近年、就職市場などでもすっかり認知度が高まっているベンチャー企業。
今回はベンチャー企業のメリット・デメリットや、どのような人材が求められるかについて解説します。
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業とは、新しいビジネスに挑戦する成長志向の企業を指します。
しかし実際のところ、具体的に「どう言った企業がベンチャー企業と呼ばれるのか」に関して知らない方も多いのではないでしょうか。
ベンチャー企業の定義
ベンチャー企業の定義については、企業の規模や業界によって一概には言えません。
明確な定義はない
ベンチャー企業と呼ばれる明確な定義はないため、企業の規模や業界での成長度にはばらつきがあります。
新しいビジネスに挑む企業
規模や年数だけでなく、遺伝子工学を利用した新医薬品などに代表される新しいビジネスに挑む企業であることもベンチャー企業の要素です。ベンチャー企業は革新的なアイデアや技術を持ち、市場に新たな価値を生み出すことを目指しています。
ベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業の特徴としてリスクを負う意欲、急速な成長を目指す、フラットな組織体制、柔軟な経営方針なども挙げられますが、主な特徴は以下の2つです。
最先端の技術やビジネスモデル
ベンチャー企業は、最先端の技術やビジネスモデルを保有している場合が多く、その独自性により市場の新しい需要の創出を目指しています。
小規模な企業が多い
一概には言えないものの、一般的にベンチャー企業の大半は小規模であり、個人や少数の創業者によって設立される場合が多くなります。結果、社員数や資本金などが大企業に比べて小規模なのが特徴です。
ベンチャー企業に似ている企業
ベンチャー企業に似ている企業として、以下のようなものが挙げられます。
スタートアップ企業
スタートアップ企業もビジネスの立ち上げ段階にある新しい企業を指します。ベンチャー企業との違いは、スタートアップ企業は革新的なビジネスモデルで短期的に事業を成長させ、売却するような出口戦略を持つ場合が多い点です。
中小企業
従業員数や資本金の規模が小さいという点では中小企業とも似ています。定義が曖昧なベンチャー企業と違い、中小企業は中小企業基本法により明確に定義されているのが特徴です。したがってベンチャー企業との違いは、成長スピードやリスクの取り方など、経営方針や目標の違いであると言えます。
ベンチャー企業のメリットとデメリット
好意的な意見、否定的意見双方聞くことの多いベンチャー企業ですが、実際のメリット、デメリットはどのような点でしょうか。
ベンチャー企業のメリット
メリットとしては、裁量の大きさや経営者との距離が近いこと、キャリアアップなどでしょう。以下で詳しく解説していきます。
個人の裁量を発揮できる
組織が小さいベンチャー企業では、個人の裁量が大きく自らのアイデアがトップに伝わりやすい土壌があります。自分の取り組みが企業の成長に直結する場合も多く、やりがいや手応えを感じやすいのが特徴です。
先進的な仕事を経験できる
先進的な技術やビジネスモデルを採用することが多く、大企業では挑戦できないような仕事に携わる機会も多いでしょう。また、多様な業務に携わることができるためスキルアップが期待できます。
経営者との距離が近い
組織が小規模であるベンチャー企業は経営者との距離が近く、直接的に意見を交換できるとも考えられます。それだけでなく、経営方針や将来的なビジョンも共有しやすいためモチベーションにもつながりやすくなります。
実力が認められやすい
組織が小規模であるため、実績や成果が直接経営陣に評価されやすいのもメリットです。実力が認められやすい環境に加えて、経営者が直接採用や昇進を決定できるため、自らの実力次第で早期にキャリアアップできる可能性があります。
ベンチャー企業のデメリット
メリットの反面、ベンチャー企業は以下のようなデメリットを持っています。
資金面の不安がある
安定した資金調達が難しいベンチャー企業では、経営不振に陥りやすい傾向があります。そのため、大企業と提携して資金援助してもらうという手段を取るベンチャー企業もあります。
人材育成力が弱い
組織が小規模で起業から年数が少ないため、人材育成の体制がととのっていないケースも考えられます。また、大企業に比べて福利厚生や待遇面が低いことが多く、人材流失が起こり育成できる人材が少ないという問題も起こりがちです。
ベンチャー企業に向いている人
人間には得手不得手や向き不向きがあります。ここではベンチャー企業に向いている可能性が高い人についてみてみましょう。
ひたむきに努力できる
起業から年数が浅く、業務体制が整備されていない場合もあるベンチャー起業では、ほかの企業に比べて会社を拡大させるために努力が不可欠です。
