化学物質管理システムの比較、選び方

「化学物質管理システム」とは?

化学物質管理システムとは人や環境に悪影響を及ぼすリスクのある化学物質を管理するシステムのことを指します。

私たちのある身の回りの化学物質は、化粧品・洗剤に含まれるLAS(界面活性剤)やパラベン(殺虫剤・防腐剤)、医薬品に含まれるアスピリン(解熱鎮痛薬)やイブプロフェン(頭痛薬)、塗料に含まれるホルムアルデヒド(溶剤)などさまざまなものがあります。

1973年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律が制定されており、国内でも約10万種類以上の化学物質が使用されているので、安心・安全な社会生活を実現するために化学物質管理システムで化学物質の管理を行います。

化学物質管理システムは化学物質を取り扱う企業は、自社製品情報を正確に管理しておく必要があるので、欠かせないシステムとなっています。

「化学物質管理システム」にはどのようなタイプがある?

化学物質管理システムは「クラウド型・オンプレミス型・パッケージ型」の3タイプに分かれています。

クラウド型はインターネットのサーバーを通じてシステムを利用するタイプです。

インターネット環境があれば、場所を問わずに24時間システムが利用できるメリットがあります。またクラウド型は新しくサーバーを構築する必要がないため、利用申し込み後に月額利用料を支払えばすぐにサービスを利用開始できます。

オンプレミス型はPC内に化学物質管理システムをインストールし、自社専用のサーバーを経由してシステムを利用するタイプです。

共有のサーバーを利用しないため自由度の高いカスタマイズを行うことができるので、自社向けにシステムの機能の追加や修正などのカスタマイズがしたい企業に適しています。

自社のサーバーが届く範囲でしか利用できないデメリットはありますが、VPNなどの仮想サーバーを設置することで、テレワークやリモートワークにも対応することができます。

パッケージ型はPC内に一般向けに制作された既成のパッケージソフトウェアをシリアルナンバーなどでダウンロードするタイプの導入方法です。インターネット上でシリアルナンバーを購入してPCにダウンロードするとすぐに利用できるメリットがあります。

代表的な例としては、Microsoft社が提供しているWordやExcel・PowerPointなどが挙げられます。完成された既製品を購入するイメージなのでシステムを再構築したり、カスタマイズしたりすることはできません。

「化学物質管理システム」の選び方は?

化学物質管理システムはシステムをどう利用したいかによって、選択する接続タイプは重要となってきますので「接続タイプ」で選定することをオススメします。

先ほどご説明した通り、クラウド型・オンプレミス型・パッケージ型の接続タイプによってシステムの活用方法が異なってきます。

クラウド型はシステムを導入するうちに新しい機能の追加や修正を行わず、リーズナブルな価格ですぐにシステスを利用したい人に、オンプレミス型はセキュリティ対策を強化したい企業におすすめです。

パッケージ型はPC内にシステムをインストールして利用するので、インターネット環境なしでシステムを活用したい企業に適しています。

「化学物質管理システム」比較検討時の注意点は?

化学物質管理システムを導入する際の注意点は「自社に必要な機能が搭載されているか」という点です。せっかくシステムを導入しても、機能が不十分であれば上手く活用ができず、導入した意味がありません。

オンプレミス型であればシステムの導入後に機能を追加・修正するなどの対応ができますが、クラウド型・パッケージ型は自由度の高いカスタマイズができないシステムであることが多いです。

導入前に自社に必要な機能をピックアップしておき、それらの機能が搭載されている化学物質管理システムを選定すれば、必要のない無駄な機能もカットできてコストダウンにも繋がります。

主要な「化学物質管理システム」の一覧

「グリーン調達マイスター」(日本ユニシス・エクセリューションズ株式会社)

おすすめ対象者

クラウド型で化学物質管理システムを利用したい企業、低価格でシステムを導入したい企業、ロースペックのPCでシステムを導入したい企業

主要機能

ChemSHERPA、AIS、MSDSplus、JGPSSI、JAMAシート、データ提供・管理、調査依頼・調査回答

特徴

導入したその日から利用可能、クラウド型・オンプレミス型の2タイプを提供、分かりやすい操作性を求める方

費用

初期費用、月額費用、その他費用については導入時に要問合せ

無料プラン、無償トライアルの有無

無料プランなし、無償トライアルあり(60日間の無料トライアル)

サポートの有無

サポートあり(カスタマーサポート、問合せ窓口、セミナー・講習会)

「EnMaA(エンマ)」(株式会社キャリアパートナーズ×株式会社シンク・リード)

おすすめ対象者

リーズナブルな価格でシステムを導入したい企業、すぐに利用したい企業、自社製品情報を化学物質レベルまで管理したい企業

主要機能

部品データ作成、材料データ作成、JAMAシート形式CSV読み込み・書き出し、IMDS-a2形式CSV書き出し、chumships形式XML書き出し、部品データ・材料データ一覧CSV出力、物質集計時の複数物質一括集計、材料データのサプライヤ

複数を紐付け、アカウントの権限設定、サプライヤー管理

特徴

部品構成がわかりやすい、REACH・GADSL管理物質調査を瞬時に実行、データを一括管理できる、サプライヤーからの情報がそのまま使える、1ヵ月18,480円からスタートできる

費用

EnMaASPスタンダード(1アカウント) 初期費用55,000円、基本料金221,760円(年間サポート含)

EnMaASPプレミアム(1契約3アカウント) 初期費用55,000円、基本料金657,360円(年間サポート含)

無料プラン、無償トライアルの有無

無料プランなし、無償トライアルなし

サポートの有無

サポートあり(お電話・メールでのカスタマーサポート ※平日9:30~18:00)

「化学物質管理システム」導入のメリット、デメリット

化学物質管理システムを導入するメリット・デメリットについてお話していきます。

化学物質管理システム導入のメリットは次の4つが挙げられます。

  • 業務を大幅に効率化
  • コンプライアンスを遵守できる
  • 資料の一元管理が可能
  • 担当者の負担を軽減できる

化学物質管理システムは細かいデータを製品レベルで管理できるので、手入力で化学物質を管理する必要がありません。そのため、これまでシステムを利用して管理を行っていなかった企業にとっては大幅な業務効率アップに繋がります。

また化学物質の管理をシステムで行うので人為的な管理の漏れを防ぐことができ、コンプライアンスも遵守できます。そのほか仕入先への調査依頼や期限切れのデータ管理など、さまざまな機能が搭載されているので、担当者の負担を軽減できます。

作業効率をアップさせることで人件費の削減にも繋がるため、企業として多くのメリットがあります。

化学物質管理システムを導入するデメリットは「システムの導入にコストがかかる」という点です。システムで化学物質を管理すると管理者としては楽に化学物質の管理を行えますが、サーバーの設置費等や額利用料などの初期導入コストがかかります。

取り扱っている化学物質の数が少ない場合には、かえって新しいシステムを導入すると新しいシステムの操作を覚えるための手間がかかってしまったり、これまで管理していた従業員が扱いづらくなってしまうこともあるので注意が必要です。 化学物質管理システムを導入する際にはメリットとデメリットを比較して、コストパフォーマンスにも気を付けるようにしましょう。


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