リスケとは?意味や使用する際のマナー、使用しにくい時の用語も解説

ここで取り上げる「リスケ」はビジネスシーンで頻繁に使われるようになりましたが、使う場合は細心の注意を払う必要があります。

「リスケ」と聞くと発音が似ていますので「リスク」と早合点してしまいますが「リスク」は「(障害や損害の危険性や恐れ)」を意味しますので異なります。

そこでここでは、「リスケとはどのような意味があり、使用する際のマナーや使用しにくい時の代替用語」についても解説しますので、使い方を誤らないように参考にしてください。

リスケとは

「リスケ」は、日本語のカタカナで読んでいる「リスケジューリング」と言う英単語を簡略化したものです。

リスケの意味

リスケは英語の「リスケジュール(reschedule)」をカタカナ読みにして、さらに簡略化したものです。「スケジュールの変更」「予定の調整」「商品のデザインや仕様の調整」などの意味で使われています。

リスケジュール(reschedule)の略語

リスケはこの英語文字(resche)を見ていただくと分かりますが、(reschedule)を分割した略語です。会話はできるだけ早く意思の疎通を図るため、相手方が理解している単語などは省略する傾向がありますが、リスケもその影響を受けたものと思われます。

スケジュールの変更

リスケは(reschedule)に由来しており、reschedule の冒頭部分re は接頭語で「再び」の意味を持ちますので、スケジュールの再変更を意味します。企業などの組織体が例えば「フェスティバルを●月●日に開催します。是非ご参加ください」と公表したのに何らかの事情で変更することになった場合は、社会的な影響が大きくできだけ慎重に対応することが求められます。

予定の調整

リスケは予定の調整をする必要が生じた時にも使われます。例えば「うちの販売製品について顧客からクレームが来ているので、今日の開発会議をリスケしてくれない?」など同僚以下のメンバーとの「予定の調整」で使うことがよくあります。

商品のデザインや仕様の調整

「商品のデザインや仕様の調整」をする時もリスケが使われます。例えば、商品開発をしていると「このデザインはもっと派手にした方がいいよ。」「この仕様はもっと詳細に検討したらどうだろう」などのアイディアが出てきたりします。このような場合は、もっと調整して質を高めようという意味で「リスケ」が使われます。

金融業界におけるリスケ

一般的に使われている「リスケ」と意味合いが異なりますが、「金融業界においてもリスケ」が使われています。

借入条件の変更

例えば、住宅ローンの当初の借り入れ条件は「毎月5万円、ボーナス月は10万円返済する」という条件で借り入れましたが、会社倒産に伴う転職で収入が激減した場合に借り入れ条件の見直しを融資先の金融機関に行うことをいいます。金融機関はこれを受けて当事者と話し合いをしてリスケを実施します。

返済条件の変更

返済条件の変更は事業運営などで融資を受けた事業主が、例えばコロナ禍で事業収入が激減して返済に窮した時などに金融機関との話し合いにより返済条件を緩めてもらうことを言います。一般的には「月額返済額を一定の期間減額する」「返済期限を延長する」などの措置が取られます。

なお、金融業界で例えばイベントなどを企画している場合などは通常の意味の「リスケ」が使われることもあります。

リスケを使用する際のマナー

リスケは当事者同士が合意して決めた予定などを再度練り直しすることですので、相手方の気分を害することは最大限避ける必要があります。

使う相手を選ぶ

そのため、「使う相手を選ぶ」必要があります。「上司や目上の人には使わない」使う時は「同期・後輩・部下に対して使う」などの配慮をすることが必要です。

上司や目上の人には使わない

先述しましたように「リスケ」という言葉は簡略化した言葉です。会話では簡略語を使ってしまう傾向がありますが、「上司や目上の人、更には顧客や取引先」などの関係者に対しても使うのを避けるべきです。「軽率な人」という印象を与えてしまいます。

同期・後輩・部下に対して使う

貴方の同期・後輩・部下であればリスケという言葉を使用してもさほど問題は生じないと思われますが、それでも貴方の都合でリスケをお願いする時は最初に謝罪してから丁寧に説明すべきです。

相手の立場に配慮する

リスケは皆で確認しあって決めたスケジュールですから、それを再度スケジュールしなおすと、中には都合の悪い人がでる可能性があります。自分の都合で相手の人に迷惑をかけるわけですから親しくしている同僚や自分の後輩であっても百歩譲る気持ちをもって相手の立場に配慮する必要があります。このことはビジネスの基本と言えます。

ありのままの理由を伝えない

リスケを自分から要望する場合、その理由について相手方が不快にならないように気を使う必要があります。事実であっても、例えば「今週は重要な会議が入っていて」などの理由は「我々だって同じ状況だけどそれを承知でスケジュールを組んだはずだ」などと反発を受けて、以後の協力関係にヒビが入る可能性があります。

差し支えない理由を伝える

「嘘も方便」と言いますので、相手方が不快にならないように「差し支えない理由」を考えて伝えるのがベターです。「体調不良」や「大切な取引先からの緊急なクレーム対応」など弁解にふさわしい理由を考えてみてください。

