「倉庫管理(WMS)ツール」とは?
「倉庫管理(WMS)ツール」は、名前の通り倉庫内の商品を管理するためのツールです。主な機能として、商品の「検品処理機能」や返品在庫を確認する「返品管理機能」などが搭載されており、材料・製品が入庫してから出庫されるまでの状況をリアルタイムで把握できます。
なお、倉庫管理(WMS)ツールと混同されやすいツールに「在庫管理システム」が挙げられます。両社の違いは管理の範囲であり、そもそも「在庫管理業務」の中に「倉庫管理業務」が含まれます。つまり、倉庫管理システムは「倉庫業務」のみを管理する限定的なツール。一方、在庫管理システムは在庫管理に関わる一連の業務を管理するツールです。
「倉庫管理(WMS)ツール」にはどのようなタイプがある?
倉庫管理(WMS)ツールの提供形態は、「クラウド型」「オンプレミス型「パッケージ型」の3種類に分かれます。
「クラウド型」はインターネットを介して利用するタイプ。自社でサーバ運用を行う必要がないため、他の提供形態よりもコストを抑えて導入できるのが魅力です。また、社外の関連物流会社とツール上で簡単に情報共有できる点もポイント。料金体系は基本的に月額払いがほとんどです。
「オンプレミス型」は自社内にサーバを構築して利用するタイプ。他の提供形態と比較して、自社にあわせたカスタマイズ性に長けています。ただし、サーバの運用・保守が必要になるため、導入にあたり専門知識を持った人が必要になる可能性もあります。
「パッケージ型」はサーバにインストールすれば即時利用できるタイプ。既に完成されたシステムのため、カスタマイズを行う必要もありません。機能にこだわりがなく、すぐに利用開始したい企業におすすめのタイプです。価格は製品によって大きく異なるものの、数百万円のものが多いです。
「倉庫管理(WMS)ツール」の選び方は?
業界、企業規模
「倉庫管理(WMS)ツール」を比較検討するにあたり、まずは対象の業界や企業規模をチェックしましょう。
「倉庫管理(WMS)ツール」の中には、特定業界に特化した製品もあります。例えば、食料品を扱う企業の場合は消費期限・賞味期限を管理する機能を備えた製品を選ぶべきです。また、倉庫を数多く保有している企業は複数倉庫を一元管理できる製品がおすすめ。海外に倉庫を保有している場合、多言語対応が可能かもポイントになります。
まずは自社特有の業務内容がないかを確認し、自社の倉庫管理にあった製品をピックアップしましょう。公式サイトから、自社と同じ業界・規模の企業が導入しているかを確認するのもおすすめです。
他システムの連携性
次に、他システムとの連携性をチェックしましょう。特に、倉庫管理は「在庫管理」「販売管理」と密接に関わります。既に他の在庫管理システムや販売管理システムを導入している場合は、スムーズに連携できるかを必ず確認しましょう。現時点で連携の必要がなくても、将来的に連携する可能性も考慮して製品を比較検討してください。
操作性
最後に、操作性をチェックしましょう。倉庫管理(WMS)ツールは、現場で働く従業員のほとんどが使用するもの。使いにくいツールでは、かえって業務の負担になってしまう可能性があります。中にはトライアル可能な製品もあるため、実際の操作性を確認しながら選びましょう。加えて、導入後に不明点が発生した場合に備えてサポート体制をチェックしておくのもポイントです。
「倉庫管理(WMS)ツール」比較検討時の注意点は?
