マーチャンダイジングとは?意味と目的、構成要素と手法も解説

商品を魅力的に見せ、売上向上させる手法であるマーチャンダイジングは、店舗だけでなくECサイトでも重要な役割を果たしています。本記事では、マーチャンダイジングの意味と目的・構成要素・手法について基礎から解説します。

今後の業務に役立つ知識を身に付け、自社商品の売上アップにつながるマーケティング施策を展開できるようになりましょう。

マーチャンダイジングとは

マーチャンダイジングは、小売業において商品を効果的に販売するための戦略です。店内レイアウトや商品陳列、プロモーションなどを計画的に行い、顧客のニーズに合わせた商品を適切な時期に適正価格で提供して、売上の向上を図ります。

マーチャンダイジングの意味

まずはマーチャンダイジングの基本的な意味について見ていきましょう。

商品の販売

マーチャンダイジングは「merchandise(売買する・販売を促進する)」が元であり、意味としては「商品化計画」「販売促進」です。商品の販売を最大化するために在庫管理や価格設定などが計画的に行われます。

商品の宣伝

マーチャンダイジングは商品の価格や数量の設定だけでなく、商品の宣伝も重要な要素です。広告やSNSなどを活用して商品の魅力や特徴を訴求し、顧客の購買意欲を高めます。また、販売促進イベントやキャンペーンなども行われ、顧客の来店や購買を促進します。

流通業界でのマーチャンダイジング

流通業界でのマーチャンダイジングは主に「販売計画」と「販促プロジェクト」の実行です。

販売計画の実行

どの商品をどのくらいの数量・価格でどの時期に販売するか、といったことを決定するのが販売計画です。また、通業においてはどのくらいの数量をどのように流通させるのかといったことも流考える必要があります。

販促プロジェクトの実行

販促計画の立案と実行も重要です。キャンペーンやイベントの計画段階から実行までを一体的に行います。販促プロジェクトの実行は、売上の向上やブランドイメージの強化につながります。

卸業でのマーチャンダイジング

卸業でもマーチャンダイジングは重要な戦略の一つであり、小売業への商品供給の促進により自社の売上を向上させます。

小売業のマーケティング

マーチャンダイジングは、小売業におけるマーケティングの一部です。

商品を訴求するターゲットの選定や広告媒体の選定などのマーケティングと、売り場での商品の販売促進などのマーチャンダイジングを総合的に行うことで、効果的な販売促進が可能となります。

運営を支える概念

マーチャンダイジングは、小売業の運営を支える重要な概念です。

商品のラインナップや価格設定・商品陳列・販売促進などを計画的に行うことで、顧客のニーズに合わせた商品を提供し、売上の向上や顧客獲得につなげます。また、在庫管理や商品開発などにも応用され、小売業者の運営を効率化するための手段としても重要です。

マーチャンダイジングの歴史と目的

ここでマーチャンダイジングという手法がどのようにして起こったのかについて、歴史と目的から見ていきましょう。

マーチャンダイジングの歴史

商品の多様化や販売形態の進化により、元々の「必要な商品を買う」という行為から「必要でなくても欲しいものがあれば買う」というように購買行動が変化してきました。

そのため「どうやって購買意欲を起こさせるか」という課題が出てきたことによりマーチャンダイジングという概念が発生してきました。

POSシステムの導入

マーチャンダイジングが確立した要因の一つがPOSシステムの導入です。

商品の販売状況をリアルタイムで把握することができるPOSシステムの導入により、在庫管理や販売データの分析などがより正確に行えるようになり、マーチャンダイジング戦略の立案や改善が容易になりました。