リスケの伝え方

「リスケの伝え方」としては「できるだけ電話で伝えること」と「確認としてメールも送る」ことがあげられます。

できるだけ電話で伝える

「リスケが避けられない」と判断された時はできるだけその時点で相手側に電話をして謝罪し、「リスケに応じていただきたい」旨の連絡をする必要があります。いったん決定したビジネス上のスケジュールは重みがあり、相手側も予定していた業務をペンディングにして合意した可能性もあります。連絡が遅れるほど相手側にかける迷惑度が増します。最初に電話連絡することで、「迷惑をかけてすまない」という意思表示にもなります。 

確認としてメールも送る

電話連絡がクリアできたら「確認としてメールも送る」ようにします。リスケに応じていただいた「お礼の言葉」と「できるだけ早くリスケ案をご提案させていただきたい」など丁寧な文面にすることをお勧めします。

リスケを依頼する際の注意点

「リスケを依頼する際の注意点」として「相手に配慮したスケジュールの提案」「最終決定は相手にしてもらうこと」があげられます。

相手に配慮したスケジュールの提案

自分の都合でリスケをお願いしたわけですから、スケジュールの提案は相手に配慮したものになるようにします。例えば、「ご迷惑をおかけしましたので、早急にリスケの調整会議を開催したいと考えております。来週は5日から8日までなら対応可能です。その次の週であれば、木曜日を除いて緊急な予定は入っておりませんので、ご都合が良い日をご連絡いただければ対応いたします。」など相手側を尊重した日程調整を進めることを知らせることで好感を持たれます。

最終決定は相手にしてもらう

上記のように対応可能な日を事前に知らせて、相手側が希望する日をいくつか知らせてくれたら、その「最終決定も相手側にしてもらう」ようにすると再リスケがスムーズにいくと思います。

リスケ決定後の対応

リスケ決定後の対応として「すぐに相手に連絡」すること「承諾を得てから速やかに準備」に入ることがあげられます。

すぐに相手に連絡

 上記のように対応可能な日を知らせて相手方が希望する日も聞いて再リスケを決定した後は「すぐに相手に連絡」することと「承諾を得てから速やかに準備」作業に入るようにします。「すぐに相手に連絡」するのは、相手側が最終決定した日程に間違いがないか確認する意味も含みます。

承諾を得てから速やかに準備

日程の確認をしたら相手側の承諾を得て、再リスケのための資料作成等の共同作業に入ります。

相手の日程を優先する

共同作業をするに当たっては再リスケを要望した側は「迷惑をかけるという認識」をもって相手側に「多くの選択肢」を用意することが求められます。

迷惑をかけるという認識で

依頼者側の一方的な都合で相手側は再リスケに向けた共同作業をすることになりますので、常に「迷惑をかけるという認識」を持って作業に臨む姿勢が求められます。

相手に多くの選択肢を用意

ビジネスシーンは毎日のように目まぐるしく変化しています。時の経過とともに前回合意したリスケが現在は時代にそぐわないものになっている可能性があります。せっかくの機会ですから相手側の要望等に謙虚に耳を傾け選択肢にするとともに依頼者側も何かアイディアがあれば提案するなどして合意形成を図ると、進化した「リスケ」が誕生することを期待できます。

安易にリスケを行わない

リスケは冒頭で「スケジュールの変更」「予定の調整」「商品のデザインや仕様の調整」などを実施する時に使われる言葉であることを述べましたが、会議や打ち合わせなどを延期したい時などに「リスケできない?」等安易に使われる傾向があります。安易にリスケを使わないようにしましょう。

信用を失う可能性も

「リスケ」の乱発は企業の信用問題に影響を与えることがあります。かなり大きな労力を使って合意に達したことは「できる限り守る」ことを怠ると「信用を失う可能性」が

大きくなります。

一度にとどめる

再リスケについても述べましたが、会社の信用維持のためにも「一度にとどめる」ようにしてください。

リスケを使用しにくいときの用語

ここでは、リスケという言葉を使用しにくい時に代替できる用語を述べます。

同義語

「リスケ」を使うと相手側に失礼だなと危惧される時は「日程変更」あるいは「スケジュール調整」が同義語として使用できますが不快感を与えないためにマナーを守るようにします。

日程変更

日程変更を使う場合はいきなり「日程変更をお願いします。」と単刀直入に依頼するのではなく、まず日程変更が可能か打診するプロセスを入れるようにします。例えば、「●月●日にプロジェクト会議が予定されていますが、緊急な出張をすることになりました。プロジェクトも重要ですので参加したいのですが、日程を変更することは可能でしょうか?」と言うような問い合わせを入れるとギスギスしない展開になると思います。

スケジュール調整

「スケジュール調整」も代替語として使用できます。スケジュール調整は、例えばプロジェクトの場合、次の会議日程を決めるに当たってメンバー全員の都合を聞いて決定しますので、リスケと同じようなプロセスを踏襲します。

予定を延期したいとき

予定を延期したいときは「後ろ倒し」「先送り」の語句が代替語として使えます。

後ろ倒し

後ろ倒しは「予定の時期を先に延ばすこと」「予定を後ろにずらすこと」を意味します。

先送り

先送りは文字通り決断することをしないで先に延ばすことを意味します。

予定を早めたいとき

「予定を早めたいとき」は「前倒し」と「繰り上げ」が代替語として使用できます。

前倒し

「前倒し」は、近い将来に実施予定、あるいは実施考慮中の事項を、情勢の動きに応じ、時期を早めて実施することを意味します。

繰り上げ

「繰り上げ」は、日時などで一方向に順に並んでいるものを前に送ることを意味します。


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