キックオフとは?意味と目的やキックオフミーティングについても解説

新年度が始まって入社式が行われ、社長が挨拶で「今年度は社員の皆さんが頑張って開発した新商品を売り出すために、キックオフミーティングでプロジェクトを立ち上げプロモーション計画を検討してもらうので、新入社員の皆さんも積極的にプロジェクトに参加してください」と言われると「え!?キックオフってサッカーだけじゃないの?」と思われるかもしれませんね。

そこでここでは、新入社員が入社早々戸惑わないように「キックオフとは何か、意味と目的やキックオフミーティングについても取り上げてみます。

キックオフとは

キックオフはフットボール(蹴球)と呼ばれる球技である「サッカー・ラグビー・アメフト」などで「球を蹴りだす」という意味があります。原則的には「試合開始」を意味します。

キックオフの語源

「キックオフ(kick off, kick-off)」の語源はサッカーやラグビーが発祥したのが英国ですからキックオフという言葉も英国です。

因みにキックオフを意味するドイツ語は“Kirchhoff”、フランス語は”Le coup d’envoi“です。

国際的なサッカーが行われる時は、おそらくどの国の選手も「キックオフ」と言うのではないでしょうか。

また、kick off は英英辞典では、get started(始める)と言う意味が載っていますので、ビジネスの世界ではプロジェクトなどを開始する意味で使われています。

サッカーやラグビーの試合開始

近年は日本でも多くの方々がサッカーファンやラグビーファンですのでご存じだと思いますが、「キックオフ」と聞くと「いよいよ試合が始まったな」と胸が高まると思います。

サッカーの場合は試合開始に先立って、事前にコイントスを行い、勝ったチームが攻める方向かキックオフかを選ぶことができます。「キックオフ」を選択した時は、相手チームは後半戦でコートチェンジを行った上でキックオフすることになります。1試合で最低1回は両チームの選手がキックオフをします。試合がもつれて延長戦になった場合、サッカーでは前半15分、後半15分合計30分で勝負を決めることになっており、この時も両チームが交互にキックオフをすることになります。

得点後の試合再開の合図

得点後の試合再開の合図としてもキックオフが使われます。この場合は得点を決められたチーム側の選手がキックオフをすることになっています。

参考までにキックオフのやり方を述べます。

サッカーフィールドはちょうど真ん中にハーフウェイラインが引かれています。その中央部分にセンターサークルと呼ばれる円が描かれています。この円の中央にボールが設置され、審判の合図を受けてその時のキッカーがボールをキックオフします。キックオフする時の制約はいろいろありますが、そのキックオフが有効と審判が判断すれば、試合開始になります。   

ビジネスにおけるキックオフ

上述しましたようにサッカーやラグビーで「キックオフ」と言うと「試合開始」ですから、これにあやかってビジネスで使われる時は「プロジェクトなどを始める」意味で使われています。

日本語で言えば「決起集会」

「決起集会」と言うとメーデーなどで企業の従業員などが公園に集まって、手を突き出しながら「頑張ろう!!」と声を張り上げている光景が目に浮かびます。ビジネスでは「今年こそ開発した製品で同業他社を凌駕する売上高ナンバーワンを実現し、ボーナスを倍増するぞ!」などと決意している人が多いと思います。その意味でビジネスにおけるキックオフは正に「決起集会」です。  

最初の会合は「キックオフミーティング」

例えば、開発した自社製品をプロモーションする場合、成功させるにはプロジェクトを立ち上げ詳細な検討をする必要があります。このため、最初にどのようなプロジェクトにするのか全社的な意思統一を図って協力し合う体制をつくることが求められます。

その役割を果たすのが「最初の会合で行うキックオフミーティング」です。 

キックオフが使用されるケース

キックオフミーティングの目的・内容・進め方などについては後述します。

企業の一年間の活動の中でキックオフに当たる例を挙げてみます。

初回ミーティング

毎年4月になると新人を採用した企業は受け入れ態勢を整える必要があります。そこで企業側は初回ミーティングをどのような形で実施するか考える必要があります。日本経済新聞の2022年3月15日の記事では4月実施の入社式を対面で実施すると答えた企業は約7割、新人研修も約6割が対面で実施予定と言いますから、初回ミーティングの運営方法は新人社員に大きなインパクト与えると思います。

