アクティブラーニングとは?その効果やメリット、デメリットを解説します。

アクティブ・ラーニングとは

生徒が自分から考えて学習すること。通常は教員(教師)が講義をおこない、生徒が受け身となり学ぶスタイルです。

対して生徒が能動的に学ぶ学習法であり、さまざまな能力を育むのが目的になります。

ビジネス現場の人材育成手法にアクティブ・ラーニングを活用できないか検討されている方も多いでしょう。

当記事では一般的な教師・学生を対象にした説明をします。人材育成における教育者と育成対象者に読み替えていただいても十分活用できる内容になっています。

アクティブ・ラーニングを必要とする背景

背景には【次世代の人材育成】があり、文部科学省のテーマにも挙げられています。

これからの変化の激しい時代で、自ら考えて学び、そして行動へ移す人材が求められているからです。未来の社会で活躍する人材育成に、アクティブラーニングは欠かせないと考えられています。

アクティブ・ラーニングの効果

主に次の3点に効果があるとされています。

①学びに向かう力・人間性

学ぶことに対し能動的姿勢を取れる、自らの感情や行動を統制する力の成長が期待されます。

その上で他を尊重したり、思いやりを持つ人間性を育てるのが狙いです。

②個別の知識・技能の向上

過去に身に着けた知識や技能にプラスして、アクティブラーニングで得た知識をリンクさせます。学びを定着させ、体系化することで社会に出て活躍できることが狙いです。

③思考力・判断力・表現力

生徒同士で学びあうことで、さまざまな問題を解決する思考力を伸ばします。

その中で問題の方向性を決めたり、判断や意思決定する力を育てること。

自分の考えを相手に伝える表現力も成長させます。

アクティブ・ラーニングを構成する3つの学び方

生涯にわたり能動的な学びを続けてゆくためには、どのような学習例があるでしょうか。

①主体的学び②対話的学び③深い学びの3つの視点から考えてみましょう。

①主体的な学び

常に自分の学習生活を振り返り、次回に生かすことが求められます。

学びを楽しみ、興味をもつ。自分のキャリア形成に見通しを立てて向き合いながら継続してゆく姿勢が軸となります。【キャリア パスポート】などを作り、常に自分を見つめて振り返りつつ進んでゆきます。

②対話的な学び

さまざまな人との出会いや対話を通じて、自分の考えや視野を広げること。対話から考えて学びを得ることが目的となります。

例えば社会見学や実習などで話をしたり、生徒同士でディスカッションしたりで考えを深めてゆきます。

③深い学び

様々な思いや考え方をもとに、創造してゆく【深い学び】ができるか。たくさんの学びの過程で相互理解をしつつ、情報を整理して考え、問題から解決を導いてゆく。深い理解と学びが求められます。そのうえで広い視野と思考力を育むのが目的となるでしょう。

