IP電話とはインターネット回線を用いた電話のことを指します。通常、固定電話の電話番号は「固定電話+市外局番+加入者番号」で構成されますが、IP電話は「050」の番号からなる電話番号です。
固定電話との大きな違いは電話料金が安くなることです。固定電話は市外局番で距離を判断し、距離に応じて値段が高くなります。つまり、東京都から北海道に固定電話から電話を掛ける時と、北海道から沖縄に電話を掛ける場合では後者の方が通話料金は高くなります。
IP電話はインターネット回線を用いた050で始まる番号を発行するため、距離に関係なく電話料金を低価格で利用することができます。さらに同じプロバイダの電話番号に電話を掛ける場合の通話料は無料となります。
発信場所に関係なくどこから電話を掛けても「050」で通知されるので、発信先を特定されることはありません。しかし、電話番号内の番号でIP電話事業者を示すため、どの電話事業者と契約しているのかは番号により特定できます。
「IP電話」にはどのようなタイプがある?
IP電話は多くの電話事業者がサービスを提供していますが、回線の種類は「光回線・高速モバイル通信・CATV・ADSL」の4つに分かれています。
光回線は光ファイバーを利用してデータを送受信する電話回線です。インターネット回線を利用するので速い通信速度でデータを送受信できます。光回線は電磁波の影響を受けないため、安定した環境で通話が可能です。
ブロードバンド回線を利用する企業の多くが自社のインターネット接続に光回線を利用しているため、インターネット回線の主流であると言えます。
高速モバイル通信は4GやLTEなどの携帯電話会社が提供する回線を利用して、無線で利用できるIP電話回線のことを指します。そのほか持ち運び可能なモバイルルータを経由して無線通信を行うものもあります。
高速モバイル通信は導入時の工事が不要で出先でも利用できるので、すぐに導入できて気軽に利用できる手軽さが人気で普及が広がっています。
しかし、都心部から離れた電波状況の悪いエリアでは回線が不安定になってしまうというデメリットもあります。
CATVはケーブルテレビの回線を使うIP電話回線です。回線には工事が必要で、一般企業にはケーブルテレビが設置されていないことも多く、企業にはあまり普及されていない傾向にあります。
ADSLは固定電話回線の高周波帯域を使うIP電話回線のことです。アナログ電話回線を収容しているのはNTTで、そこからの距離が遠くなると通信速度が遅くなります。また、データの受信スピードが早く、送信時は通信速度が遅くなる傾向にあります。
ADSLは2024年3月末に廃止予定なので、今後利用者が増えることは少ないでしょう。
「IP電話」の選び方は?
IP電話を選ぶポイントは「コストパフォーマンス」や「機能」を軸として選ぶことをオススメします。
固定電話からIP電話に移行する大きなメリットとして、コストを抑えられるという点が挙げられます。事業者によって時間あたりの通話料が異なりますので、コストパフォーマンスが高いサービスを選びましょう。
コストパフォーマンスの高いIP電話を選ぶには、必要な機能をリストアップしておくことが大切です。豊富な機能が搭載されていても実際に使うのは通話のみである場合などには通話のみのシンプルな機能で低価格のIP電話も提供されています。
「IP電話」比較検討時の注意点は?
