くるみんマークとは?認定を受けるメリットや認定基準を解説

くるみんマークとは

くるみんマークは厚生労働大臣が一定の基準を満たした企業に対し「子育てサポート企業」として認定した証です。

「くるみん認定」されると付与されるマーク

一定の基準を満たした企業は、申請をおこなうことにより、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定であるくるみん認定を受けることができます。

仕事と子育ての両立支援を示す

くるみん認定を受けた企業には仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいるとして、くるみんマークが付与されます。

次世代育成支援対策推進法により実施

くるみん認定は次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働省が実施しています。また次世代育成支援対策推進法は次世代を担う子どもの健全な育成を支援する目的で、2005年に施行されました。

くるみん認定基準のクリアが必要

くるみん認定を受けるには、一定の基準をクリアしていることが要件となります。

基準をクリアすると「くるみん認定企業」となる

クリアすべき基準としては、次の10項目が設けられています。

10の認定基準

以下は定められた10項目の概要です。

①雇用環境の整備に関して行動計画策定指針に基づいて行動計画を策定していること

②行動計画の計画期間は2年以上5年以下であること。

③策定した行動計画は実施され、定められている目標を達成していること

④策定、あるいは変更した行動計画は公表され労働者へ周知が適切におこなわれていること

⑤男性労働者について次のいずれかが規定を満たしていること

・育児休業等取得率

・育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率

かつその割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること

⑥女性労働者の育児休業等取得率が定を満たしていること、かつその割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること

⑦子育てをする労働者に対し次の制度を講じていること

・育児休業に関する制度

・所定外労働の制限に関する制度

・所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度

⑧フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均と月平均の法定時間外労働が基準内であること

⑨次の各措置について成果に関する具体的な目標が定められ実施されていること

・所定外労働の削減のための措置

・年次有給休暇の取得の促進のための措置

・短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

⑩法および法に基づく命令、その他の関係法令に違反していないこと

くるみん認定企業とは

くるみん認定を受けると企業は「くるみん認定企業」として子育て支援の取り組みを対外的にアピールすることができます。

厚生労働省お墨付きの「くるみん認定」

またくるみん認定は「子育てサポート企業」であるという、いわば厚生労働省のお墨付きです。

くるみんマークの使用が可能

くるみん認定を受けるとくるみんマークの使用が可能となります。これにより子育てサポート企業であることが認められ、子育てしながら働きやすい雇用環境の整備に取り組んでいる企業であることを広く一般に周知しやすくなります。

商品・ホームページ・求人広告などに表示できる

取得したくるみんマークはアピールの手段としてホームページや求人広告、自社のパンフレットなどに使用できます。

プラチナくるみんマーク

くるみん認定よりもさらに高い基準の要件を満たすと、プラチナくるみんマークも使用できるようになります。これはプラチナくるみん認定を受けると付与されるものです。また、プラチナくるみんマークは黄色や緑色など全12色から自由に選択することができます。

2015年に新設

くるみん認定は時限立法として次世代育成支援対策推進法が成立した際に誕生しましたが、2015年に有効期限が10年延長されました。これに伴って新たに生まれたのがプラチナくるみん認定です。

くるみん認定より高い評価

プラチナくるみん認定はくるみん認定よりもより高い水準の取り組みをおこなった企業が対象となります。また2016年時点でくるみん認定企業が2,484社に対しプラチナくるみんの認定企業は79社と、現段階では希少性の高い認定となっています。

くるみんマークが作られた目的

では、なぜくるみんマークが生まれたのでしょうか。これには、日本の深刻な少子化問題がかかわっています。

次世代育成支援対策推進法の施行

背景としてまず挙げられるのは次世代育成支援対策推進法、通称・次世代法の施行です。

次世代法は少子化対策の一環として常時雇用の従業員が100人超の企業に対し、子育て支援についての計画を策定し、厚生労働大臣に届け出るよう定めたもので、これにより企業にとって子育て支援は義務となりました。

2003年に成立

次世代法は2003年に成立、また同時に施行されました。

国からの認定が受けられる

ただし、現状次世代法には義務を怠っても罰則がなく、実質的な強制力もありません。とはいえ、くるみん認定は国が主導し、お墨付きを与えることで企業の子育て支援の促進を図っています。

