何気なく行っている日々の業務にも、経営側の観点からすると中・長期的な戦略の元に立てられた目標が存在しています。
しかし自分の担当業務以外が何を行っているか不透明であったり、無駄が多いと感じる部分があったりするのはよくあることではないでしょうか。
この記事では目標を達成するためのオペレーション作成に向けて、ビジネスにおける意味や重要性、成功のポイントなどを解説していきたいと思います。
オペレーションの意味とは?
「オペレーション」を辞書で引くと「機械などの操作・運転」「手術」「作戦・軍事作戦行動」といった意味がありますが、ビジネス上ではどのような意味で使われているのでしょうか。
「業務連鎖」とも呼ばれる
オペレーションは「業務連鎖」とも呼ばれます。
かみ砕いて言うと、業務に関連する各部署のつながりのことで、この連携がスムーズに行われているのが良いオペレーションといえます。
目標達成のための体制作り
手術であれば「患部の問題部分の切除」、ビジネスであれば「売上向上」「生産性向上」「安定運用」といったようにオペレーションの対象となる業務には目標が設定されています。
オペレーションは「設定した目標を達成するための体制」と、その運用を指します。
業務の遂行手順の確立
オペレーションではこの業務の遂行手順を確立します。
業務の手順が確立すると、運用する人が変わっても安定した業務遂行が可能です。
ビジネスにおけるオペレーション
とりわけビジネス上におけるオペレーションとしては、「企業の目標を達成するための日々の業務フローの作成運用」といった意図で使用されています。
業務の管理と実行
ビジネス上でのオペレーションは「業務の管理実行」という意味で使われています。
オペレーションに使用する運用マニュアル、接客マニュアルなども必要な業務を管理し実行するためのものです。
業務の一連の流れ
一般的なオペレーションの意味に「操作や手術」があるように、オペレーションは一定の手順や流れを明確化することで業務を正しく効率的に行うためのものです。
オペレーションの類義語
オペレーションの他にもいくつか似た意味の言葉があります。
ここではそれぞれの違いについて説明します。
マネジメント
オペレーションが日常業務での作業手順が中心であるのに対し、マネジメントは手順の流れを「管理」するといった意味合いが強くなります。
経営や管理すること
「マネジメント」を辞書で調べると「経営管理」となります。
経営管理とは戦略を立て、それに基づき人員、資金、情報システムなどの経営資源を管理することです。
オペレーションマネジメント
マネジメントの中でも、経営資源を活用し目標を達成するためにオペレーション全体の成果を上げることを目的として行われる管理の手法がオペレーションマネジメントです。
ディレクション
ディレクションの意味は「指揮・命令・指導」であり、ビジネス上では決められた方針に沿って現場で指示や管理を行うといった意味合いで使われます。
部署の進捗管理や制作指示
ディレクションは主に管理者側→作業者側に対して行われる、その部署の業務を円滑に進めるための進捗管理や制作指示などです。
全体のオペレーションに対する部署ごとの管理
オペレーションが全体の流れを指すのに対し、ディレクションはオペレーションの中での各部署での工程管理や各人への指示といった意味合いになります。
業界ごとのオペレーション
オペレーションの内容は業界によって異なります。ここではビジネス上でオペレーションが良く使用されている業界においてどう使用されているか説明します。
IT業界のオペレーション
IT業界におけるオペレーションは「操作と安定運用のための処理」という意味での使用が中心です。
ソフト・ハード両面の管理・実行
対象ソフト・ハード両面の管理と正しい操作手順やミスやエラーを回避するための手順などが挙げられます。
システム修正やセキュリティ対策
ソフト・ハード面の管理・実行以外にもシステムを安定運用するためのシステム修正やセキュリティ対策もオペレーションに含まれます。
飲食業界のオペレーション
飲食業界におけるオペレーションは主に店舗オペレーションという言葉で日々の店舗運営の流れを指します。
店舗オペレーション
店舗オペレーションとは店舗を安定して運営するための業務手順や人員配置のことであり、
その目的は業務をマニュアル化、定型化することでスタッフ間での差を出さず一定の質でサービスを提供することです。
おもに3つのオペレーション
飲食店であれば、店舗オペレーションは以下の3つに分けられます。
・厨房内の作業手順である「キッチンオペレーション」
・接客フローである「フロアオペレーション」
・発注や在庫、売上管理などの「バックヤードオペレーション」