長時間労働になる場合もある
同様に、従業員数や資金が潤沢でなく会社を拡大させる局面にあるベンチャー企業では、経営を安定させるまで長時間労働が求められる場合があります。労働時間に関して柔軟性が求められることとなるでしょう。
大きな達成感が得られる
一丸となって新しいビジネスモデルを開発することが多いため、個人の成長や大きな成果が出ることがあります。事業が軌道に乗るまで一時的に労働負荷が高くなった場合でも、成果によって大きな達成感を得られることに魅力を感じるかどうかがポイントです。
いろいろな経験を積みたい
ベンチャー企業では、従業員が多岐にわたる業務を担当することが多く、さまざまな経験を積むことができます。そのため、幅広い業務経験を積みたい人に向いているとも言えます。
一人当たりの作業が多い
一人当たりの業務量が多く、それに伴うプライベートの減少や過労は考慮すべきでしょう。中には雇った従業員に過剰な業務量を任せ、ある程度事業が成長したら使い捨てる、いわゆる「やりがい搾取」のような悪質な経営手法を取るベンチャー経営者もいるため、見極める能力も必要です。
大企業では経験できない仕事も
ベンチャー企業は、新しいビジネスモデルや技術を開発することが多く、大企業では経験できないような仕事に携わる機会が多くなります。そのため、自分自身のスキルアップや成長が期待できます。
自分で考えて仕事がしたい
ベンチャー企業を志望する人に魅力的であるのは、やはり個人の裁量の高さではないでしょうか。
「自分で考えて仕事がしたい」と望む人にとっては、一考の価値があるでしょう。
柔軟な発想が求められる
革新的な事業を興すベンチャーの起業の性質上、事業の立案においては柔軟な発想が求められます。そのため、クリエイティブな思考力やアイデアを出し続けることができる人に向いています。
固定観念に縛られない
業界の固定観念に囚われないのは難しいですが、自分自身が既成概念にとらわれず、柔軟な思考力を持ち合わせることが要求されます。
先進的なビジネスに興味がある
すでに安定した仕事ではなく、これから世に出て社会に貢献できるサービスや技術に携われるというのも魅力的な点です。
業界をリードする仕事
最新のビジネスモデルや技術を先駆けて取り入れることが多いため、同じ業界内で他社よりもリードできる場合があります。そのため、自分自身が業界をリードする仕事に携わりたいという人には、ベンチャー企業が最適かもしれません。
新しいモノを生み出すやり甲斐
やり甲斐というのも重要な指標です。自分自身が直接アイデアを出し、ビジネスを成功に導く経験と同時に、自分が携わったビジネスが大きく成長する姿を見ることができるため、達成感も得られます。
ベンチャー企業で働く際に注意する点
しかし資金面・事業環境の変化しやすさといったベンチャー企業の性質上、働く際には注意する点がいくつかあります。また、個人の裁量の大きさと経営者との距離の近さが逆に作用し、組織内での不一致が起こるケースも考えられるでしょう。
将来のキャリアにつながるか
ベンチャー企業は、新しいビジネスや技術を生み出すことで、業界を変える可能性があります。しかし、将来のキャリアにつながるような経験やスキルが得られるかについては事前に入念な検討が必要です。
業務内容を十分に理解すること
ベンチャー企業は大企業と比べて業務範囲が広く、個人の裁量が大きい場合が多いため、業務内容と範囲についての十分な理解が重要です。
甘い話に踊らされない
企業での業務や待遇において、甘い話に踊らされないように気をつける必要があります。新しいビジネスモデルを持つ企業が多いため将来性や成長性についての話が飛び交いがちですが、それだけに目を奪われすぎないように、実現性がある話なのかについて注意が必要です。
待遇面の確認
年数が浅く規模が小さいベンチャー企業への就職で、もっとも多い失敗が待遇面での認識の不一致や約束した待遇の不履行ではないでしょうか。
給与面の規定があいまいなケースも
給与面についても規定があいまいなケースがあります。具体的な給与額やボーナスの有無、残業時間や評価制度などについて、面接や入社前に確認することが重要です。
面接時に直接確認を
待遇面の確認は、就職する際に不利になるのではないかとためらってしまいますが、入社前に確認できれば入社後の失敗を回避できるかもしれません。また、自分自身が求める職場環境や仕事内容、キャリアアップの可能性についてもしっかり考え、面接で会社側と認識をすり合わせることが重要です。
まとめ
ベンチャー企業で働く際には、将来性や成長性を考慮しつつ業務内容や待遇面、給与面などを十分に確認し、自分自身が満足できる職場環境を選ぶことが重要です。また、柔軟な発想やチャレンジ精神、長時間労働に耐える体力など、自分がベンチャー企業に適しているかどうかについて事前によく考えた上での判断が望ましいでしょう。