合同会社とは?株式会社との違いやメリット・デメリットも解説

当サイトをご訪問頂きありがとうございます。おそらく「合同会社」の言葉に惹かれて

ご訪問いただいたと思いますので、近い将来ご自身や気の合う仲間と「合同会社」を

スタートアップすることをお考えなのかなと勝手な推測をしております。

ご存じと思いますが、この「合同会社」は2006年の会社法が定められた時にはじめて

打ち出された「新しい会社形態」です。以前は「GAFA」と呼ばれ現在はマイクロソフトも

入れて「GAFAM」と呼ばれる巨大IT企業(Google・Apple・Facebook・Amazon・

Microsoft)のうちGoogle・Apple・Amazonの3社が株式会社から合同会社に移行して

います。合同会社は手続きが簡便で費用も安価であるなどメリットが多いことがその理由

と思われます。そこでここでは、株式会社と比較しながら合同会社について述べますので

参考にしてください。

合同会社とは

初めに「合同会社とは」どのようなものか、合同会社の概要と株式会社との違いについて述べます。

合同会社の概要

「合同会社」という言葉が使われたのは2006年に会社法が改正された時です。

この改正は主に株式会社に関するものでしたが、その中で会社形態は「株式会社・合同会社・合名会社・合資会社」の4つが規定されました。

2006年に新設

「2006年に新設」された時の趣旨は次の通りです。

米国のLLCがモデル

合同会社は1977年にアメリカのワイオミング州で誕生しました。

合同会社のもとになったLLCは「Limited Liability Company(有限責任会社)」の頭文字を取った略称です。

パートナーシップ制度を発展させた新しい企業組織形態として初めて法制化されました。

当初は税金の扱いが不明瞭だったため設立は躊躇されることの多かった合同会社ですが、米国ではその後1997年に「チェック・ザ・ボックス・方式(LLCが法人として課税されるか構成員課税として課税されるかを選択できる制度)」が導入され、米国では増加の一途を辿りました。

持分会社の一種

合同会社・合資会社・合名会社は「持分会社」と呼ばれていますので、参考までに「持分会社」について触れておきます。

持分会社となった「合同会社・合資会社・合名会社」のうち合名会社と合資会社は日本特有の会社形態と言えます。それぞれの設立要件は次の通りです。

1   合同会社は有限責任社員1名以上で設立できる会社です。

2   合資会社は無限責任社員1名以上、有限責任社員1名以上で設立できる会社です。有限責任社員が資金の出資を行い、無限責任社員は技術力や信用力を提供というような分担が可能ですが、同族経営などの小規模な企業が多いようです。

3  合名会社は、無限責任社員1名以上で設立できる会社です。社員は無限責任ですので厳し い会社運営が求められますが、個人事業の事業主が複数人で共同事業を実施するパターンが 想定されているようです。

