コンセンサスとは?意味や使い方、コンセンサス方式の会議も解説

漠然とした理解のまま使用している人が多いビジネス用語が多くあります。

「コンセンサス」もそのひとつではないでしょうか。

この記事ではコンセンサスの意味と使用法、コンセンサス方式の会議とについて解説します。

コンセンサスとは

コンセンサスとはどういった意味で、合意とどう違うのでしょうか。

コンセンサスの意味

コンセンサスは元々ラテン語で、con(一緒に)+sentire(感じる)という意味であり、そこから英語で「同じように感じる」という意味になりました。

「総意」や「意見の一致」

辞書によると、「複数人の間での意見の一致」や「総意」といった意味になります。

全体の一致した意見

コンセンサス自体は1対1でも使用できますが、一般的には何かの物事を決定するにあたり、全体で一致した意見のことを指します。

ビジネスにおけるコンセンサス

ビジネスでは事業に関する事柄を決定し実行する必要がありますが、各人が常に同じ意見を持っていることはまずありません。

そのためビジネスにおけるコンセンサスとは「意見を一致『させる』」といった意味合いに近くなります。

意見の合意

ビジネスでのコンセンサスは「あらかじめ意見の合意を取ったうえで、意見を一致させる」というニュアンスが含まれることが一般的です。

意識や認識の共有

また、意見だけでなく、物事に対する方針や認識をすり合わせ一致させ、共有するといった意味合いも持っています。

コンセンサスの使い方

それでは「コンセンサス」が使用される場面について見ていきましょう。

コンセンサス方式

「コンセンサス方式」は「全員一致して決議する」ことを目的としたという会議の方式です。

全会一致の結論を出す

一般的に物事を決める際は投票による多数決が多いでしょう。

しかし、国連の安全保障理事会をはじめとする各種会議では、大多数の賛成がある状況において議題をスムーズに実行するために、反対意見側と事前に意見の調整を行った上で全会一致の結論を出す方式が多く採用されます。

一人でも反対意見があれば非承認

コンセンサス方式では一人でも反対意見があれば承認されません。

これに対して、誰も反対の意思表示をしない(積極的に賛成していなくても)場合は全員賛成とみなされ決議される方式を「ネガティブ・コンセンサス方式」と呼びます。

コンセンサスの確認

コンセンサスを得られている認識だったが取れてなかった、というと問題に対する意思決定が成立しなくなってしまいます。

それを防ぐため相手と同意の認識が合っているかの確認が必要です。

チームや提携業者の同意を確認

上司などに同意の確認を指示される場合もあるでしょう。

あとで認識の違いが発覚してプロジェクトが頓挫するようなことがないように、チームのメンバーや提携業者には十分な説明をしたう上で相手が正しく理解しているか、問題点はどこかをしっかり確認する必要があります。

