サードパーティーとは?意味と関連業界、使用例も解説

やっとコロナの状況がいくらか落ちついてきて2022年4月の新卒者の入社式は対面式とリモート式が半々位と言われています。

近年の新卒者はITやビデオゲームなどに慣れているので心配することはなさそうですが、それでも先輩から「サードパーティー対策を協議するので出席してくれ」と言われるとあまり馴染みのない言葉なので戸惑うと思います。

そこでここでは「サードパーティー」について取り上げ、サードパーティーとは何か、その意味と関連業界、使用例も解説しますので参考にしてください。

サードパーティーとは

サードパーティーは英語の「Third Party」を日本語読みにしたものです。Thirdは「3番目の」Partyには「関係者・グループ」などの意味がありますので商取引などで第三者の立場の人やグループを言うのかなという推測はつくと思います。

ビジネス大国のアメリカではどういう扱いになっているのかCOLLINSという辞書で調べてみると「第三者とは、ビジネス契約または訴訟に関与する主要な人物ではなく、マイナーな役割で関与する人物」とありました。どうやらアメリカでは「サードパーティー」という単語は日本ほど普及していないようです。

一方、日本ではIT分野やビデオゲーム関係で良く使われています。

サードパーティーの意味

サードパーティーという言葉は使われるフェーズにより様々な使われ方をしますが、次の2つは良く使われる例です。

他社製品の関連商品を販売する企業

例えば印刷機を製造している企業はインクも同時に販売する必要がありますが、それを引き受けて販売する例があげられます。

また、コンピューター関連機器のメーカーが、コンピューター製造会社の関連機器を引き受けて販売する例もこれに当たります。 

互換性のある製品を開発

「互換性のある製品を開発」している企業などもサードパーティーと呼ばれています。卑近な例としてウィンドウズを使っている人は世界中に数多く存在しますが、このウインドウズマシンをプラットフォーム(基盤)として互換性のある機器を開発している企業などもサードパーティーと呼ばれています。

おもにIT関連企業で使用

サードパーティーという言葉が日本では「おもにIT関連企業で使用」されているのも特徴的です。その例を2つあげます。

PCやモバイル端末に対応する製品

IT関係の技術進歩が目覚ましく、サードパーティーの開発による「PCやモバイル端末に対応する製品」が多数見受けられます。例えば、マイクロソフトやApple社のOS関連でベンダー企業(販売社)が開発した製品が多数あります。

その他、互換性のある製品

 互換性のある製品は大部分がサードパーティー製と言えます。開発費用がそれほどかかりませんので安い価格で購入できます。しかし、製造会社はサードパーティー製造のものはそれを使って本体の製造会社製品にダメージを与えた時は保証対象外とする傾向が強いです。  

サードパーティーの使い方

サードパーティーの製品は安価で種類も結構あるので購入対象になりやすいですが、粗悪品などもあります。安いと思って飛びついた製品が「安かろう悪かろう」では「元も子もない」と後悔することになりますので気を付ける必要があります。

サードパーティー製品

サードパーティーの製品を購入する時は、次の2つのことを承知して決めるようにすると失敗した時に諦めがつきます。

純正品ではない製品

「サードパーティーの製品は純正品ではありません。」純正品と比べてどこが違うのかきちんと把握するようにしてください。既に購入して使った人の評価も参考にするようにしましょう。  

互換性のある製品

互換性のある製品はサードパーティーが得意とする分野です。例えば、マイクロソフト社のオフィスを使っている方が多いと思いますが、価格が高く仕事で使うわけでもないのでもっと安い製品を希望する方々を対象に、ワードや表計算で互換性のある製品が無料で提供されているものがあります。これらもサードパーティー製と言えます。

ゲームやアプリにおけるサードパーティー

ゲーム業界ではゲーム機を製造・販売する企業をファーストパーティー、それに対応する周辺機器やゲームソフトやアプリ開発をする企業をサードパーティーと呼んでいます。

サードパーティーの活躍が最も目立つフィールドです。

ゲームソフト開発企業

ゲームソフト開発企業は、高額所得を目指す人にとってサードパーティーの中でもトップクラスの人気を誇る就職先になっているようです。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を使ったゲームの開発や5G技術を利用したゲームの登場などがその要因になっています。

アプリ開発企業

スマホの普及がアプリ開発企業に大きなインパクトを与えています。道路を歩行していると若い人だけでなく年配者もスマホでゲームをしている姿を見かけます。ゲーム用アプリはアプリ開発企業の独壇場とも言えますので、多額の開発投資をしています。しかし、アプリ開発を担当できるエンジニア不足が日本でも深刻化しつつあります。 

ファーストパーティーとは?

サードパーティーの役割や守備範囲が拡大していますが、第一人者を意味するファーストパーティーとの違いは何でしょうか? 

