IT資産管理ツールの比較

「IT資産管理ツール」とは?

IT資産管理ツールとはその名の通り「IT資産管理」を行うためのツールで、IT資産管理とは企業内のハードウェアやソフトウェアなどのIT機器(資産)を管理することを指します。

多くの企業がIT資産管理ツールを導入するのは「企業が所有している資産を把握するため」や「セキュリティとコンプライアンス強化」という2点が目的です。

例えば、企業が所有しているIT資産の不正利用が発覚してしまうと問題となるため、ソフトウェア利用時にライセンス違反を行っていないかなどの状況を把握しておかなければなりません。

また、企業には年に一度固定資産税を支払う義務があるので、所有しているハードウェアの台数や所有部や機器の利用状況などを把握しておかなければなりません。

管理の規模が小さいうちはExcelで手動入力をして管理することも可能ですが、管理機器が増えていくと人為的な確認ミスや機器を紛失してしまった際に気付くのが遅れてしまうリスクも発生します。

IT資産管理ツールを導入すると、ツールを確認するだけで最新の状況を一元管理できるため、業務効率が大幅にアップします。

「IT資産管理ツール」にはどのようなタイプがある?

多くのIT資産管理ツールはクラウド型とオンプレミス型の2種類が提供されています。

クラウド型は次のような特徴があります。

・インターネット環境があれば時間や場所を問わずに利用できる

・新しいサーバーを用意する必要がない

・導入後すぐに利用スタートできる

提供会社が提供する既存サーバーを利用してツールを利用するので、新しいサーバーを設置する必要がなく、申し込みから導入までがスピーディーです。

またインターネット環境があれば利用可能なため、テレワークなどを導入している企業にも使い勝手が良いとされています。

デメリットは自社専用の回線ではないので外部からの不正アクセスを受け付けてしまう可能性があるという点です。クラウド型はセキュリティ面で不安だという方はツール内でセキュリティ対策を行っているものを選ぶと良いでしょう。

オンプレミス型は次のような特徴があります。

・自社専用サーバーだから自由度の高いカスタマイズが可能

・外部からの攻撃を受けにくい

・既存システムとの柔軟な連携ができる

オンプレミス型は自社専用のサーバーを新しく用意して、システムを利用する方法です。

そのためサーバー構築のための初期費用が発生しますが、ツールの機能追加や修正など自由度の高いカスタマイズが行えます。また自社設備だから既存システムとの連携も可能な点もメリットと言えるでしょう。

ツールのバージョンアップがリリースされると自社で更新作業を行わなければならないので、企業内に情報システム担当者が不在の企業にとってはダブルアサインメントとなるのでデメリットとなります。

「IT資産管理ツール」の選び方は?

IT資産管理ツールを選定する際のポイントは「運用タイプ」や「セキュリティ機能」を軸として選ぶと良いでしょう。

IT資産管理ツールはさまざまなツールが提供されていますから、まずはクラウド型かオンプレミス型か自社に適した運用タイプを選びましょう。

自社内にシステム運用ができる社員がおらず、導入してからすぐに利用を開始したい方はクラウド型、自社に向けてカスタマイズをして利用したい方はオンプレミス型がおすすめです。

運用タイプを選んだら、次はセキュリティ機能に着目してツールを選定しましょう。

IT資産管理ツールは会社の機密情報が多く保管されます。そこに外部からウイルスが侵入して情報が流出してしまうと会社の社会的信頼が下がってしまいます。情報流出を未然に防ぐためにもセキュリティ機能が高いツールを導入しましょう。

「IT資産管理ツール」比較検討時の注意点は?

IT資産管理ツールを比較検討する際の注意点は、オンプレミス型を選んだ際のテレワーク導入です。

オンプレミス型ツールは自社回線を利用してアクセスします。

社内サーバーを通らなければツールの利用ができないため、テレワークなどで自宅からツールを利用したい場合はVPN(Virtual Private Network)接続などの外部から自社サーバーにアクセスしなければなりません。

VPN設備が整っていない企業がテレワークを導入する際には、あわせてVPN設備の導入も検討する必要があるので注意しておきましょう。

主要な「IT資産管理ツール」の一覧

「AssetView」(株式会社ハンモック)

おすすめ対象者

業務効率を向上させたい方、内部不正対策をしたい企業、IT資産管理を簡潔に行いたい方

主要機能

PC更新管理、マルウェア対策、VPNセキュア、PC操作ログ管理、メール監視・分析、デバイス制御、不正PC遮断、Webフィルタリング、アーカイブ、ファイル暗号化、個人情報検索、IT資産管理、リモートコンソール

特徴

導入実績9,500社以上の信頼と実績、IT資産管理部門で8期連続受賞、オンプレミス型・クラウド型から運用タイプが選べる

費用

オンプレミス型、クラウド型ともに初期費用・月額料金は非公開(要問合せ)

無料プランの有無

なし、無償トライアルあり(期間不明)

サポートの有無

あり(問い合わせ窓口、セミナー)

「MCore」(住友電工情報システム株式会社)

おすすめ対象者

「IT資産管理」「セキュリティ対策」「コンプライアンス遵守」をまとめて行いたい方、サポート大切の整っているツールを利用したい方

主要機能

PC資産管理、ウイルス対策ソフト管理、資産管理、メッセージ配信、ソフトウェア配布、パッチ管理、インストールソフトウェア管理、ライセンス管理、操作ログ管理、ネットワーク検疫、統計レポート、IPアドレス管理

特徴

国内で自社開発されたシステムによる高い信頼性、1万台以上の管理・運用も1サーバーで管理できる、コスト低減・負担軽減、運用重視設計で使いやすさを追求

費用

初期費用、月額費用、その他費用については非公開(要問合せ)

無料プランの有無

なし、無償トライアルあり(体験セミナー)

サポートの有無

あり(MCore専用サポートデスク、オンラインセミナー)

「IT資産管理ツール」導入のメリット、デメリット

IT資産管理ツールを導入するメリット・デメリットについてお話ししていきます。

IT資産管理ツールを導入するメリットは「内部統制の強化ができる」や「IT資産が一元管理できる」という点です。

内部統制は企業が機能するために重要な役割を果たしています。企業内でのルールが乱れてしまうと、経営上でのリスクが高まってしまい、コンプライアンス違反で社会的な信頼を失ってしまうことも考えられます。

IT資産管理ツールを利用することにより、企業内で管理している固定資産の会計処理を正確に行うことができたり、社内セキュリティの強化を行ったりできるのがメリットと言えます。またIT資産が一元管理できることで管理する端末が多いほど、業務の効率化が大幅にアップします。

例えば、社内で新しい端末を導入により古い端末を使わなくなってしまうこともありますが、端末を使わなくなったからといって管理をしなくても良いという訳ではなく、利用状況を把握しておかなければなりません。

使わなくなった端末のライセンスを継続して契約していては経費の無駄遣いになってしまいます。IT資産の利用状況やライセンス契約が一元管理できていれば、端末のメンテナンス作業など必要な機器に投資することが可能となります。

IT資産管理ツールは自社にあったツールに出会えなければ上手く運用することができず、デメリットとなってしまう可能性もあります。

ツール選定の際はツールを導入する目的を明確化し、必要な機能をきちんと確認しておきましょう。実際に導入した後にカスタマイズ機能が必要となることもありますので、後から利用タイプが変更できるツールを視野に入れることもおすすめです。


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