IP電話を導入する際の比較検討時の注意点は「電話事業者によって音声品質が異なる」と言う点です。
IP電話は電話事業者によって音声品質が異なるため、総務省により、音声品質によって「A・B・C」の3つにランク分けされています。
音声品質の高いIP電話回線を導入したい場合はこのランクに注意して、高ランクのIP電話を選ぶようにしましょう。
主要な「IP電話」の一覧
「モバイルチョイス」(楽天コミュニケーションズ株式会社)
おすすめ対象者
通話料を気にせず電話したい方、音質の良い電話を利用したい方、スマホの使い分けが面倒な方、1台のスマホで使い分けを行いたい企業、簡単な操作性を求める企業
主要機能
通話機能、メールやCRM機能との連携
特徴
スマホ1台で仕事とプライベートを使い分け、初期費用0円、4キャリアすべてに対応、携帯電話に関わるコストを大幅削減、携帯端末の購入費・月々の基本料金不要、導入実績3万社以上
費用
ベーシックプラン(着信先固定プラン):初期費用0円、月額基本料0円+通話料
アドバンスプラン(折返し着信先を変更できるプラン):初期費用500円/1番号、月額基本料380円/番号+通話料
無料プランの有無
無料プランなし、無償トライアルなし
サポートの有無
サポートあり(カスタマーサービスによる電話・メール対応)
「トビラフォンcloud」(トビラシステムズ株式会社)
おすすめ対象者
コストを抑えてIP電話を導入したい企業、テレワークを導入している企業、部署やチームごとに電話番号の紐付けをしたい企業、簡単に導入したい方
主要機能
留守電・留守録、着信時の呼び出し先を最適化、部署・チームごとの番号の紐付け、着信履歴のメモ・ラベル管理、音声で自動応答(IVR)、ダッシュボードで一元管理、通話の自動録音
特徴
アプリを入れるだけで個人のスマホがそのまま使える、ユーザー数1,300万人突破、契約期間の縛りなし、管理画面でらくらく設定、申し込みはWebで完結、最短翌営業日に開通、迷惑電話を自動ブロック、移転時の手続き不要
費用
初期費用無料、1セット月額利用料3,300円(税込)
※セット内容:外線電話番号数1番号、外線同時通話数2ch、内線番号数(利用端末数)2番号
無料プランの有無
無料プランなし、無償トライアルあり(期間未記載)
サポートの有無
サポートあり(カスタマーサービスによる電話・メール対応)
「zoomphone」(Zoomビデオコミュニケーションズ)
おすすめ対象者
豊富な機能が搭載されたIP電話を使いたい企業、Zoomと連携させてIP電話を利用したい企業、柔軟性の高いIP電話アプリを利用したい方
主要機能
通話機能、Zoomモバイルアプリ、Zoomデスクトップアプリ、通話転送、自動転送、ボイスメール機能、通話レコーディング、通話ブロック機能、代理通話機能、保留、電話会議、モニタリング、ささやき音声、共有回線
特徴
シンプルな操作性で分かりやすい、海外対応、安全性の高いセキュリティ、200万台以上の契約
費用
グローバルセレクトプラン:$20/month-user
プロPBX従量制:$8/month-user
Zoomユナイテッドとグローバルセレクト:$30/month-user
無料プランの有無
無料プランあり、無料オンデマンドコースあり
サポートの有無
サポートあり(メール・電話対応、ウェビナーやイベント開催、カスタマーサポート)
「IP電話」導入のメリット、デメリット
IP電話を導入するメリット・デメリットについてお話していきます。
IP電話を導入するメリットは次のようなものが挙げられます。
- 電話料金が安くなる
- スマートフォンの使い分けが不要
- 工事不要で気軽に導入可能
- 発信地が相手に分からない
距離と電話時間で料が決まる固定電話と通話料金が低価格で一定なIP電話を比較すると、IP電話を選ぶと通話料金が削減できるメリットがあります。
インターネット回線を用いているから回線導入時の工事が不要で、お手持ちのスマートフォンにアプリをインストールするだけだから簡単に導入できます。
また、これまで仕事用のスマートフォンと使用のスマートフォンの使い分けが面倒だったという方は、1台のスマートフォンでビジネス用と私用が完結できるので、スマートフォンの使い分けが不要となります。
さらに、電話の発信地が分からないという点はき企業にとってメリットになることがあります。
例えば、東京の企業に電話を掛ける時、大阪からの市外局番の「06」から電話がかかってくうと不審に思われてしまうリスクもあります。また営業会社によっては全国対応と謳っていても市外局番が異なれば、遠方から訪問すること知られてしまいます。
IP電話の「050」が表紙されると発信地が不明なので、相手方に不審に思われることもありません。
IP電話を導入するデメリットは「回線が不安定になる可能性がある」という点です。
提供する電話事業者の回線によっては電波が不安定あになり、音質が悪くなってしまう可能性もあるのでデメリットと言えるでしょう。