合同会社について遅ればせながら取り組み始めた日本でも米国の趣旨を受け継いでおります。

合同会社は「持分会社の一種」ですので、出資をする社員が経営の権限を持ちます。社員1名でも設立できますが、信頼関係がある人たちが集まって構成されるのが一般的です。

合同会社(本店)の総数は2021年時点で97,000社以上となっています。

株式会社の本店総数は約100万社ですのでかなり隔たりがありますが、会社数としては2番目の位置にあります。

出資者が会社の決定権を持つ

「合同会社」はLLCと呼ばれるように出資者と経営者が同一で、出資者全員が有限責任社員で構成される会社の形態を言います。

株式会社との違い

これに対して株式会社とどのように異なるのか見てみましょう。

ポイントは「所有と経営の分離」並びに「出資者の権限の違い」にあります。

所有と経営の分離

上述しましたように、合同会社は出資者が会社の決定権を持つのに対して、株式会社は株式等を購入して会社の出資者(所有権者)となっても会社の運営活動は行いません。

「所有と経営が分離」された状態になります。

出資者の権限の違い

株式会社の場合は、運営上の問題に関与する時は原則として株主総会を開催して行うことになります。

定款で運営上の問題に関して取締役会が任せられていることもあります。

合同会社の役職について

ここでは、役職について述べます。

合同会社の役職は「合同会社の社員」「代表社員」「業務執行社員」の3種類があげられます。

合同会社の社員

「合同会社の社員」が役職に就く場合は、「出資者が役員を兼ねる」ことになります。

出資者が役員を兼ねる

合同会社設立時に出資した人は「社員」になります。

一般的に「社員」というと会社の構成員を言い従業員を含めますが、合同会社の「社員」は出資者ですので、役職についた場合は、「出資者が役員を兼ねる」ことになります。

従業員とは異なる

従って、「従業員とは異なり」会社が倒産したりした時は自分が出資した範囲内で責任を負担することになりますが、従業員はその必要はありません。

代表社員

「代表社員」は株式会社で言えば「代表取締役社長」です。

しかし、代表取締役社長は株式会社の世界ですから、代表社員の呼称は工夫する必要があります。

代表社員を選定する理由は次に述べます。

業務執行権と代表権

業務執行権と代表権の関係は以下の通りです。

複数の社員が代表権を持つ

合同会社の「社員」は出資者で出資者は経営者ですから複数の社員が代表権を持っていることになります。

しかし、そのような状態では何事を決めるにも協議が必要で手間がかかります。

代表社員を1名に定めることも可能

そこで、代表社員を1名に定めることも可能になっています。それで選ばれた社員が代表社員です。

業務執行社員

また、出資して社員になったけど活動はあまりしたくない社員が出る可能性があります。

業務執行権を持つ社員

そのため業務執行権を持つ社員を決めることができるようになっています。

定款で特定の社員に限定できる

その選定は定款で特定の社員に限定することになっています。

その場合は、他の社員は業務執行権がなくなりますので、注意が必要です。

株式会社の取締役に該当

代表社員が選定されると株式会社の取締役に該当しますので「取締役社長」と呼びたくなりますが、法律上はあくまで「代表社員」ですのでそのまま使うのがベストです。

しかし、合同会社のことを知らない人は「社員の代表とはどのような地位なのか」と思うかもしれません。

「社長」という言葉だけなら良いのではないかなど様々な説がありますが、最近のトレンドとして米国では「CEO(最高経営責任者)」や「President(社長)」が良く使われていると言います。

日本でこれらの言葉を使う時は「代表社員」を併記するのが良いのではないかと言われています。

合同会社のメリットとデメリット

ここでは、合同会社のメリットとデメリットについて述べます。 

合同会社のメリット

「合同会社のメリット」としては「設立費用が安い」「運営費用が安い」「役員の任期を定める必要がない」「節税対策がしやすい」「経営の自由度が高い」「経営のフットワークが軽い」「社員は間接有限責任である」「株式会社に変更も可能」等のメリットをあげることができます。

以下順次説明いたします。

設立費用が安い

会社を設立する時は登録免許税を納める必要がありますが、合同会社は最低で1件6万円(原則は資本金×0.7%でその額が6万円に満たない時は6万円)です。

定款の認証は致しませんので手数料は発生しません(収入印紙代は必要ですが電子定款の場合はそれも不要)。

これに対して株式会社は登録免許税が最低で15万円(原則は資本金×0.7%)です。

また、定款の認証が必要ですので、その手数料が5万円になります。

運営費用が安い

税金関係は合同会社と株式会社でほぼ同じ扱いになりますが、合同会社は資本金が1000万円を超えなければ、消費税関係で消費税課税に該当する1期目と2期目の基準期間がないため消費税が免除されます。

また、株式会社は「決算公告費用」「重任登記費用」「株主総会開催費用」等が必要ですので、その分合同会社の運営費用は安価で済みます。

役員の任期を定める必要がない

「合同会社は役員の任期を設ける必要がない」こともメリットの1つです。役員改選にかかる手間と費用を削減することができます。

株式会社は定款で定めれば別ですが、原則は取締役が2年、監査役は4年が任期になっています。

節税対策がしやすい

合同会社の税金は法人税が課せられますので、個人が事業をしていて課税対象の所得が800~900万円を超える時は合同会社を設立した方が節税になる可能性が高いと言われています。

個人事業は「超過累進課税」が適用されるため、所得金額に応じて税率が最大45%になることがあります。

合同会社は資本金が1億円以下であれば最大23.2%で済みます。

経営の自由度が高い

合同会社は出資者が経営者ですから早く意思決定をすることができ、「経営の自由度が高い」と言えます。

株式会社は会社の方針や重要事項を決定するには、株主総会を開催する必要があります。

経営のフットワークが軽い

社員が経営者ですので、社員のコンセンサスが得られれば即活動を開始することができます。

株式会社の場合は、株主総会の開催あるいは定款で規定されていれば取締役会を開催して意思決定を

する必要があります。

間接有限責任

合同会社の社員が「間接有限責任」を負うということは、社員が出資した額の範囲内で責任を負うということですから、例えば会社が倒産してもそれ以上の責任を負うことはありません。

