セグメンテーションとは?意味や重要性、分類基準を解説

価値観や好みも多様化する中、マーケティングにおいてターゲットを絞って、そのターゲットに合わせた切り口で商品を訴求することが重要になってきました。

特にwebマーケティングなど、特定の顧客層にピンポイントで訴求したり商品の顧客層について詳細な情報を得られたりする手法が定着している現在においてはセグメンテーションによって顧客層を特定する重要性が高くなっています。

本記事では、その意味や重要性、分類基準について順を追って解説していきます。

正しく理解することで、ビジネス分野での活用が期待できるかもしれません。

セグメンテーションとは

では、セグメンテーションとは何を表す単語なのか、ここで正確な意味を知っておきましょう。

セグメンテーションの意味

セグメンテーション=“細分化”です。細分化、つまり分類分けするということになります。

日本語で「区分」を意味する

英語表記で「Segmentation」ですが、直訳すれば「区分」です。

これは前述の「区別して分ける」という意味に合致していることが分かります。

マーケティングにおけるターゲティングの1つ

マーケティングにおいて、自社や自社製品を市場のどの分野、どの層へ販売するかを決めることを「ターゲティング」と言います。

その前段階として、全体を細かくグループ分けするセグメンテーションが必要です。

セグメンテーションの定義

セグメントの元々の定義は「全体を細かく分けた中の一部分」です。この区分という意味に基づいて、セグメンテーションは細かく定義されています。

AI分野でも使用されていますが、今回はマーケティング分野におけるセグメンテーションについて解説します。

マーケティングにおいては「顧客のグループ分け」

マーケティング業界においてセグメンテーションは、消費者である顧客のグループ分けを表します。

目的が「選択」と「効率化」であることを念頭に置くと分かりやすいかもしれません。

特定の属性ごとに分けること

顧客を特定の属性ごと、例を挙げれば性別や在住地域、年齢、業種などにグループ分けします。

これにより、統計的にさまざまな傾向が分かってきます。

セグメンテーションの重要性

では、顧客のグループ分けを行うセグメンテーションはどのようなメリットをもたらすのでしょうか?

マーケティングという観点では、セグメンテーションは大きな重要性を持っています。

自社製品やサービスの価値を見極める

自社で取り扱う製品や提供するサービス等の付加価値、言い換えれば何が消費者の目を引くかを見極めることが可能です。

市場の細分化

マーケティングにおいてのセグメンテーションは、市場が主軸であることから“市場細分化” と訳されます。市場とは顧客の集まりであり、それの細分化、つまり「顧客ひとりひとりを区別して分ける」という意味を持っています。

明確なターゲティング

ターゲティングは、細分化された市場の中で、規模や競合を踏まえて「本当に売り上げの見込みがあるか」を調査・決定します。

細分化によってあらかじめある程度対象を絞ることができるため、指標が明確になるでしょう。

多様化したニーズに対応する

顧客一人一人のニーズに対応できるという点で、セグメンテーションは有効です。

販売業態の一つである、不特定大多数へ全く同じ手法で多量販売する「マスマーケティング」と呼ばれる手法には不可能なことです。

不特定多数に向けたアプローチの限界

昨今では消費者の需要が多様化し、同一の手法では対応できないケースが増えてきました。

テレビや新聞自体を見ない層も増え、マスマーケティング的手法にも限界が見え始めています。

企業の優位性を活かす

自社製品の顧客層を判明させることにより、彼らが何を理由として購入するか、あるいは企業がどの層に対して優位性を発揮できるかが分かってくるはずです。

急速なIT化に対応する

近年では特にそうですが、IT化により消費者は数多くの製品情報を知るようになりました。

これにより、類似製品に対して明確な違い=強みを持たせない限り良い売り上げは確保できません。

セグメンテーションによるターゲット層の特定により、これに対応できる可能性が高まります。

消費者に適した広告活動

ターゲット層が特定できれば、自社製品において訴求すべきポイントがどこなのかがはっきりします。

また、ターゲット層の消費者に適した形で広告設計及び活動が行えるでしょう。

SNSの活用

SNSによる商品販売、販促はもはや常態化しています。

消費者が物を探す際に実際に製品やサービスを使用した口コミなど、さまざまな角度から情報を得ようとして検索エンジンのほかにSNSを用いることが多くなっているためです。