インターネット通販

インターネットの普及により、インターネット通販によって商品を手軽に購入できるようになり、消費者にとっての利便性が高まりました。

小売業者にとっても新たな販路を開拓できるようになった上に、販売履歴が残りデータとして活用できるため、マーチャンダイジング戦略が普及しました。

マーチャンダイジングの目的

インターネット通販を始めとする販売形態の多様化とそれによる競合他社の増加により、商品力の向上と競争に勝てる価格設定が必要となりました。

商品力の向上

商品力が上がり、消費者に魅力的な商品を提供できれば売上向上につながります。

商品力を高めるためには商品の特徴や優位性を明確にし、競合商品との差別化を図る必要があります。また、商品の包装や陳列、マーケティング施策なども商品力向上につながる重要な要素です。

競争力を高める価格設定

また、競争力を高める価格設定も必要です。価格競争に勝てるように価格を抑えるためには、店舗運営や在庫管理などにより無駄のない効率的な店舗経営が必要になります。

マーチャンダイジングの構成要素

マーチャンダイジングの構成要素は、商品の仕入れから販売までの全工程をカバーします。

具体的には、価格設定・商品の選定・仕入れ数量・展開時期・展開場所・商品陳列やPOPなどの売り場づくりなどが挙げられます。

提供価格

適正な価格の設定により消費者の購買意欲を引き出します。価格設定には、競合他社の価格・商品の独自性・製造コストなどが考慮されます。

仕入単価の選定

仕入単価は、商品を仕入れる際にかかる原価や輸送費、手数料などから計算されます。仕入単価を適正に設定し、販売価格との差を最大化することで利益の最大化を目指します。

販売単価の選定

販売単価は、商品の仕入れ単価や販売目標・マーケティングコスト・利益率などを考慮して設定されます。ほかにも商品のブランド力や競合他社の価格も販売単価の決定要素です。

品揃え

消費者のニーズに合った適切な品揃えの提供により、消費者の購買意欲を引き出し売上向上につなげます。

消費者のニーズを満たす

商品の品揃えを決定する際には、消費者のニーズの把握が欠かせません。消費者が求める商品を選定できれば売上を最大化できます。

主力品を中心に展開

商品の品揃えを決定する際には、主力商品を中心にした展開が一般的です。

主力商品は、顧客にとって欠かせない商品であり、その他の商品と比較して需要が高い傾向にあります。また、主力商品に加えて周辺商品や関連商品も提供することで顧客の満足度を高めながら相乗効果で売り上げを向上できます。

提供数量

商品の提供数量は、在庫管理や売上に大きな影響を与える重要な要素の一つです。正しい数量を提供することで、顧客の要求に応え、売上を最大化できます。

余分な在庫を持たない

余分な在庫を抱えると、売れ残りや消費者のニーズが無くなるリスクが高まります。在庫管理システムの導入や需要予測の実施により余分な在庫を持たず、無駄なコストを削減する必要があります。

バランスの見極め

また、需要と供給のバランスを取ることも必要です。過剰な数量を提供すると売れ残りや在庫品が発生して不良在庫を抱える可能性があり、逆に数量が不十分であると需要に応えられず顧客離れや機会損失が起きる可能性があります。需要予測や在庫管理を行った上での適切な数量の提供が大切です。

展開時期

展開時期は、商品の売上を左右する要素の一つです。適切なタイミングで商品を提供して消費者のニーズに応えられれば、競合他社との競争で優位に立てる可能性があります。

消費者の購入しやすいタイミング

消費者にとって、商品を購入するタイミングは重要です。例えば、シーズン商品や流行の商品をタイムリーな時期に提供できれば消費者の購買意欲を刺激できます。

また、特別なイベントやキャンペーンなど、消費者が購入したくなるタイミングを見極めて展開することで売上を拡大できます。

競争で優位に立てるタイミング

競合他社よりも先に商品を提供できれば、消費者の関心を引き競争で優位になります。

展開場所

消費者の目に留まりやすい場所に商品展開できているかどうかも売り上げを大きく左右する要素です。

適切な売り場の選定

特に新商品などでは、商品のカテゴリーや特徴に応じた適切な場所を選定し商品の認知度を高める必要があります。また、店内の流れに沿った売り場を選定することで、消費者にとって購入しやすい環境を提供できます。