次の段階へ進むために必要

では方向性がある程度決まっている状態でのコンセンサスの必要性は何なのかというと、関係者の当事者意識を高め実行をスムーズに行う効果があります。

コンセンサスを取る

「コンセンサスを得る」という他に「コンセンサスを取る」という使い方もあります。

この場合はどういった意味なのでしょうか。

事前の了解を取る

コンセンサスを取る、という言い回しは「事前に了解を取る」といった意味で使用されます。

会議であればその「前」に行われるイメージです。

根回しの意味でも使われる

ビジネスにおいて独断で決定することは大問題を引き起こす可能性があります。

そうならないように事前に関係者に了解を取る、つまり「根回し」といった意味合いです。

コンセンサス方式の会議

それではコンセンサス方式の会議はどのように行うべきなのでしょうか。

必ず全会一致を目指す

コンセンサス方式は一人でも反対意見があれば承認されません。

議題を決定するためには必ず全会一致を目指さなければいけません。

反対意見がなくなるまで続ける

全会一致をするためには反対意見がなくなるまでひとつひとつ聞き出し、解決方法や問題点を超えるメリットをアピールして納得してもらえるまで続けます。

次のステップに進むために必要

全ての反対意見を解消していくのは大変な場面もあります。

しかし、スタート地点で徹底的に問題点や反対意見を出し切っておくことで、その後実行段階に進んでから問題が噴出することを防ぎます。

全会一致を目指すための方法

全会一致を目指すための方法には事前に意見調整を行うことと決定の場で着地点を見つけることの2つがあります。

事前に意見調整する

決定の場で全ての反対意見を納得させるのは時間もかかります。

事前に意見調整を行い、根回しをしておくのがスムーズな全会一致のために有効です。

着地点を探る

全会一致を目指すためには反対意見を持つ側の意見をよく聞き、反対する理由を洗い出し時には譲歩も交えながら賛成側との双方が納得する着地点を探ります。

コンセンサスに関する用語

次にビジネスシーンの各業界で使われるコンセンサスに関する用語を解説します。

コンセンサスレーティング

コンセンサスレーティングは証券業界において使用される用語です。

証券アナリストの共通認識

証券アナリストが行う株式の銘柄に対する格付けのことをレーティングと言います。

コンセンサスレーティングとは、証券アナリストそれぞれの判断で付けた格付けを平均したもののことです。

コンセンサス予想

コンセンサス予想とは証券アナリストが企業の各種指標を基に行った業績予測を平均したものであり、この予想を基に株式相場が動く傾向があります。

コンセンサスゲーム

コンセンサスゲームとは、コンセンサスを形成する過程をゲームにしたものです。

コンセンサスを目指すゲーム

ゲーム内において設定されたストーリーに対して、グループで話し合いコンセンサスを形成することを目指すゲームで「脱出系」や「価値観系」、「決断系」などがあります。

研修やグループワークで利用

コンセンサスゲームは人材育成やコミュニケーションの向上を目的として研修やグループワークで利用されています。

コンセンサスアルゴリズム

仮想通貨業界では「コンセンサスアルゴリズム」という言葉が使われます。

仮想通貨業界のルール

銀行と違い、仮想通貨(暗号資産)の取引を行うネットワークには管理者が存在しません。

仮想通貨の取引では、ネットワークの参加者同士がその取引が正しいのかを検証し合意を行います。この合意するためのルールをコンセンサスアルゴリズムと言います。

データが正しいことを担保する

コンセンサスアルゴリズムのルールに基づいて複数の参加者で取引を検証することが、取引のデータが正しいことの担保になります。

ビジネスシーン以外のコンセンサス

ここで、企業以外でコンセンサスという用語が使用されている場合について見ていきましょう。

医学的コンセンサス

医学の世界でも「医学的コンセンサス」というものがあります。

業界の総意を示すコンセンサス

診断法・治療法などに対して医療業界で統一見解として示されるものを「医学的コンセンサス」と呼びます。

その時点での最適な意見として発表

学会などで最新の研究結果や知識に基づき決定され、現時点で一致した意見として出されます。

政治的コンセンサス

コンセンサスのイメージが最も強いのは政治ではないでしょうか。

民主主義において政策をスムーズに進めるために行われる政治家間での様々な根回しや、国民に対しての意識付けなどが政治的コンセンサスです。

国民のコンセンサスを得る

政策に対して国民や住民の同意を得ることを「ナショナルコンセンサス」と言います。

この場合全員ではなく大多数の国民を対象とした意味で使われています。

政策に対する総意を得る

目指す政策を成立実行させるために党内あるいは党外に対しても根回しを行い、総意を得ることも政治的コンセンサスです。

しかしその結果、政党同士の政策の違いが見えづらくなっているのも事実です。

まとめ

コンセンサスとは意見の一致だけでなく複数の関係者が合意するまでの手段も含めた包括的な意味合いを持っています。

業務に関わる意思決定と実行をスムーズに行うため、表面上の合意だけでなく課題と見解を共有できるようにアプローチすることが大切です。


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