セグメンテーションでターゲット層を特定することで、適した媒体やアピール戦略を選択できます。

セグメンテーションで重視するポイント

それではここから、特にセグメンテーションで重視すべきポイントについて解説していきます。

優先順位

まず、セグメンテーションを行うだけでなくそのセグメントに対する優先順位を検討します。

優先順位の決定には付帯的な要素も踏まえることが大切です。

セグメントと自社の戦略の照合

細分化した結果と自社の戦略を照らし合わせて調整していかなければなりません。

競合相手や市場の状況にも左右され、慎重な判断が求められます。

重要度によって順位づけ

社内の経営戦略やマーケティング戦略などを参考にしながら、属性ごとに分類した顧客グループを順位付けし優先度の判断を行いましょう。

規模の有効性

次に考えるべきなのが規模の有効性です。

いかに正確な細分化が行えていたとしても、この部分が欠けていると利益につながらない危険性があります。

市場規模の確認

市場の規模は利益を上げるのに十分かを確かめておく、というのが有効な「市場規模の確認」です。

仮にその大きさが小さい、すなわち同じニーズを持つ消費者数が少なければ利益は期待出ません。

十分な利益を確保できるか

セグメンテーションの目的に「効率化」があり、広告や営業活動の無駄を省き利益を効率よく確保するという意味合いを持ちます。

だからこそ、よほど特殊な市場でない限り売上が少なければ逆に非効率的になります。

到達可能性

「到達可能性」も重要な点でしょう。顧客層に対し、マーケティングによるサービスや製品、あるいは広告の到達が可能であるかの指標です。

この期待値が低い場合は、積極的にマーケティングを行っても効果が出にくくなります。

自社商品やサービスの魅力を伝えられるか

実際の消費者に確実に目を引かせることが重要です。デザインの美しさやブランドなどは

特にそうですが、個人によって感じ方の違いが大きいでしょう。

広告で強調する点は本当に顧客目線であるのかを判断する必要があります。

自社商品やサービスを顧客に届けられるか

極端な例を言えば、いかに人気がある製品でもイギリスや南米にそれを輸出できるか、という話です。

消費者にとって容易に購入できる、企業から見ても利益を確保したまま届けられるかという点についても考えなければなりません。

測定可能性

最後が、顧客からの反応の測定が可能であるかを測る指標である「測定可能性」です。

これらを測定できると既存戦略の改善点などの把握も容易になります。

セグメントの購買力や特性

そのセグメント内での購買力や規模について測れるかを確認しておきましょう。

マーケティング後の反応

ターゲット層に対して広告や営業活動を行った時の顧客への影響や実際の反応を測定できる必要があります。

セグメンテーションの分類基準

セグメンテーションで肝心なのは、顧客をいかにして分類するかであり、その基準を決めておかないことには始まりません。

ここでは一般的な分類基準を取り上げます。

地理的基準

地理的変数は、地理的な面から顧客や市場を分類する方法で、ジオグラフィック変数とも呼ばれています。

国や市町村といった地理的な情報だけではなく、人口密度や文化など包括的に含めて細分化します。

国や地域による分類

海外への販促を視野に入れる場合が特にそうですが、その地域は都市部か郊外か、人口はどのくらいなのか、経済的に発展しているかどうかなどが関わってきます。

文化や生活習慣による分類

文化や生活習慣、宗教や気候の違いは大きな判断材料となります。

顕在的なもの以外にも、購入動機に潜在的に文化的要素が関わっている場合も考えられます。

人口動態による基準

一般的によく使われる基準が、人口動態変数です。

母数の多さやその信頼性の高さから採用しやすい手段であり、デモクラフィック変数とも呼ばれます。

年齢や性別による個人の分類

消費者の年齢や性別のほかに、職業や年収などの情報に基づいた分類を指します。

指標が明確なため、細かいセグメント化が可能です。

世帯規模や家族構成による分類

世帯の規模や家族構成、世帯規模による分類も行われます。

独身で一人暮らし、既婚者で子供がいない、子供が小さいファミリー層、子供が成人した後の夫婦など、ライフステージによってライフスタイルやどこにお金をかけるかも大きく変わります。

心理状態による基準

心理的変数とはサイコグラフィック変数とも呼ばれ、顧客の心理的な部分を分類する方法です。

顧客の行動やニーズの多様化に対応するため、心理的変数によるセグメンテーションの重要度が増しています。

主義や価値観による分類

心理的変数で用いられる基準のひとつが、社会的階層や価値観といったものです。

ブランドや最新ガジェットのように周りに羨ましがられるものが欲しいという価値観がある一方で、人目を気にするより自分が気に入ったものを手に入れたいという価値観もあり購入動機も大きく変わってきます。

パーソナリティによる分類

性格や趣味、好みといったものがこれにあたります。

多くの人が自分の好みを発信しているSNSを用いれば、自社製品やサービスに好意的と思われるセグメントを容易に特定し効果的なプロモーションを行うことが可能です。

まとめ

セグメンテーションは、企業のマーケティング戦略における基礎の手法として多方面で使用されています。

そして、どの基準を用いて分類するかで戦略も大きく変わってきます。

自社の製品やサービスに適した分類基準によるセグメンテーションを必要に応じて複数組み合わせ、マーケティング効果の高いターゲット層を定めていく必要があるでしょう。


AD