ニュースや職場で、「シェアリングエコノミー」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
流行を見せているこの用語ですが、実際のところ何を意味しているのでしょう。
本記事では、詳しい意味やその活用方法について解説していきます。
シェアリングエコノミーとは
そもそも、シェアリングエコノミーという単語自体が少し抽象的です。
「エコノミー」とあるので経済関連の言葉というのはわかりますが、一体どういったことを指すのでしょうか。
シェアリングエコノミーの概要
シェアリングエコノミーが指し示す意味は、「一般人や企業が他者へ行う、インターネットを用いた取引サービス」です。
日本語では「共有経済」
日本語で言えば「共有経済」ですが、これは多様なモノを取引し共有することで成立するというところが元となっています。
モノやスキルを取引
経済ということで二者間での取引が行われるわけですが、物質的な商品だけではありません。個人の所有する人的資産という観点から、本人のスキルや手段を提供する場合も多いです。
新しい経済のシステム
こうしたシステムは、企業-消費者間のみの取引という旧来の仕組みとは大きく異なることが分かります。シェアリングエコノミーでは、消費者同士での取引も行うという部分が特徴的です。
プラットフォーム上で取引
消費者同士は一般人であり固有の取引場所を持たないため、インターネット上でのプラットフォームを介して連絡等を行います。アクセスの容易さから、複数の個人がマッチングしやすいことが特徴です。
デジタル庁が推進
シェアリングエコノミーは政府推進の概念であるという側面も持ち、中でもデジタル庁が導入による地域活性、転じて持続可能な社会実現の助けとなるということで奨励しているようです。
シェアリングエコノミーの主流事業
シェアリングエコノミーは「多様な消費者のニーズに効率よく添えるシステム」を目的としており、そのために取引されるモノの種類は多岐にわたります。
一般的な分類は次の通りです。
モノのシェア
まず、最も基本的ともいえるモノ、つまり従来通り目に見える物品のシェアです。
我々の必要品は企業から購入するのが主流ですが、それとは別の形態です。
フリマアプリ
物品は大抵、インターネット上で消費者同士が取引するフリマアプリ内で取引されます。現実のフリーマーケットと仕組み自体は同一であり、メルカリなどがその代表です。
レンタルサービス
我々がすぐ思いつくレンタルサービスというとDVDやCDなどですが、近年では日帰りでのペットのレンタルや恋人や家族役としての利用など、人間や生き物もレンタルサービスの対象です。
空間のシェア
次に広く普及しているのが、「土地」や「家」など空間のシェアです。
民泊
あまり一般的でないイメージがあるかもしれませんが、民泊もレンタルサービスに該当します。日本では外国人向けに行われるケースが多く、Airbmbといった企業による仲介のもと取引される例もあります。
シェアハウス
共有可能のスペースを持つ賃貸住宅を複数人で使用するシェアハウスも空間のシェアにあたります。
家電家具の購入費や光熱費、ガス代等の支払い義務が無い物件も多く、安価であるため人気のあるサービスです。
駐車場シェアリング
また、駐車場を一時的に貸し出す駐車場シェアリングなるサービスも存在します。あらかじめ予約しておくことで、主に混雑するレジャー、リゾート地での駐車場所確保が容易です。
移動手段のシェア
かつては個人所有の車のみでの移動か、そうでなければバスや電車の利用ということが普通でした。最近では、シェアリングエコノミーの風潮から新しい業態も生まれています。
カーシェアリング
移動手段のシェアの一つがカーシェアリングです。
カーシェアリングとは、専用の自動車を会員が共同使用するシステムのことを指します。
レンタカーとの相違点として、カーシェアはごく短時間の利用を想定しており、更に便利で安価な設定が消費者にとってのメリットです。
ライドシェアリング
また、車の相席に乗せてもらい特定の場所まで運んでもらう、タクシーのようなサービスのライドシェアリングも同様です。
ドライバーと顧客を企業がマッチングさせ、海外では既に複数確認されています。
ただ、日本は法律で自家用車が有料で客を乗せる行為が不可能であるため、一般的ではありません。
シェアサイクル
カーシェアのいわば自転車版として、シェアサイクルも存在しています。駅構外に設置されたサイクルポートで利用、返却が可能です。ICカードやスマホで利用できるという点も利便性に特化しています。
スキルのシェア
人的資産として、本人の持つ技能を活用してシェアされる場合もあります。
家事の代行
家の掃除を外部が代わりにする、家事代行のサービスがその一例です。
単身世帯の、特に手間のかかる家事をせず仕事に集中したい層が主な利用者です。
子育てのシェア
育児の面でもシェアが行われています。
例えば、急用で子どもの送迎ができないとき、短時間だけ預ける場所として対応可能な近隣の人が請け負います。
既に専用アプリも地域によっては導入済みですが、育児という性質上、請け負う人の知識や能力が求められます。
クラウドソーシング