日本におけるIT世界の位置付けでは「純正品を開発する企業」「サードパーティー製品が対応する対象製品」となっています。

純正品を開発する企業

ファーストパーティーは「純正品を開発する企業」に与えられるネーミングです。IT関係ではプラットフォームと呼ばれる「基盤製品」を世に送り出すわけですから、世の中を変えてしまうような影響力を持つこともあります。

サードパーティー製品が対応する対象製品

ファーストパーティーが開発した製品が販売されるとその製品に対応するサードパーティーの製品が開発されて市場に出回りますので「サードパーティー製品が対応する対象製

品」と言うこともできます。

サードパーティーの具体的な例

ここでは全世界に知られている「Apple社製品」及び「Windowsマシン」とサードパーティー製品の関係を述べます。。

Apple社製品の場合

「Apple社製品の場合」は開発元のApple社がファーストパーティーと呼ばれています。

それ以外の関連企業は位置付けとしては全てサードパーティーになります。

開発元のApple社がファーストパーティー

Apple社は自社が開発した商品のPRが非常に巧みです。バージョンアップすると必ず予告と本番の発表会を開催してファーストパーティーのステイタスを明確にしています。

Apple社以外の企業はサードパーティー

Apple社は、サードパーティーについては言及していないようですが、2022年4月7日に公表された「Analysis Group(分析グループ)のエコノミストによる報告書」では、「サードパーティアプリケーションはApp Storeで最も成功している」「10年以上前にApp Storeがサービスを開始して以降、Appleが提供するファーストパーティアプリケーションは60本であるのに対し、サードパーティアプリケーションの数は500本から180万本以上に増加した」ことを発表しています。サードパーティーを巻き込んで自社発展を図るApple社の見事な経営戦略が窺えます。  

ユーザーはセカンドパーティーと呼ぶ

ファーストパーティーとサードパーティーがあってなんで「セカンドパーティーがないのか」とご指摘を受けますが、セカンドパーティーはユーザーの意味で使われることがあります。ファーストパーティーとサードパーティーを比較する際に使われることが多いのでセカンドパーティーという言葉を目にすることは少ないと思います。

Windowsマシンの場合

Windowsマシンはあまりにも一般化していますので使っていて「サードパーティー製品」を意識することはほとんどないと思います。

多種多様なサードパーティー

Windowsマシンはコンピューターを機能させる基幹ですから「多種多様なサードパーティー製品」が出回っています。サードパーティー製品でも導入して問題なく稼働すれば満足感が得られると思います。

意識する機会は少ない

「これはサードパーティー製品だ」などと意識する機会は少ないと思いますが、セキュリティには十分注意する必要があります。マルウエア感染などしないようにする必要があります。

その他の使用例

その他の使用例として、裁判沙汰になったプリンターのトナーカートリッジ事件と、純正品と互換品の法律上の関係について述べます。

プリンターのトナーカートリッジ

プリンター製造販売会社はインクカートリッジがなければプリンターが売れませんので、自社販売の「純正品」を製造(若しくは指定業者に委託)して売り出します。これを受けてサードパーティーは同じような互換品を開発して売り出したところ、製造販売会社はプリンターの設計変更して純正品以外は受け付けないようにしてしまいました。いわゆる「顧客の囲い込み」をしたわけですが、サードパーティーの業者が裁判に訴えました。

その判決が令和3年(2021年)9月30日に言い渡されています。

その主旨は「互換品カートリッジの販売を困難にする目的で行ったもので、正当化理由は認められない」「独占禁止法上の「抱き合わせ販売等」には、主たる商品を購入した後に必要となる補完的商品(従たる商品)に係る市場において特定の商品を購入させる行為もこれに含まれるというべきである」等の理由でプリンターの製造販売会社が負けております。【「互換品カートリッジ」事件東京地裁判決からの一部抜粋】 

純正品と互換品

上記の東京地裁判決により「純正品と互換品」については、サードパーティーが開発し販売する互換品は公正な市場流通を促進するため独占禁止法上で認められていることが分かります。

ゲーム業界におけるサードパーティー

純正品に対する互換品を開発販売するサードパーティーと異なり、ゲームの場合はゲームの提供者とそのプレイヤーの関係になりますので、サードパーティーの役割も変わることが多いです。

 

家庭用ゲーム機の場合

家庭用ゲーム機の場合は次のような役割分担が行われています。

ゲーム機本体を開発するファーストパーティー

ゲーム機本体を開発提供するのはファーストパーティーです。ゲーム機本体はプラットフォームに位置付けられますので当然ですが、そのソフト開発を専門に行うパーティーを「セカンドパーティー」とする分類方法もあります。 

ゲームソフトを開発するサードパーティー

サードパーティーはゲーム機本体に対応したゲームソフト開発を担います。

ソーシャルゲームの場合

ソーシャルゲームの場合は、次の2つのような関係になります。

ゲームの運営者がファーストパーティー

「ゲームの運営者がファーストパーティー」つまりプラットフォーム製品の開発販売者と同じ役割を担うということです。

パートナー企業がサードパーティー

パートナー企業は「ビジネスパートナー」つまり協力会社です。ファーストパーティーが事業運営の一部を外部の企業に委託する時に協力してくれる委託先企業です。


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