株式会社に変更も可能

合同会社を株式会社に変更することも可能です。手順は次の通りです。

1 組織変更計画書の作成をする

2 総社員の同意を得る

3 官報公告と債権者への催告をする

4 必要書類をそろえて登記を申請する

合同会社のデメリット

「合同会社のデメリット」として「認知度が低いため信頼性に劣る」「資金調達方法に限度がある」「出資者の対立が起きやすい」「上場ができない」などがあげられます。

認知度が低いため信頼性に劣る

株式会社は長い歴史がありますが、合同会社は2006年発足ですからまだ「認知度が低いため信頼性に劣る」傾向があります。

認知度が低いと取引先等との交渉が進まないこともありますので、国内に97,000社以上あることや「Google・Apple・Amazon」等が合同会社に移行したことなどを例に出して、丁寧に説明することを心がけると良いでしょう。

資金調達方法に限度がある

合同会社は「資金調達方法にも限度があり」ます。

設立するに当たって出資者が十分な資金がなければ金融機関等から借り入れをする際に苦労する可能性があり、設立後の事業実施のための資金調達も実績がないですから金融機関を説得するのに策を練る必要があると思われます。

出資者の対立が起きやすい

合同会社の運営は経営者である出資者全員が納得した上で実施することが原則ですから1人でも反対意見が出ると立往生します。

出資者(社員)が多くなるほど対立が起きやすくなりますので、常に経営方針や理念を共有するように努めることが求められます。

上場ができない

「合同会社は上場ができません。」合同会社には株式という概念がありませんので、もし上場したいのであれば上述した株式会社への変更手続きをして、認められてからになります。

上場は、株式を株式市場で取引できるようにすることですので株式会社でないと認められていません。

合同会社に向いている形態と業種

ここでは、合同会社に向いている形態と業種について取り上げます。

合同会社に向いている形態

合同会社に向いている形態は「スタートアップ企業」や「年商を抑えての起業」が向いているといわれています。

スタートアップ企業

スタートアップ企業は、新しいビジネスモデルを追求し、短期間で成長させ収入を得ることを目的としていますので、合同会社と多くの共通点があります。

迅速な意思決定ができることや利益分配が自由に行えることもスタートアップ企業にとって魅力です。

年商を抑えての起業

近年は比較的起業しやすくなっていますので、若い世代でも自分の会社を持ちたいと思っている人が増えているようです。

例えば「現在、会社に勤めていてもなんとか起業できないだろうか」と考えた時に一番気がかりなのは起業による収入と会社の給与と合算した時に払う税金等が跳ね上がることだと思います。

合同会社であれば利益の分配は定款で定めておけば自由に決めることができますので、結果的に年商を抑えての起業が可能です。

合同会社に向いている業種

「合同会社に向いている業種」は「IT関連企業」「小規模の飲食店」「学習塾」「ペット関連ショップ」などがあげられます。

IT関連企業

IT関連企業はその技術進化のスピードが速いので、常に社員間で情報・課題・方向性を確認しコンセンサスを得ながら活動することが求められます。

合同会社の活動と共通点が多々あります。

小規模の飲食店

飲食店は株式組織でない時は多くの場合個人が数人の従業員を雇って奮闘していますが、合同会社にすると法人組織になりますので、税法上などで個人経営よりはるかに有利な取り扱いを受けることができます。

また、自治体等の補助金・助成金・融資による借り入れもできますのでチャレンジする価値があります。

学習塾

多くの学習塾が合同会社の形態でユニークな活動を展開しています。

合同会社の知名度はまだ低いですが、学習塾の内容がよければ多くの受講生が集まります。設立を希望される場合は支援してくれる組織もありますので面倒な手続きを代行してくれます。

ペット関連ショップ

ペットは犬と猫が圧倒的に多いですが、犬は狂犬病予防法の関係で登録数が把握されており、厚生労働省の2021年度の登録数は609万頭です。

これに対して猫を飼うのは特に規制はありませんので、

もっと多いと推定されております。副業やリモートワークが認められるようになりましたのでペット

ブームは当分続くと思われます。獣医師でないとペットの生体を扱うショップは無理でしょうが、

合同会社を設立してペットに関連したフードや器具などを扱うショップを運営すると一財を成すことができる可能性が高いと思います。


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