「SCMシステム」とは?
SCMシステムのSCMとは「Supply Chain Management」の略称のことで、製品の製造元から消費者に届くまでの一連の流れを管理・改善するシステムのことを指します。
例えば商品のSCMの場合、商品を仕入れる企業から商品の最終的な利用者である顧客の手元に商品が渡るまでの流れを管理し、そのプロセスの効率を高めてスムーズに商品が顧客の手元に届くために管理します。
SCMシステムを導入することで、製品に関する物流の全体像を見渡すことができ、製品が消費者の手元に届くまでに不要な工程を除くことができます。そうすることで作業効率がアップし、さらに製品出荷までのコストを抑えられます。
「SCMシステム」にはどのようなタイプがある?
SCMシステムは多くの物流会社でシステムが導入されており、タイプ分けをすると「クラウド型・オンプレミス型」の2種類があります。
クラウド型のSCMシステムはシステム提供会社のサーバーを利用してシステムにアクセスするので、自社で新しくサーバーを開設する必要はありません。そのためシステムの利用費用は月額利用料のみになることが多く、初期コストを抑えて導入できる特徴があります。
インターネット環境が整っていれば、会社だけでなく自宅など場所を問わずにアクセスできるため導入しやすく、クラウド型はテレワークを導入している企業にも人気が高いです。
本来であればサーバーは更新作業などの管理業務が必須となりますが、サーバー運用はシステムの提供会社が行うのでユーザーは管理業務が一切必要ありません。
オンプレミス型は自社サーバー内で管理しているPCのソフトウェアやデータベースをインストールすることでシステムを運用するため、自社専用の新しいサーバーを用意しなければなりません。
そのためユーザー側でシステム運用・構築などの管理業務を行う必要があり、システムメンテナンスなどの専門知識を持つ従業員がいなければオンプレミス型でのシステム運用は難しいです。
メリットとしては自社専用のサーバーを利用しているから、システム機能の修正や追加などの自由度の高いカスタマイズを行えます。自社のSCMに合わせたシステム運用をしたいという企業におすすめなのがオンプレミス型です。
専用サーバーを使っているので、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃を受ける心配が少ないですが、利用開始までに時間がかかることもあります。
「SCMシステム」の選び方は?
SCMシステムを選ぶポイントは「業務効率化に繋がるか」や「分かりやすさ」を軸として選ぶことをオススメします。
SCMシステムはサプライチェーンの見直しや在庫の可視化をして業務の効率化を図ることを目的とするので、システムを導入で本来の目的である業務の効率化に繋がるかは重要なポイントです。
分かりにくい画面や操作性だと1つ1つの操作や判断に時間を要してしまうので、業務効率化には「操作性や画面表示が分かりやすいこと」が必要不可欠です。
システムのお試し体験期間が設けられている場合は、実際にお試しとしてデモ画面を体験しておくのも良いでしょう。
「SCMシステム」比較検討時の注意点は?
SCMシステムを導入する際の比較検討時の注意点は利用スタートできる日にちを確認しておくことです。
特にオンプレミス型は自社専用のサーバーを用意する時間がプラスされるので、システムの運用がスタートできるまでに数ヶ月の時間を要すこともあります。実際にシステムが利用開始できる日にちを確認してからシステムを導入しましょう。
またSCMシステムはコストが高くなってしまう傾向にあるので、コストパフォーマンスの良いシステムを見つけることも大切です。1社だけでなく複数のシステムの見積を取得することで、自社に合った機能が搭載されているツールを選定することができます。
主要な「SCMシステム」の一覧
「楽々ProcurementII」(住友電工情報システム)
おすすめ対象者
注文書などの帳票のペーパーレス化を実現したい企業、内部統制を行いたい企業、取引先とのやり取りをWebで完結させたい企業、修理や支払伝票で処理している実績を把握したい企業、作業効率をアップさせたい企業、在庫管理業務を自動化したい企業
主要機能
購入依頼・見積・発注・入荷検収の購買業務全般の管理、電子承認、他システムをの連携、自動FAX連携、サプライヤサイトとの連携、バーコード連携
特徴
ペーパーレス化を実現、内部統制の強化をサポート、30種以上の豊富なインターフェース、販売管理の業務効率化、販売に関するコスト削減、下請法に対応した発注・検収
費用
【クラウドサービス】
従業員数:~500人/導入期間:4か月/初期導入費:~800万円
従業員数:~1,000人/導入期間:8か月/初期導入費:~800万円
従業員数:~700人 /導入期間:8か月/初期導入費:~900万円
従業員数:~300人 /導入期間:7か月/初期導入費:~1,200万円
そのほかModel SS(購買部門向け、中規模限定)、Model EX(取引先EDI専用、大規模向け)、Model GS(フル機能、中規模限定)、Model GLなど複数プランあり
無料プラン、無償トライアルの有無
無料プランなし、無償トライアルなし
サポートの有無
サポートの有無(カスタマーサポートによる電話・メール対応、専任担当によるサポート)
「クラウド型間接材調達支援サービス」(富士通コーワコ)
おすすめ対象者
サプライチェーン全体の可視化を目指す企業、テレワークでの利用を行いたい企業、コンプライアンスを強化したい企業、業務プロセスの改善を図りたい企業、人為的なミスを削減したい企業
主要機能
ワークフロー機能、専用カタログ機能、予算管理、管理項目、伝票照会、管理者機能(利用者の登録や変更、購入実績の確認、各種マスターの設定、履歴のダウンロードなど)
特徴
会計システム連携で発生費用が分かりやすい、業務工数を50%削減、柔軟なワークフロー管理
費用
初期費用、月額費用、その他費用については要問合せ
無料プラン、無償トライアルの有無
無料プランなし、無償トライアルなし
サポートの有無
サポートあり(カスタマーサポートでのメール・電話対応、最適化サポート、管理レポート)
「SCMシステム」導入のメリット、デメリット
SCMシステムを導入するメリット・デメリットは何かあげられるのでしょうか。SCMシステムのメリット・デメリットについてお話していきます。
SCMシステムを導入するメリットは次のようなものが挙げられます。
- SCMの一連の流れを可視化できる
- 不要な工程をカットして業務改善
- コストダウンできる
- 在庫の最適化ができる
SCMシステムを導入することで不要な工程をカットし、業務負担を軽減できます。工程をカットすることでその部分にかかるコストを削減でき、サプライチェーンの最適化が図れます。無駄な工程やコストを抑えて物流の流れを管理できるのは大きなメリットです。
また、SCMシステムでは在庫管理が行えて在庫を可視化できるから、必要なタイミングで仕入れを行え、余分に仕入れを行ってしまうリスクがありません。
サプライチェーンの全体像を可視化して把握することで、関連業務の効率化も図れるので相乗効果も期待できます。
SCMシステムを導入するデメリットは特にありませんが、SCMシステムはシステム内容が複雑なので導入にかかるコストが大きくなる傾向にあります。 導入時にコストはかかりますが、不要なフローの削減やSCMの見直し・改善などを行うことで業務全体のコストをカットできます。短期的だとデメリットとなりますが、長期的にみるとコストダウンができるメリットに繋がります。