ジョイントベンチャーとは
合弁企業とも呼ばれる
ジョイントベンチャーは、複数の企業がお互いに出資をして新しい会社を立ち上げることを言います。
複数企業の共同出資
通常、企業はその会社が出資をして経営をおこないます。
対して合弁企業とも呼ばれるジョイントベンチャーは、複数企業が出資して会社を設立することです。
新規事業の立ち上げ
新規事業の立ち上げには、企業間が持つノウハウを活かすことできます。
複数の企業が参画するので、様々な効果が表れます。
おもな2つの形態
出資の形としては次の2つです。
- 新会社を設立して共同で経営
- 株式を買収して共同で経営
1.新会社を設立して共同で経営について
出資をした各々の企業が、ひとつの新会社を設立して共同で経営をすること。
ジョイントベンチャーとしては、一般的にはこちらが多いです。
2.株式を買収して共同で運営について
既存企業の株式を一部またはほとんどを買収し、その経営を【既存の株主や経営者】そして【新たな株主】と共同でおこないます。
ジョイントベンチャーの特徴
成果を出すための時間がかからない
ジョイントベンチャーは成果が早く出ることが特徴です。
互いの資産を活用できる
すでに資産を持った企業同士が組んでビジネスをスタートするため、資産準備を構築する必要はありません。
即効性が期待できる
このため、準備期間が短く即効性が高いのが特徴です。
初期費用の心配が少ない
通常は会社の立ち上げ時、初期費用が回収可能かどうかがポイントになります。
しかしジョイントベンチャーでは、初期費用回収のリスクはありません。
着手金が不要
まず着手金制度は存在していないため、事前の費用が不要です。
売上に応じて報酬を分配
ジョイントベンチャーは原則として、売り上げに応じて報酬が分配されます。
よって初期費用回収のリスクが発生しません。
収益の見通しが立ちやすい
またジョイントベンチャーの特徴は、収益の見通しが立てやすいことです。
収益の測定が可能
設立した新会社の収益は、はっきりと結果に表れます。
分析と改善にも有利
収益結果が明確であれば、ビジネスの分析や改善もしやすくなり、以降の展望も見通しが立てられます。
ジョイントベンチャーのメリットとデメリット
それではジョイントベンチャーのメリット・デメリットについて挙げてみます。
ジョイントベンチャーのメリット
まずメリットには次の3点があります。
- シナジー効果が期待できる
- コストを抑えて新会社を設立できる
- リスクを抑えて新会社を設立できる
1.シナジー効果について。
シナジーとは相乗効果の意味です。
まずメリットとして、単独で新会社を設立するよりも結果が出やすいこと。
なぜなら企業間で人材・販路・技術・設備やノウハウを共有するためです。
例えばA社の優れた技術に加え、B社が強い販路で商品を販売する。
このようにお互いにプラスとなる影響を与えます。
ジョイントベンチャーの最大の強みは、短期間で売り上げがアップすることです。
2.コストを抑えて新会社を設立できる
低コストでの新会社が設立可能な理由としては
- 複数の企業で共同出資をおこなうこと
- パートナーとなる企業の経営資源をそのまま活用可能なこと
の2点であり、低コストで新会社が起ち上げられるのがメリットと言えます。
3.リスクを抑えて新会社が設立できる
単独で会社を起ち上げるよりもコストが減らせるためです。
仮に売り上げが伸びずにやむなく撤退することになった場合、損失を制限できます。
もしも1社だけで新会社を設立していた場合ならば、失敗した際のコストも非常に大きくなるでしょう。
ジョイントベンチャーのデメリット
次にデメリットも見てみましょう。主に3点が挙げられます。
- 企業秘密流出のリスク
- 利益率の低下
- 提携企業と関係悪化のリスク
1.企業秘密流出のリスクについて
共同出資する企業には、自社の技術やノウハウを提供するために【機密情報流出のリスク】が発生する恐れがあります。
これはパートナー提携する企業を、慎重に吟味しないとあり得るでしょう。
事前に契約を結ぶ際には、秘密保持義務を入れるのは必須です。
2.利益率の低下について
ジョイントベンチャーの利益率は【利益の配分が出資比率に応じること】です。
例えば出資比率が50%ならば利益も50%の配分です。
当然、出資比率が30%ならば利益も30%になります。
単独で会社を起ち上げるよりもリスクが軽減される反面、利益もそれに応じたものとなります。
