブレード)が回らなければ発電できませんので、できるだけ強風の地域に建設する必要があります。日本の場合は、陸上であれば「新青山高原風力発電所」海上であれば「ウィンド・パワーかみす洋上風力発電所」などの先例がありますが、陸上の場合は特に設置場所の選定が難しいようで、適所が見当たらないといわれています。

さまざまな規模の風車が存在

「風車もさまざまな規模のものがありますが、「水平軸型」と「垂直軸型」の2つに大別されます。設置する場合は地形や環境条件等を調査して適切なものを選択する必要があります。

発電コストが安価

また、装置が簡単ですので発電コストは安価ですみます。しかし、2021年度の風力発電の発電電力量は、日本の総発電電力量の1%未満にとどまっています。しかも「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の統計では、2016年度末の時点での風力発電の設備容量は、中国が世界1位で1億6873万kW、2位のアメリカが8218kW、3位のドイツが5001万kWと突出しています。日本は336万kWで19位ですので、ビジネスチャンスと捉えて風力発電に投資することが望まれています。

期待される洋上風力発電

陸上では適地がないようですので「洋上風力発電に大きな期待」がよせられています。今後は洋上風力発電にフォーカスしてプロジェクトを立ち上げ計画を進め、技術者等の人材育成を図りながら参入していくことで他社に大きく水をあけることができる可能性があります。

水力

上述しましたように水力発電は電源構成の7.8%を占めていますので今後も無視できないクリーンなエネルギーです。

古来からエネルギーとして利用

「古来からエネルギーとして利用」している水力発電は、大きな河川を中心にダムが建設されて発電や河川の氾濫防止等に貢献してきました。そのため現在は大規模ダムを建設できる河川はほとんどありません。

近年は小規模水力が増加

そのため「近年は小規模水力発電が増加」しており、新しい水力発電方法がいくつか開発されています。

日本に適した発電方法

その中で最も日本に適した発電方法は「小水力発電所の設置」と思われます。

水を使った「流れ込み式」「水路式」の発電システムを設置できる場所は、基本的に落差と流量のあるところであれば場所を問わずに設置できるようになっています。一般の河川・貯水池から浄水場の落差を利用した上水道等コミュニティの中で十分調査して決定することができます。

潜在的なエネルギーが多い

一般社団法人Earth Companyの調査では、再生エネルギーとして使用できる未開発の水源が2021年3月の時点で2,660地点も存在していますので、水力発電として使える「潜在的なエネルギーは多い」と言うことができます。地域に自社店舗をお持ちでしたら、コミュニティを巻き込んでご検討されると地域貢献にもなります。

地熱

上述しましたように地熱についても電源構成比率が0.3%に留まる事態を改善していくことが求められております。

地中の熱でタービンを回転

「地中の熱でタービンを回転させ発電」させますので簡単にできるのではと思ってしまいますね。

火山国の日本では大きな期待

そのため火山国の日本では「0.3%の壁などすぐ超えることができるでしょう?」と思われる方が多いと思います。

開発にさまざまな問題

しかし、現実は「開発するに当たってさまざまな問題」が出ています。日本で地熱発電の普及が進まない理由として、「開発コストが高価である」「開発期間が10年を超える」「掘ってみないと地熱発電設備を設置できるか分からないリスクがある」などがネックになって事業者が手を出さない状況が続いています。

温泉地との共存

日本に住んでいますので出来れば温泉地との共存で温泉を楽しみながら電気も手に入れたいと思いますね。幸いなことに、資源エネルギー庁も地熱利用を促進するため

「長期間にわたる開発をサポートする費用の一部を補助する制度」や「時間にかかるコストを削減するための技術開発」に取り組んでいますので、その動向を注視してください。

バイオマス

前述しましたが、バイオマスは動植物に関連する有機物です。

動植物に関連する有機物

「動植物に関連する有機物」とは、1例をあげますと農林業関係でいえば「家畜排泄物、稲ワラ、その他の農作物の残滓、林地残材などが対象になります。

農林業との連携

このため農林水産省の仲介で農林業者との連携が必要です。

木質系

「木質系」で分類すると「林地残材・製材廃材・建築廃材」などが対象になります。

廃棄物系

廃棄物系で分類すると「家畜排せつ物・牛豚糞尿・生ごみ」などが対象になります。これらは大雑把な分類ですので、実際に稼働しているバイオマス活用施設名を下記に掲げておきます。参考にしてください。

  1. グリーン発電大分(出力5,700kW)
  2. くずまき高原牧場 畜ふんバイオマスシステム(出力37kW)
  3. 豊橋市 バイオマス利活用センター(出力 ガス発電機1,000kW×1基)
  4. コープこうべ 廃棄物処理施設(出力60kW)
  5. 京浜バイオマス発電所(出力4.9万kW)
  6. 真庭バイオマス発電所(出力10,296kW)

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