女性の働きやすさを追求

くるみんマークが生まれた背景としては女性が社会で活躍できる社会環境が整っていないことも大きく影響しています。

出産や育児による離職が多い

以前と比較すれば男性の育児休暇の取得や子育てへの参加が普及し、女性への負担は軽減しつつありますが、それでも仕事と育児の両立が難しいケースは少なくありません。これによりやむなく仕事を辞めるという選択を未然に防ぐ目的もあります。

女性のキャリア形成をサポート

働き続けることが難しいと、結果として女性のキャリアアップの機会も奪われてしまいがちです。そこで次世代法では女性が働きやすい環境の形成と、継続的な就労の実現も目指しています。

少子化による労働者の減少

加えて、少子化による労働者の減少が社会の大きな問題であることも、くるみんマークの誕生と無縁ではありません。

労働者の確保が困難になった

少子高齢化は働き手が不足に拍車をかけ、働くことができる年齢の人口の割合を示す「生産年齢人口」は減少の一途をたどっています。こうした状況で女性がライフイベントによって働けなくなることはさらに働き手を失うことになりかねません。このため、仕事と子育てを両立できる環境を整えるのは、国として急務となっています。

一人一人の従業員を重視する時代

またワークライフバランスについて考え、一人一人がより働きやすい環境を整備することは時代の要請でもあります。

くるみんマークのメリット

少子化問題の是正を目的して制定されたくるみん認定ですが、くるみんマークの取得はその認定に向けた取り組みによって、企業にさまざまなメリットをもたらします。

人材の確保

くるみん認定を受けた企業は働きやすい環境が整うことから、結果として人材の確保が実現します。

出産や育児の心配をせずに就職できる

出産や育児のサポートを受けられる職場は多くの従業員にとって安心して働ける環境です。特に子育て中、育児と仕事を両立したいと考えている従業員には大きな魅力となります。

将来を見据えて就職できる

くるみん認定を取得している企業は、出産・育児を経たあとも働き続けたいと考えている求職者にとって理想的です。このため、優秀な人材も確保しやすくなります。

社員の定着

働きやすい環境を提供できる企業は社員の定着を図ることもできます。

出産や育児による離職を防ぐ

出産や育児のサポートが実現していれば、これが原因で転職や退職を考える従業員を減らすことができ、企業側は突然の離職に頭を悩ませるリスクを軽減できます。

家庭を重視して働きやすくなる

一方従業員にとっては、家庭を重視して働きやすくなるワークライフバランスの改善につながります。

企業のイメージアップ

くるみんマークの取得することは社会的に子育てサポートをおこっている企業であると認知され企業イメージも向上します。

子育て支援は企業の責任という時代

くるみん認定の基準には過剰な残業や休日出勤の抑制、年次有給休暇の取得促進など、従業員の働きやすさを向上させるための内容が含まれます。これは子育て支援は企業の責任という時代の要請によるものです。このため、くるみん認定の取得に向け、環境整備を進めることは従業員の満足度を高めることにつながります。

業績向上にもつながる

くるみん認定の取得は取引先や顧客、地域社会からの企業イメージ向上にもつながります。さらに税制優遇(くるみん税制)を受けることも可能です。これは結果的に企業の業績向上に結びつきます。

くるみんマークの取得方法

では実際にくるみんマークはどのように取得すればよいのでしょう。

くるみん認定を受けるまで

くるみん認定を受けるには必要書類を準備し都道府県の労働局に申請しなければなりません。

仕事と子育て両立のための行動計画を策定

手順としては、まず現状の把握をおこない、これに基づいて行動計画を策定します。そして計画が完成したら従業員に周知し、おおむね3ヶ月以内に一般に公表します。

都道府県労働局雇用環境均等部に届け出

公表した行動計画は、策定日からおおむね3カ月以内に「一般事業主行動計画策定・変更届」で都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ届け出ます。届出方法は郵送・持参・電子申請です。

くるみん認定を受けるための基準

最後にくるみん認定を受けるための基準についてもう一度触れておきます。

10の認定基準

認定基準は上記「くるみん認定企業」の10の認定基準に準じます。

計画の実施と数値目標の達成

この10の認定基準では策定した行動計画を確実に実施することと、設定した数値目標を達成することが求められます。そのために場合によっては自社の業務分担の見直しなどもしなければなりません。また認定後には整えられた環境をさらにブラッシュアップし、より働きやすい職場づくりを目指すことが大切です。


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