運営方針の共有を図り、各オペレーションの他に部門での連携を図ることも重要です。
オペレーションの重要性
オペレーションを見直し、改善することで会社の利益が上がるだけでなく従業員側にもメリットがあります。
オペレーションのメリット
適切なオペレーションを行うことはコストの削減やトラブルの回避につながり、企業の信頼性と収益性の低下を防ぎます。
コストの削減
複数部署同士で重複した作業を行っている、作業時間の割に効果が低いといった業務を洗い出し、無駄な作業や余剰の人員を見直すことにより金銭的・時間的コストを削減できます。
トラブルの回避
一連の決まった流れを決めることで、業務の連携が取りやすくなり行き違いや作業者による違いが少なくなる結果、トラブルが起きにくくなります。
業務の効率化
オペレーションを見直すことにより業務の効率化が図れます。業務の効率化は利益向上だけでなく、業務にあたるスタッフの負担が軽減するのもメリットです。
無駄な作業を省く
業務の効率化で一番即効性があるのは、重複している業務、現在は必要性が低いのにそのまま続けているような無駄な業務を見つけ出し省くことです。
従業員の意欲向上
無駄な作業を省き業務効率が上がることで従業員のモチベーションが向上する効果も期待できます。
人材流出を防ぐことにもつながり、熟練したスタッフが増えることで業務の成果向上にも役立つでしょう。
オペレーションマネジメントとは?
オペレーションマネジメントは経営管理の中で業務の遂行と実行に関する分野であり、オペレーションシステム全体の設計や管理を行います。
成果を実現させるマネジメント
オペレーションマネジメントは戦略をもって「人・資材・資金・情報・独自スキル」といった経営資源を有効活用し、目的の成果を上げるために行われます。
戦略に基づいたマネジメント
戦略はある程度長い(2~3年)期間を対象として立てられるものであり、その戦略を組織で共有し実現する方向でおおむね1年位を視野に入れて行うのがマネジメントです。
経営資源を有効活用
経営資源を有効活用できるかがマネジメントの成否を分けます。
他社が真似できない経営資源があればそれが同業他社と差別化できる強みとなります。
PDCAサイクルを活用
オペレーションマネジメントを代表するのがPDCAサイクルです。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルでオペレーションを客観的に評価しながら改善します。
期間内に成果を出す
オペレーションマネジメントは期間内に求める成果を上げるために行われます。
そのためにはPDCAサイクルを効率的に回転させることが重要です。
評価と検証でさらに効率化
品質、生産数、スピードなど、戦略に基づいた評価軸において具体的な数値で評価します。
その結果から改善策を講じたら再度検証を行うことで業務の効率化が図れます。
オペレーションを成功させるポイント
オペレーションを成功させるポイントが、「業務のデジタル化」と「オペレーションに関わる全員の課題の共有」です。
デジタル化で効率化
オペレーションの一部をデジタル化し、業務の正確性や処理時間の向上につながる他、データを可視化することで業務の効率化や成果の向上を図る手助けになります。
キャッシュレスの導入
金銭の授受がある業務であれば、キャッシュレスの導入もオペレーションの改善に効果的です。
スタッフ側のミスが減る、金銭管理が楽になる、集計の手間が減るなど効率化に大きく貢献します。
AIの導入
大規模な企業であればAIの導入も検討されるかもしれません。
定型的な事務作業やデータ収集であれば人件費という大きなコストを削減できます。
課題の発見と対策
オペレーションの改善にはまず業務の可視化が不可欠です。
業務の可視化で現状の課題を発見し、どういったアプローチでの対策を打つか検討します。
業務の可視化
業務を可視化することで「各業務間での無駄な作業や改善点が発見される」「効率の良い作業手順を共有し全体の作業効率が上がる」といった効果も起きます。
削減より共存と分散
オペレーションマネジメントは人員や業務の無駄を削減するだけのものではありません。
業務を他の部署に分散する、デジタル化する部分と人が行う部分を共存させるなど、組織全体をマネジメントする選択肢もあります。
まとめ
業務の見直し、デジタル化など新システムの導入、業務に関係する全員がPDCAサイクルの元に具体的な課題と目標を共有することなど、効果の高いオペレーションを運用するにはいくつかのポイントがあります。
また、オペレーションは一度作成するだけでなく、状況や同業他社の動向、戦略の変化などに合わせて定期的な見直しが必要になるでしょう。
自社の経営資源を活用し、効果的なオペレーション作成を目指しましょう。