もう一つの形として、クラウドソーシングが挙げられます。企業がインターネット上で消費者へ業務を依頼する形態です。
日本でもクラウドソーシングの利用者数は増え続けています。プログラム制作や動画制作などといった専門性の高いスキルを持つ個人に依頼することで、企業や個人のスポット的な需要を格安で補うことが可能となります。
金銭のシェア
資産、つまりお金を相手と共有することもできます。これにより従来の方法では難しかったような資金の調達が可能になってきます。
クラウドファンディング
その良い例がクラウドファンディングです。実行者が自身の活動と理由を公開したうえで支持を募り、支援者はそこへ寄付する仕組みです。
理由は途上国の支援や被災地救済、自主制作映画の費用等様々ですが、明確に支持者に見返りがあるものとしてはふるさと納税などが該当します。
シェアリングエコノミーのメリット
こうしたシェアリングエコノミー独自のシステムは、その効果も様々です。
消費者一個人と企業双方に利益が生まれているという点がポイントでしょう。
低料金で利用できる
先ほどのシェアハウスやカーシェアの例からも分かるように、個人としての手間がさしてかからないような仕組みとなっているため総合的なコストは抑えられるでしょう。
CtoCサービスが基本
企業が仲介、若しくは取引場所の制定をしている場合も多いですが、基本はCtoC(消費者間での取引)が基本です。
仲介料がかからない
定義の一つとして、インターネットでのCtoCがシェアリングエコノミーを指す為、プラットフォームを提供する企業以外に仲介役はいません。
したがってシステム利用料は必要になってきますが仲介手数料は基本的にかかりません。
遊休資産を活用できる
遊休資産、つまり自身が持てあましている資産を有効活用できることも大きな利点と言えるでしょう。空き家や暇な時間を他者の共有は、利用者・提供者共にメリットがあります。
持続可能な社会の推進に合致
リベラリズムにより多様化すると同時に、SDGsが叫ばれる今日では旧来のシステムを見直し持続可能社会にするという試みが世界的になされています。
効率的に消費者の需要に応えるシェアリングエコノミーは、社会の求めるシステムとも合致しています。
所有から共有する時代に変化
「一軒家を持ち、家庭を持ち、自家用車等を所有する」という考えがまだまだ一般的かもしれません。ですが上記の例からも見られるように、他者と自身の資産を共有しあうという時代への変化しつつあります。
社会情勢の変化に対応できる
シェアリングエコノミーはその流動性の高さから、社会情勢にも柔軟に対応できる点がメリットです。
システムのIT化により普及
シェアリングエコノミーと関係なく、世界ではIT化が進み続けています。
したがってインターネットのプラットフォームないしアプリを用いるシェアリングエコノミーは利用者を問わないため更なる普及が予想できます。
ニーズの多様化にも対応
これまでは自身の遊休資産は知り合いか近隣の人程度に共有する機会がほとんどでした。
固有のニーズをそれぞれもつ人々に応えるにはより広範囲を探す必要がありますが、インターネットを主軸とするシェアリングエコノミーで多様化したニーズのマッチングが容易になりました。
シェアリングエコノミーをビジネスに活かすポイント
それでは、シェアリングエコノミーをビジネスとして活用する場合、どのような部分を重視すべきなのでしょうか。
社会貢献
遊休資産にせよ本人のスキルにせよ、それを発揮できる場がなくては社会貢献となりません。ビジネスとして考えると、その基盤あるいはプラットフォームの役割を作ると同時に、いかに顧客の能力を生かせるか、それを踏まえるのが一つの指標となりそうです。
少子化や高齢化に対応
日本は特に少子高齢化社会です。家事や移動手段といった当たり前の事柄にも支障が出てくることが考えられ、だからこそそれに対応でき、更に利便となるようなサービスの方向性を目指すのも一考の余地があります。
助け合いの精神
災害時や非常事態だけでなく、平時からお互いに助け合うという心持を念頭におくといいかもしれません。子育て代行やライドシェアリングは正に足りている人が足りていない人を支える好例です。
組織よりも個人
BtoCからCtoCに置き換わっているように、シェアリングエコノミーにおいてはいかに個人を活用するかにかかっています。
ニーズのマッチングを推進
手軽にという点がポイントです。インターネットの普及、更にスマホひとつあれば、消費者は簡単にマッチングできます。その利便性の中で、いかに人々の需給をかみ合わせるかが重要になってくるでしょう。
個人の能力や資産をサポート
クラウドソーシングや家事代行に見られるような、特定の企業に属さずとも個人としての力を存分に発揮できるように支援していく枠組みを作ることで、個人の時間や能力、知識といった人的資産を活用するサポートができ企業側とのwin-winの関係が築けます。
まとめ
以上がシェアリングエコノミーの具体的な意味や説明です。
シェアリングエコノミーは政府も推進しており、今後日本において一般的な概念になるでしょう。
本記事の知識を基にビジネスでの新しいサービスの創出や、プライベートでのより自由度の高い生活への可能性を模索するのも良いのではないでしょうか。