倉庫管理(WMS)ツールを導入するにあたり、まずは自社の課題を明確にしておきましょう。
例えば、倉庫管理(WMS)ツールには出荷時に最も効率のいい動線で商品を取り出せる機能を備えた製品もあります。「商品の出荷に時間がかかっている」という課題があれば有効な機能ですが、企業によっては不要なケースもあるでしょう。
多機能な製品は魅力的に見えますが、結果使用しなければ無駄なコストがかかってしまいます。あらかじめ自社の課題を整理したうえで、自社に必要な機能が搭載された製品を比較検討しましょう。
主要な「倉庫管理(WMS)ツール」の一覧
「クラウドトーマス」(株式会社関通)
おすすめ対象者
生産性向上や出荷作業の効率化を狙う小中規模物流現場
主要機能
在庫管理、入荷・出庫管理、マスタ管理など
特徴
物流会社開発ならではの必要機能をそろえたシステム。
クラウド型システムのため、荷主側・倉庫側双方で出庫状況確認が可能。
初期費用、月額費用、その他費用
基本利用料(1~5アカウントまで):75,000円~/月
追加アカウント料(1アカウント):5,000円/月
追加ショップ・荷主料:50,000円/月
※11アカウント以上追加は別途サーバ利用料・保守料加算
※51アカウント以上は別途お見積
無料プランの有無、無償トライアルの有無
別途問い合わせ
サポートの有無
有(有料導入支援サービス、有料出張指導など)
「SLIMS」(株式会社セイノー情報サービス)
おすすめ対象者
豊富な機能と安心のサポート体制を備えたツールを求める企業
主要機能
入荷・出荷管理、在庫管理など
特徴
卸・小売・倉庫事業などさまざまな業界に適応した汎用タイプ。
24時間のサポート体制で導入が初めての企業も安心して使えます。
初期費用、月額費用、その他費用
【クラウド】
<スタンダード>
基本料金:49,800円~/月
<プロフェッショナル>
基本料金:140,000円~/月(出荷明細 6万行以下の場合)
<プレミアム>
別途お見積り
【オンプレミス】
基本パッケージ価格:6,000,000円(サーバ環境:Windows,Linux)
9,000,000円(サーバ環境:UNIX(AIX),IBMi(OS/400))
無料プランの有無、無償トライアルの有無
無料トライアル有(詳細は問い合わせ)
サポートの有無
有(24時間365日体制のヘルプデスク対応)
「LMS」(株式会社セイノー情報サービス)
おすすめ対象者
複数拠点の倉庫を管理したい企業
主要機能
物流プランニング、物流実績管理、物流費管理、KPI管理など
特徴
国内複数拠点の物流管理機能に特化。
国際物流向けには「LMS-GLOBAL」も。
初期費用、月額費用、その他費用
別途問い合わせ
無料プランの有無、無償トライアルの有無
別途問い合わせ
サポートの有無
別途問い合わせ
「Super-Vision」(株式会社東計電算)
おすすめ対象者
多くの商品を取り扱う量販店・食品製造業
主要機能
鮮度管理・ステータス管理機能、TC連携など
特徴
「衣・食・住」の物流に対応したシステム。
品番や賞味期限管理機能つきで在庫ステータスを一目で確認できます。
初期費用、月額費用、その他費用
別途問い合わせ
無料プランの有無、無償トライアルの有無
別途問い合わせ
サポートの有無
別途問い合わせ
「倉庫管理(WMS)ツール」導入のメリット、デメリット
メリット1:誰でも同じ作業ができるようになる
倉庫管理(WMS)ツール導入のメリットには、まず、誰でも同じ作業ができるようになる点です。
倉庫管理(WMS)ツールの導入により、一部の作業を自動化できます。結果、複雑な業務を削減できるため、新入社員やヘルプ人員などでも同じクオリティで作業できるようになります。また、ツールを使用しない入出庫帳簿記入などは、入力ミスが起きる可能性も否めません。ツールで作業を自動化することで、人為的ミスの削減につながる点もメリットです。
メリット2:倉庫の状況を正確に把握できる
次に、倉庫の状況を正確に把握できる点です。倉庫管理(WMS)ツールを導入することで、倉庫内の在庫情報をリアルタイムで把握できます。現場とデータのタイムラグがなくなり、無駄な在庫保有の削減につながります。
また、現場の進捗状況も把握できるため、全体の作業管理がしやすいのもメリット。作業量を可視化することで人員配置の見直しにつながり、結果的に無駄なコストを削減できる可能性もあります。
デメリット1:導入時に手間がかかる
倉庫管理(WMS)ツール導入のデメリットに、導入時の手間が挙げられます。倉庫管理(WMS)ツールの導入にあたり、現場社員がツールを利用できるように教育しなければなりません。場合によっては、マニュアル作成や研修を行う必要があります。このように、導入後しばらくは管理者・現場ともに負担が増えてしまう可能性があります。
デメリット2:コストがかかる
次に、コストがかかる点です。特に、オンプレミス型やパッケージ型の場合は莫大な初期費用がかかってしまいます。初期費用が安価なクラウド型でも、長期で使用すればかなりのコストになってしまうため注意しましょう。導入後の費用対効果を見積もったうえで、導入するか否かを検討するのがポイントです。