アクティブ・ラーニングの代表的な手法

Think-Pair-Share

クラスやグループでの討論をする時の手法です。

互いに意見交換をしつつ、自分の考え方を深めてゆく手法となります。

【流れ】

①教員によるテーマ選定。

②個別でのシンキング(思考)。

③2人1組での意見交換やまとめあげをおこなう。

④最終的に4~6人グループで、③の内容を紹介する。

ラウンド・ロビン

意見やアイデアを順番に話してゆく手法です。1グループを4~6人で形成します。

意見は次々と話してゆき、あえて途中で質問や評価をせずに進行させるのが特徴です。

講義の内容は記録して、次回の課題に使用します。

【流れ】

①教員によるテーマ選定。

②教員が、素早く意見やアイデアを出すことを指示。質問や評価はしない。

③記録者を決めて記録。この流れを何度か廻して意見交換をしてゆく。

ピア・レスポンス

作文を書いたあと、グループ同士で見せ合ってコメントをしあう手法です。

お互いに添削し、推敲しあい分析することで文章力を伸ばすのが狙いです。

【流れ】

①2人1組のペアを組む。

②お互いに作文のアウトライン(設計図・あらまし)を説明しあう。

③お互いに良い点・改善すべき点を確認しあう。

④最後に③の意見をもとに文章を改善しあう。

ジグソー法

進め方として、学習者同士が教えあいながら学びを深めてゆく手法です。

アメリカで提唱されたもので、白人、黒人が互いに協力することを狙ったと言われています。

自分視点ではなく、さらに他者の視点から学びなおせる。より深い学びを得られるのがこの手法の狙いです。

【流れ】

①4~6人のグループを作る。

②教員からのテーマ選び。細分化して学習内容を伝達。

③グループ内で各担当を決めて、各々が(専門家グループ)を形成。

④各々が分かれて学び、他者にわかりやすい説明方法を思考する。

⑤分かれた専門家グループが再度集まって、互いの学びを教えあう。

PBL(問題解決型学習)

自らが問題を取り上げ、解決に向かって学ぶ手法です。

大人の世界では日常的に対応していますが、子どもは経験が乏しい。

問題を解決に導くには、知識が必要不可欠となります。

嫌でも学ばなければ答えは出せません。そこで学び、問題解決に生かしてゆくのが狙いです。

【流れ】

①グループに分かれて、課題に基づき解決策を話し合うのが目的。

②必要な資料や文献を自発的に集め、調査する。

③教室でディスカッションするものと、民間企業や地域の現場にて調査するものがある。

アクティブ・ラーニング導入の問題点

メリットの多いアクティブラーニングですが、問題点はあるのでしょうか。

授業の進行が遅れる

授業では答えにたどり着くまでを経験させねばならず、答えを教えるよりも時間が掛かる。また生徒主体の進め方になるため、まとめ役の生徒によっては、課題がその時間で終了しないこともあるかもしれません。

教師の実力に依存する

教師が授業のスタイルを決めることが難しくなります。

ある意味、授業のやり方に正解がないため、教師の実力で差が生じてきます。

教師には課題の決め方、議論や会議をスムースに進行する力が求められます。

学習に個人差が生じる

生徒から能動的に取り組むことは、得意不得意が浮き彫りになるのを意味します。

全ての生徒にやる気があること、知識が一定であることなども条件となるでしょう。

そして話すことや自分の意見を述べることが苦手な生徒も。

理解力にも個人差があると、学習の成果に差が生まれることになります。

アクティブ・ラーニングの取り組み例

アクティブラーニングでの取り組み方は、従来のものとは大きく異なります。

【受動的】な教員からの講義ではなく、【能動的】に自らの行動で起こす学習。

基点が異なるので、取り組みも大きく違ってきます。

小学校での取り組み

例えば科目別に挙げてみましょう。

【算数では生徒が迷う場を作る】

単一の解答に絞らないための質問を投げたり、互いに意見を出し合うなど。

【国語ならば常にお互いの意見交換をする】

説得力を上げる文章を書くために共通点を探しあいます。

【英語なら身近に感じあう】

英語の歌を取り上げて、耳で覚える。またお互いにクイズを出し合うなど。

中学校での取り組み

アウトプット作業が授業の主体です。意見の共有、グループ討論、学習の記録、そして教師とのやり取り。インプット作業がなく、全て能動的なワークなります。

高等学校での取り組み

あるテーマで意見交換しあう授業があり、その【テーマ選び】も生徒たちでおこないます。議論も大切ですが、まず【自ら課題を選ぶ能力】を養うのです。常に何が必要か?を考える習慣をつけさせます。

まとめ

教師を中心に授業を展開し、生徒が受け手になるのが通常の学習ですが、対して生徒自ら授業を考え、学びをするアクティブラーニングは画期的と言えます。

さまざまなメリットもありますが、デメリットもあるのも事実。取り組みは素晴らしく、将来に役立つ学びであり、これからも発展してゆくことでしょう。個性豊かな人材が生まれることを願います。


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