結果的にはローリスク・ローリターンとも言えるでしょう。
3.提携企業と関係悪化のリスクについて
ジョイントベンチャーは、経営方針で意見の食い違いが生まれやすいです。
これは仕方がないかもしれません。
話し合いで互いが合意しなければ、意思決定が遅れてこう着状態になる恐れも。
出資比率が50:50の場合に起こりやすいトラブルです。
対策としては、パートナー企業を慎重に選ぶこと、出資比率に差をつけることが挙げられます。
少数派の意見も反映できる体制を作るには、出資比率に差をつけて事前に拒否権を設定することです。
これは出資比率が高い企業の意見だけを通すことを避けるためと言えます。
ジョイントベンチャーの事例
ビックロ
ユニクロとビックカメラが共同出店
特徴は以下の3点です。
- ビックカメラのポイントをユニクロのクーポン券に交換可
- ユニクロ店内にビックカメラの商品を使用したマネキンを陳列
- ビックカメラ店内にユニクロ製品が陳列
互いの客層を取り込めるメリット
- ユニクロは外国人観光客(家電を購入希望)を取り込める
- ビックカメラは女性や家族層(主にユニクロユーザー)をも取り込める
この施策として、ユニクロは外国人スタッフを増やす、ビックカメラは美容家電や子供対象の商品を増やしています。
楽天データマーケティング
楽天と電通が共同で立ち上げ
特徴は以下の点です。
- 楽天が保有している膨大なユーザーデータ
- 電通が保有するマーケティングのノウハウ
この点を活かして広告商品を開発。企業のプロモーション活動を支援しています。
大きなシナジー効果を獲得
データマーケティング市場において画期的な技術革新をもたらし、大きな効果が期待されています。
LINEとサイバーエージェント
販売プラットフォームと開発力の連携
LINEと言えば誰もが使っているSNSツールの運営会社です。
サイバーエージェントは有名なソーシャルゲームメーカーで、現在【ウマ娘】が大ヒットを記録しています。
このジョイントベンチャーのメリットは、LINEの【販売プラットフォーム】とサイバーエージェントの【開発力】を合わせられることです。
互いの弱点を補う
LINE GAMEとしても既にコンテンツを開発してはいますが、サイバーエージェントの開発力が加われば、より強力になるのは明らかです。
またグローバルなLINEがサイバーエージェントにプラスになるのも間違いありません。
LINEの持つ【販売プラットフォーム】にサイバーエージェントの【開発力】を組み合わせて、お互いの弱点を補っています。
ジョイントベンチャーを成功させるポイント
提携の条件は詳細に
出来るだけ前もって、提案条件の詳細を決定しておくこと。
この点がトラブルを防ぐ重要なポイントです。
「この場合はこう」と想定するのは、企業間の友好関係を築くために必要です。
出資比率や業務内容など
出資比率は、企業間で均等にはなりません。
異なる2社が出資率 50:50で企業したとします。
すると、お互いが議題に合意しなければ議決できません。
通常では提案した側が【株式】を多く引き受け、提案された側が【種類株式】を配当するとされます。
理由は、株式でも異なる権利があるためとされます。
また、業務内容も事前に詳細を共有しておく必要があります。
あとで「聞いていた内容と違うのでは・・・」といったトラブルをなくすためです。
出来るだけ細かく、事前に決定事項を設けることは、ジョイントベンチャーを成功させるポイントと言えます。
責任の所在を明確にする
責任の所在も、あらかじめ決定しておくべきポイントです。
後々のトラブルを防ぐためにも企業間の管轄範囲を決定しておくこと。
いざ何かが起きてからより、事前に責任の所在を決定しましょう。
信頼関係の構築
相手の立場を熟慮して提案を
ジョイントベンチャーのなかでも特に重要なのは【提案】です。
これも自分の企業だけを優先にして進めるのではなく、相手企業の立場を熟慮することがポイントです。
お互いのことを思いあっての提案は【信頼】を育むための重要なポイントです。
事前の準備を入念に
信頼を生むために求められる点は、事前準備を入念にしておくこと。
しっかりとした内容の分かりやすい資料を作成するのが必要と言えます。
その上で相手の立場・リスク・状況を考慮した提案でありたいものです。
お互いがお互いを考慮して活動を進めれば、必ず良い結果をもたらすでしょう。