買いやすい棚割り

ターゲットとなる消費者にとって適切な高さや幅、商品の並び方など、消費者が商品を見つけやすく取り出しやすいような工夫により消費者の購買意欲を刺激できます。

売り場づくり

商品以外の要素で消費者の購買意欲を刺激できるのが適切な売り場づくりです。適切な配置やディスプレイによって、商品の魅力を最大限に引き出せます。

商品の視認性向上

商品の視認性を向上させるためには、適切な照明の使用、商品を立体的に見せること、商品の色や形状の強調などが挙げられます。

カードやPOPなどを使用

有名小売店や飲食業などでPOPを書く専任のスタッフがいるケースがあるように、カードやPOP(ポイントオブパーチェイス、売場で直接商品を宣伝する広告物)などの広告媒体の使用で商品を消費者に効果的にアピールできます。

商品の特徴や効果を明確に伝えることができるPOPの適切な配置によって、消費者への商品のアピール効果を最大限に引き出せます。

マーチャンダイジングの手法

最後にマーチャンダイジングにおける3つの手法について解説します。

  • ビジュアルマーチャンダイジング
  • クロスマーチャンダイジング
  • ライフスタイルマーチャンダイジング

ビジュアルマーチャンダイジング

ビジュアルマーチャンダイジングは、視覚的な手法を活用して商品を魅力的に見せる手法です。

視覚に訴えるマーチャンダイジング

店内の照明や色彩、音楽などを調整して消費者の興味を引きつけます。視覚に訴えるマーチャンダイジングは、消費者の心に印象を残し購買行動を促します。

ディスプレイマーケティング

また、ディスプレイやPOPを使用して商品を視覚的にアピールする方法がディスプレイマーケティングです。季節やイベントに合わせたディスプレイで商品の魅力を引き出したり、消費者の視線を誘導するために、商品の高さや角度などを工夫したりといったものがあります。

クロスマーチャンダイジング

クロスマーチャンダイジングは販売促進戦略の一つで、異なるカテゴリーの商品を一緒に陳列して相乗効果により売り上げを向上させる手法です。

異なるカテゴリーを陳列

異なるカテゴリーの商品を一緒に陳列して、消費者に目的の商品以外の商品への購入意欲を起こさせます。

相乗効果に期待

一例として、スーパーマーケットで肉類と野菜を隣り合わせに陳列して、ヘルシーな食事のアイデアを提供したり、家具店で家具とインテリア雑貨を一緒に陳列して、消費者が部屋全体のコーディネートのアイデアを得て複数商品の購入につなげたりといった相乗効果が期待できます

ライフスタイルマーチャンダイジング

ライフスタイルマーチャンダイジングは、ターゲットとなる消費者のライフスタイルを想定して商品を陳列する販売促進戦略です。消費者が興味を持ちそうな商品を効果的に提案し、購買意欲を高められます。

消費者のライフスタイルを想定

ライフスタイルマーチャンダイジングでは、消費者のライフスタイルを想定して、商品を適切な場所に陳列します。例えばスポーツ用品店であれば、ランニングウェアとシューズ、運動効果を上げるサプリメントを一緒に陳列してランニングを趣味とする人々に向けた提案ができます。

総合的な提案

ライフスタイルマーチャンダイジングでは、顧客に総合的な提案を行います。

例えば家具店では、家具と一緒に家電製品や照明器具を陳列することにより、総合的なインテリアの提案ができます。

まとめ

マーチャンダイジングは、商品の販売促進と売上向上のために店舗内で商品を効果的に陳列するマーケティング戦略です。

構成要素は陳列やPOP広告などがあり、消費者のニーズや需要に合わせた商品提供も大切です。競合他社との差別化や消費者の購買体験の向上などの効果が期待できますが、成功するためには売上傾向や消費者のニーズについての分析と実行後の検証が必要です。

マーチャンダイジングを業務に活用して売上の向上を目指しましょう。


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