新プロジェクトの始動

新プロジェクトの始動も年間計画の中で一番効果的な時期にキックオフすることが求められます。時期を誤ると後々まで影響したり、最悪の場合は失敗したりします。

新チーム発足

新チームのメンバーには新人社員も当然含まれるでしょうから、他のメンバーの足を引っ張らないように、新チームの発足に備えてできるだけ早期に自分の担当業務や会社事情を把握しておくことをお勧めします。

新年度スタート

開発した新製品を新年度にプロモーションするのであれば、新年度の数カ月前からその方法を考えて、新年度に入ったらスムーズにキックオフミーティングにかけることができるように準備しておけば、新たな気持ちで新年度を迎えることができます。

キックオフミーティングとは

先述しましたように「キックオフミーティング」は、企業等が新商品や新サービスなどをプロモーションする時に、その「プロジェクト」を組織するために、全社が一丸となって心を合わせて推進することを確認し合う会議です。

新プロジェクトの初回会議

キックオフミーティングは、「新プロジェクト設置」を全社員や場合によってはステークホルダーも参加して意思統一することを主眼としていますので、位置づけとしては、新プロジェクトの初回会議になります。

メンバーの顔合わせ

キックオフミーティングが最重視するのはメンバーの顔合わせです。参加者は普段それぞれの部門で自分たちの仕事に追われていますので、大企業ほど「顔は見たことがあるけど話したことがない人」が多いと思います。キックオフミーティングの顔合わせは、全員が自己紹介を行い、質問を受けたりして和やかな雰囲気で交流を深めるようにします。     

プロジェクト開始前に行う

キックオフミーティングは、「製品等のプロモーションに向けたプロジェクトの設置」を全社的に認知・協力することも目的の1つとしていますので、プロジェクト開始前に行います。   

キックオフミーティングの目的

その他のキックオフミーティングの目的として次のような事項をあげることができます。

チームの雰囲気を良くする

プロジェクトを設置するにあたってチーム編成が行われると思いますが、キックオフミーティングに出席していれば顔見知りになりますので、「良い雰囲気」でプロジェクトの推進を図れます。 

プロジェクトの目的を共有する

キックオフミーティングでプロジェクト設置の目的が語られ、参加者は質疑応答を通じてその重要性が分かると思いますので、「プロジェクトの目的を共有する」ことが可能です。 

各自の役割を確認する

プロジェクトの進め方の中で、役割分担が提案されると思いますが、参加者が所属する部門の専門性を活かして協力できることが分かると思います。「各自の役割を確認する」ことができます。 

スケジュールを確認する

キックオフミーティングではスケジュール表やタイムラインが示されるのが通例です。

「スケジュールを確認する」とともに、自分自身の専任業務との関係で早めの調整が可能になります。

キックオフイベントとは

キックオフミーティングは、プロジェクトを設置するために行いますが、似ているもので「キックオフイベント」があります。

キックオフイベントは各企業が1年の節目で実施するイベントです。例えば、新年度が始まる時に大きな会議室を借りて全社員を集め、社長から「今年の目標」を聞いて共通認識を得てから、アトラクションなどを実施して社員同士が友好を深め、計画しているプロジェクトにつなげるなど様々な形態があります。しかし、目指している方向性は「社員同士の活発な交流」と「会社目標の共通認識」と言えるでしょう。これは年度初めの例ですが、年度の中途でプロジェクトをスタートさせる時に行われることもあります。プロジェクトメンバー間の結束とゴールの共有を目指すためです。           

ここでは、開発した製品やサービスのプロモーションを話題に取り上げてきましたので、プロモーションのためにキックオフイベントを「新商品の販売スタート時に開催」することを想定してみます。

