与信管理システムとは、取引先の限度額と売上債権の残高などを一括管理できるシステムです。取引先として問題がないか信頼してもよいか?を判断するためには、継続的な与信管理が必要です。取引先とのリスク軽減のためには優れた与信管理システムによる効果が大きく、従来の手間がかかっていた手作業から与信管理システムを導入することで、取引先の倒産で売上債権の全額が回収できなくなるなどの信用リスク回避が可能となります。
与信管理システムの主な機能
- 法人番号検索
- 興信所のコードでの検索
- 商号検索
- 代表者名検索
- 住所・電話番号検索
- 与信限度額(与信枠)の算出機能
- 与信審査機能
- モニタリング機能
- データベース機能
「与信管理システム」にはどのようなタイプがある?
企業の事業拡大による与信管理では、自社と取引先との間の信用枠を確保するために、与信管理システムの導入がお勧めです。リスク回避や業務の効率化を図るためのサポートが充実した与信管理システムには、様々なタイプがあります。
取引先の与信審査サポート
情報公開されていない企業や反社チェックなど、つかみにくい取引先の情報を収集することが可能となります。
与信事後管理プロセスのサポート
債権、債務残高、担保の状況を管理し、与信限度枠の見直しと定期的なチェックを行います。また、与信取引あとの管理も見直しによって与信限度を上げたり下げたりが必要となります。
与信管理規程の作成
取引先との効果的な与信取引を行う際には、与信管理規程が必要となります。与信管理規程は与信管理を円滑に進めるためのルールとなります。与信管理規程の作成は、与信管理システムの活用によって膨大な作業を効率化させ時短業務が可能となります。
売掛保証
取引先とのトラブルは、与信審査を行ってもリスクが生じる場合もあります。金額の未回収を補う方法として売掛保証によるリスク回避が可能となります。売掛金の回収ができない場合にその全額を支払ってもらえる保証が売掛保証です。
「与信管理システム」の選び方は?
自社に必要な機能があるか?
与信管理システムで使える機能について詳しく理解し、活用する従業員または担当者に必要な機能であるかを導入前に確認しておきましょう。
不必要な機能がたくさんあると、かえって業務の効率が低下し、新しいシステムへの投資が無駄になってしまいます。社内で問題となる課題について改善策となるような機能が備わっているか、まず始めにチェックしましょう。
使いやすい操作が可能か?
使える機能が備わっていることが確認出来たら、機能操作が簡単にできるか確認しましょう。優れた機能を操作ミスや不慣れな操作で活用できないことは避けましょう。
他のシステムと連携できるか?
自社の他の業務システムと連携して活用できるかは重要です。企業によっては子会社や支社とデータ共有できることが業務効率化のカギとなりますので、導入する与信管理スステムとの連携が可能であるかは確認しておくと良いでしょう。
パッケージシステムか?オーダーメイドシステムか?
機能限定されていて導入に時間のかからないタイプのパッケージシステムは、簡単に導入しやすいことや費用が安く済むという利点がありますが、低価格だからといって導入した後、業務形態に合わない、必要な機能がないなどのデメリットがあります。企業組織で活用する場合には業務規模に合った与信管理システムを選びましょう。オーダーメイドシステムは、自社の業務形態をそのままシステム化するため、必要な機能などをオーダーできるシステムです。いずれも、自社にあった与信管理システムを選び、さらにカスタマイズできる範囲も把握しておくと良いでしょう。
「与信管理システム」比較検討時の注意点は?
あくまでも自社の業務に合ったシステムであることが重要です。社内間でのシステムの連携や担当者の使える機能や操作に支障がないことが必要です。
主要な「与信管理システム」の一覧
「与信管理クラウドサービス」(リスクモンスター株式会社)
おすすめ対象者
上場企業やその関連企業で約40%の導入実績あり。IPOを目指す成長企業でも導入事例があります。
主要機能:e-与信ナビ/e-管理ファイル/ポートフォリオサービス/与信管理規程・ルール・業務フロー作成支援サービス/債権保証サービス/反社チェック/中国企業信用調査/
特徴
グループ合計12,000超の会員/ASP・クラウドシステムの運用/
費用
入会金30,000円/システム利用料金 月額 20,000円
e-与信ナビ格付情報閲覧料金 1件当たり 1,000円
e-与信ナビ格付情報+企業データ詳細 閲覧料金 1件当たり 1,600円
e-管理ファイル 40社~ 月額 50,000円~
サポートの有無
営業支援サービス/社員研修支援サービス/グループウェアサービス/BPOサービス/
FinCast® 業況劣化予測」(株式会社JSOL)
おすすめ対象者
金融機関
主要機能
口座情報の動きを可視化/タイムリーな検知/セキュアな環境で早期に利用可能/AI技術を活用、取引先企業の口座情報などの動態データを分析
特徴
金融機関の与信管理業務の高度化を支援/
費用
問い合わせ
「Paid」(株式会社アイズ)
おすすめ対象者
BtoB取引企業
主要機能
与信管理から代金回収業務まですべての請求業務を代行/与信審査/請求書発行/入金管理/督促/回収代行/
特徴
手間とリスクを解消/請求コストを削減/未入金発生の場合100%代金支払い
費用
問い合わせ
「海外与信管理「CONOCER」
(三井物産クレジットコンサルティング株式会社/ Mitsui Bussan Credit Consulting Co., Ltd.)
おすすめ対象者
製造業、卸売業、アパレル業、運送業、広告業、コンサルティング業、サービス業、情報サービス業、放送業、(海外企業)
主要機能
海外企業レポートを低価格・スピーディに取得/商社流の与信管理ノウハウを提供/簡単操作/
特徴
信頼できる格付付きレポート/リーズナブル料金体系/海外与信管理
費用
エントリープラン9,800円/ベーシックプラン29,800円/プロフェッショナルプラン59,800円/初期費用0円
「NP掛け払い」(ネットプロテクションズ)
おすすめ対象者
BtoB取引企業、個人事業主から中小企業まで
主要機能
与信審査/請求書発行/入金管理/督促/
特徴
BtoB取引の請求業務代行/未回収リスクを100%保証/
費用
問い合わせ
「Trust Check System [ハイグレード版ASP]
(株式会社エキスパートナーズ/Expertners co.,ltd.)
おすすめ対象者
個人事業主から中小企業まで
主要機能
定性面90項目、定量面10項目のチェック項目による与信管理
特徴
診断結果の保存/様々な形式での出力/診断項目100種/ユーザーアカウントを無制限に登録
費用
無料プランの有り。1週間無料
サポートの有無
保守サポートあり
「与信管理システム」導入のメリット、デメリット
メリット
- 手間のかかる手作業から一新して与信管理が無理なく効率よく進められるようになります。
- 専門のサポートによる調査によって、与信審査にかかっていた作業量や時間、人件費などが大幅に削減されます。
- 簡単に与信金額の確認が可能となり、与信限度額の設定が取引先が増えても問題なく対応できるようになります。
- システムの蓄積データをもとに、過去の取引実績にもとづいた与信枠を自動設定してくれます。
デメリット
- 使いこなせない場合、与信管理システム導入のための大きな投資は無駄になってしまいます。導入事前によく確認することが重要です。 ・導入後のコスト削減は期待できますが、初期導入コストは、ある程度かかりますので、自社の業務規模などに合わせて検討して行きましょう。