コーポレート・ガバナンスとは・・・
「社外の管理者が企業経営を監視する仕組みのこと」です。
その目的は「企業が組織ぐるみで不祥事をおこなわせない」。
ポイントは企業の監視を、あえて社外の取締役や監査役がおこなうことです。
これは企業の不祥事を防ぎ価値を高め、株主や利害関係者(ステークホルダー)の利益を最大に上げることを目的とします。
日本語では「企業統治」と訳されます。企業を監視、統制するものだからです。
常に企業の経営において、公正な判断や運用がされることを目的とします。
経営の監視
企業において、経営の監視や統制をおこなうのが主な業務となります。
政府も取り組みを強化
企業が継続できる経済成長を促すには、コーポレートガバナンスは欠かせません。
そのため、政府も取り組みを強化しています。
会社は株主のものという理念に基づく
企業が利益を上げる目的は、まず【株主】のためが一番に挙げられます。
株主に利益を還元
企業は利益を上げて株主からの信頼を得る。
公正かつ透明な経営をおこなうことで、さらに関係が盤石になります。
コーポレートガバナンスを強化すれば、会社の経営はより円滑になるでしょう。
ステークホルダーの権利を重視
株主のみならず、ステークホルダーとの関係も重要です。
経営陣はステークホルダーの権利を尊重すれば、コーポレートガバナンスを機能させやすくなることでしょう。
コーポレート・ガバナンスの目的
コーポレートガバナンスの目指すものは
【社会責任を果たすこと】【企業価値を持続すること】です。
そんなコーポレートガバナンスの目的は以下の3点になります。
①企業の不正を防ぐ
企業情報で非常に重要なのは、経営戦略や課題、財務状況やリスクマネジメント。
そこで以下の点が求められます。
企業情報の透明化・・・情報の透明性を確保し、適切に情報開示すること。
株主への説明責任の遂行・・・利害関係者へは説明責任を果たすこと。
企業は株主の意見を誠意をもって聞くこと。
そして、より分かりやすく株主へ説明をすることが求められます。
②企業価値の向上
しっかりとしたコーポレートガバナンスがあれば、企業価値が高まり、社会的にも認められることになります。
市場競争力の強化
企業価値が高まれば資金調達がやりやすくなり、メリットも多くなります。
その結果、競争力が促進されてさらなる企業の成長を促すでしょう。
社会的価値の向上
法律や規則、倫理を守れる企業は社会からも認められてゆきます。
社会的に評価されれば、認知度向上にもなるでしょう。
以降社会的価値の向上により、企業の存続に高い効果が得られます。
③株主の信頼獲得
少数株主でも平等性を確保
企業の株主が少数の場合、平等性が確保されない傾向があります。
コーポレートガバナンスでは全ての株主に平等に接することが求められます。
企業と株主の双方の利益を追求
株主の理解を得るには、常に株主の求めるものに耳を傾けて、分かりやすく説明できることが求められます。
コーポレート・ガバナンスの効果
それではコーポレートガバナンスの効果について挙げてみましょう。
経営陣の暴走の阻止
バブル経済崩壊後には、企業の組織ぐるみで不正が多く発生し、信頼が損なわれました。このため、企業が経営を適切に監視するためにコーポレートガバナンスは重要です。
不適切な企業内ルールの排除
企業独自の偏ったルールは、社会的にも良くない影響を及ぼす恐れもあります。
コーポレートガバナンスが介入することで、不適切なルールは排除させます。
不正による経営悪化を防ぐ
不正での信頼の失墜は、企業イメージを大きく悪化させます。
さらには経営悪化も免れないでしょう。
そうならないようにコーポレートガバナンスが不可欠と言えます。
健全な経営の実現
利益一辺倒ではない社会のニーズに合った提供をするのが重要です。
それには社会から求められる方法で運用されること。
また需要に見合った商品やサービスを消費者へ提供するのが必要です。
コーポレートガバナンスは利益だけでない、社会に寄り添えるあり方を目指すために必要なのです。
社会に認められる企業へ
常に組織のビジョンが組織全体で共有されているかが大切です。
【公共の機関】としての企業であるには、社会に認められるだけでなく、長期的に安定した経営を続けてゆくべきです。
従業員の全員が【企業価値】を作り出す意識を持つ。
コーポレートガバナンスを整備すれば、企業理念を外れない集団を形成できます。
長期的な企業価値の向上
企業への信頼を高めるには、ステークホルダーや株主に対し、権利と利益を保護することが重要です。
継続すれば企業価値の向上が見込めます。
グローバル化に対応
企業価値が向上すれば、当然成長をもたらします。
大きく成長することで、国際的な進出にもつながることでしょう。
融資も受けやすくなる
信頼が高まると、金融機関からの融資も受けやすくなるメリットもあります。
コーポレート・ガバナンスの具体的な方法
コーポレートガバナンスを強化する方法は、以下の5点があります。
①内部統制を強化する
内部統制を機能させることがコーポレートガバナンスの強化に欠かせません。
情報開示には透明性をもたせ、財務状況を都度報告することが求められます。
・監視体制の整備
適切な監視体制を整備して、日々の業務に違反や背任行為がないようにします。
・不正を未然に防ぐ
監視体制を機能させて維持すれば、社内不正やリスクを未然に防止できます。
結果、コーポレートガバナンスを維持するベースとなるのです。
②社外取締役・監査役を置く
経営陣の不正を正すには、以下のポイントが求められます。
・第三者的な視点の導入
第三者による監視体制が効果的です。社外取締役や監査役に監視を一任します。
・委員会の設置
構成メンバーは社外取締役にします。
重要な役割を担う、ステークホルダー代弁者となってもらいます。
委員会には監査委員会、報酬委員会や指名委員会などがあります。
③執行役員制度を導入する
日本と欧米を比較すると、社外取締役が少なく機能していないとされています。
企業の内部監査が不十分と言われる中、多くの企業で執行役員制度が導入されています。
・取締役とは別の役員
業務執行の責任や権限を持つ執行役員は、取締役とは別に選ばれます。
・企業の管理体制の強化
執行役員と取締役を分けることで、管理体制の強化を図れます。
④従業員の意識改革を行う
株主や社外だけではなく、従業員自身の考えや方向性を変えることも大切です。
・社内の判断基準の明確化
業務遂行や意思決定で必要なのは、社内の判断基準が明確にされることです。
周知徹底すれば、従業員の意識を変えて、さらには企業価値をも向上させます。
・行動規範や倫理憲章の作成
社内判断の明確化として取るべき方策です。
具体的には、行動規範や倫理憲章の作成があてはまります。
⑤CEO不参加の取締役会を実施する
CEOは経営の意思決定において、非常に責任のある重要な立場です。
何事にも最後の意見に影響をもたらすからです。
・CEOのワンマン化を防ぐ
あえてCEOを出さない取締役会を開催する。
自由で偏らない意見を出せるので、クリーンな意思決定が可能になります。
・企業の透明性の強化
CEO不参加の特徴は他にもあります。
客観的かつ適切な意思決定のもと、企業の透明性が強化できる手段と言えます。