新商品の販売スタート時に開催

「新商品の販売スタート時」は、とにかく多数の顧客に来てもらうため多様なキックオフイベントを計画すると良いでしょう。プロジェクトで検討し全社をあげての事業ですから、事前の広報活動も重要です。テレビ・インターネット・SNS・紙媒体等を使って「新商品の特徴や他社にない強み」をPRすることをお勧めします。近年は「動画」を使った紹介がトップ人気です。

新入社員の方は一番若い層で感性が豊かですから、どんどんアイディアを出してリードしてください。 

新商品を顧客に印象付ける

「新商品を顧客に印象付ける」こともキックオフイベント実施目的の1つです。

「実際に商品を手に取って使ってみる」ことが一番印象に残りますので、キックオフイベントに取り入れてみたらどうでしょう。その際に「なぜこの商品を開発したのか」「開発で苦労したこと」などのトークが入ると効果が上がると思います。人それぞれですから、「新商品に印象をもつのはこんなとき」と自分たちの経験で話し合い対策を立てても良いですね。 

集客につながる重要なイベント<

キックオフイベントは「集客につながる重要なイベント」ですので、新入社員は若い層をターゲットに多様なイベントアイディアを出してください。イベントに学生などを巻き込むなど「若い人目線」でアイディアを出すと喜ばれると思います。

キックオフの類義語

キックオフの類義語に次のような言葉があります。

ローンチとリリース

混同しないようにそれぞれについて説明します。

ローンチ

ローンチは英語の「launch」を日本語で発音したものですが、「ロケットの打ち上げ・ミサイルの発射・船の進水」などの意味があります。これから転じてビジネスで使われる時は「売り出す・公表する」という意味です。日本の場合は、IT業界が新しいウエブサイトやアプリを公開するときに使った言葉ですが、現在はビジネス関係で「商品の発売開始」するときに使われています。

 参考までに「プロダクト・ローンチ」というと有名な販売手法です。最初は商品を無料で提供していき、見込み客が「これは良い商品だ」と期待値が高まったら有料商品を販売すると爆発的な売り上げにつながると言います。ジェフ・ウオーカーという米国のウェブマーケターが提唱した手法です。

リリース

リリースも英語の「release」から来ています。「釈放する・取り除く・切り離す」などいろいろな意味で使われますが、映画や音楽関係でもよく使われています。「映画の封切り・レコードや出版物発売」などローンチとは異なるジャンルで使用されています。

新商品の発売や新サービスの開始

総体的に見ると「キックオフ」「ローンチ」「リリース」の3つの言葉は「新商品の発売や新サービスの開始」の意味で使われていますが、ジャンルや業界の違いでニュアンスが異なっているようです。 

キックオフミーティングの注意点

キックオフミーティングを成功させるために開催時期や進行上で気配りをするべき事項など注意点を述べます。 

開催時期に注意

キックオフミーティングをタイムリーなものとして成功させるために次の2点について気を付けてください。

プロジェクト開始前に行う

キックオフミーティングはプロジェクトを立ち上げて開発した商品やサービスを市場に提供するための「決起集会」ですから「プロジェクト開始前」に開催します。   

早すぎても良くない

早くプロジェクトを設置したいと思って、綿密な準備や会社あげてのコンセンサスが不足していると本番で紛糾する恐れがあります。「早すぎても良くありません」ので、足しげく各部門やステークホルダーにコンタクトして「最適の日」を決定するようにします。

進行上の注意点

「進行上の注意点」として、キックオフミーティング開催中は次の2点に注意してください。  

難しい用語の多用を避ける

専門用語など「難しい用語の多用」は聞いているだけで疲れます。目的は全社員が新商品販売に向けて結束することです。その雰囲気を作り出すことができるように、優しい言葉で語りかけて説得力を持たせてください。

質問受付の時間を決めておく

内容を深めるための質疑応答は必要ですが、決められた時間内の引き締まったキックオフミーティングにするために、「質問受付の時間は決めておく」ようにします。ミーティング担当者会議で出た課題の事例と解決策をあらかじめプリントして配布しておくと質問が減るでしょう。


AD