ロングテールとは?意味やメリット、Webマーケティングに活かす方法も解説

ネット通販をご担当されていて「ロングテール」という言葉に興味を持たれてご訪問いただいたものと拝察しております。

総務省のホームページを訪問してみますと、「令和4年情報通信に関する現状報告の概要」の中で「EC関係」が取り上げられています。それによりますと世界のEC市場の売上高は2020年に新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で大きく増加し、2021年も堅調に推移して542.0兆円(前年比19.5%増)となっています。国別に見ますと、中国が178.4兆円と最も大きく、次いで米国101.7兆円、日本は28.0兆円、ドイツ17.2兆円、英国16.6兆円、韓国13.7兆円となっています。この売上高を見ますと日本はG7(先進国首脳会議)のメンバーであるドイツや英国を上回っていますので比較的健闘していると言うことができます。

ロングテールはEC市場における基礎的戦略の1つですので、売上高28兆の中にはロングテールの実践により獲得した売り上げも含まれています。

そこでここでは、「ロングテールとはどのようなことを言うのか、その意味やメリット、Webマーケティングに活かす方法」も解説しますので参考にしてください。

 

ロングテールとは

「ロングテールとは」英語の「(the)long tail」を日本語のカタカナで表現した言葉です。

ロングテールの意味

英語の「(the)long tail」は「長いシッポ」の意味をもちます。「なぜ長いシッポなのか」という興味が沸いてきませんか?

この「長いシッポ」と言う言葉を使ったのは、現在は3D Robotics社のCEOを務めるクリス・アンダーソン (Chris Anderson)氏です。

クリス・アンダーソンが提唱

クリス・アンダーソンが米国のWired誌編集長時代にICTを利用した販売は、これまで考えなかった現象が起きることを発見し提唱したものです。

販売数量グラフが表す形

彼は販売数量グラフの作成をすることを試み、そのグラフが表す形に注目しました。

縦軸は現れる頻度が最も高い物を頂点として、横軸は頻度の高い順に項目を並べた結果、頻度が低い項目が大量に並び長く伸びた動物のシッポのように見えたことから、このように呼んだことが発端になっています。

また、このような現象は、頻度の要素の合計が全体に対して無視できない割合を占めるという法則も発見しています。

ロングテールを形成する原因

ロングテールを形成する原因としては、「ニッチ商品の大量販売」を目指していること、その結果、「売れ筋商品」として企業が注力している商品売り上げをニッチ商品が総体的に上回ることがあることです。

ニッチ商品の大量販売

ニッチ商品ですから「大量販売などできない」と考えてしまいますが、ICTの世界はそれを可能にしました。最初に取り組んだのがアマゾンでした。ニッチ商品は販売サイトを作るにもどのようなキーワードを使うか悩むと思いますがアマゾンはチャレンジ精神を発揮してこれをやり遂げております。

売れ筋商品を上回る成績

その結果、ニッチ商品で「売れ筋商品を上回る成績」をあげることができるようになり、ICTサイトへの訪問者数も増加して全体的な底上げを実現できるようになりました。

ECサイトと実店舗の違い

「ECサイトと実店舗」を併用して運用している企業もあると思いますので、その違いを述べておきます。

パレートの法則

パレートの法則をご存じでしょうか?別名で「80:20の法則」と呼ばれています。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則で、「経済における全体の数値の大部分は2割の優良カスタマーが8割の利益を生み出している」というものです。従って2割のカスタマーを大事にすべきであると主張しております。 

商品スペースの限度

しかし、この主張は地域などで店舗を同時に経営している企業にとっては、「商品スペースの限度」があり、売れ筋の商品を常に顧客の手に届く場所に配置することは困難です。従って実店舗を運営している場合は上記の2割カスタマー重要視説に疑問が残ります。

Webマーケティングにおけるロングテール

「Web マーケティングにおいてロングテール」を活用する場合は「SEO対策をどうするか」「Webサイト運営方法」「ECサイトの運営方法」などを十分検討してから着手するのがお勧めです。ニッチ製品の売り上げがこれまで企業の目玉製品だった売り上げを追い越すことを目指すわけですから効果が表れるのに時間を要すると言われていますが、きちんと計画して着実に実行すれば、案外早く効果が表れる可能性があります。

SEO対策

ご存じのようにICT関係のマーケティングでは最初に取り組むのがSEO対策ですね。グーグルの検索でトップページに掲載されれば、内容がどのようなものでも36.4%の人がクリックするという調査結果が出ていますので、各社ともSEO対策で熾烈な戦いをしております。主としてニッチ製品を扱うのだからSEOは関係ないと思われるかもしれませんが、ニッチ製品紹介の入口まで誘導する必要があります。

そのため、「キーワード選定をする」「ニッチなキーワードを組み合わせる」「ロングテールキーワードを考える」「音声検索への対応を考える」などを実行するようにします。

キーワード選定

「キーワード選定」は一番悩んでしまうかもしれませんが、ご自分が得意なことや専門にしていることがあればそのことに集中してキーワード選定をする方法があります。例えばギターが得意であれば最初に大きなテーマとして「ギターの全てを紹介するサイト」と言うネーミングで「エレキギターとは、その特徴を紹介」「エレキギターとフラメンコギターの違い」など次々にアイディアが出てくると思いますので「ニッチ」を売り物にしても大きなサイトに成長していきます。サイト作成ができるのであれば、楽しみながら取り組むことができます。

ニッチなキーワードを組み合わせる

「ニッチなキーワードを組み合わせる」ことで検索ボリュームを上昇させることができます。今、アマゾンのオーダー画面を開いて「ギター弦」で検索したところ「エレキ・アコギ・エリクサー・バラ売り・弦交換・ダダリオ」などのサジェスチョン・ワードがズラリと出てきましたが、これらのワードはギターが好きな人であればピンとくるワードですので、そのいくつかをキーワードに組み合わせると効果がでます。玄人好みするような専門用語などを組み合わせるのも一案です。

ロングテールキーワード

「ロングテールキーワード」はキーワードを2語以上組み合わせたものを言いますので、上記のキーワードミックスとほぼ同じです。

音声検索への対応

日本では音声検索をしている人はまだ少ないようですが、スマホの普及や音声を使った家電のIoT化などが進んでいますので、音声検索は今後増大することが予測されています。それに対応していくために音声検索最適化(VSO)の効果的なやり方が提案されていますのでご紹介しておきます。

「VSOの効果的な方法」

• サイトはスマホで閲覧されることを前提に作成

• ページ表示速度の改善(表示が速いほど音声検索に対応したサイトと評価される)

• ニッチなコンテンツを増加させる

• セキュリティの強化(検索エンジンの評価が高い)

サイト作成の時は以上のようなことも頭に入れておくと良いでしょう。

Webサイト運営

「Web サイト運営」に当たっては、「ニッチな記事の大量掲載」や「内部リンク」の工夫が求められます。

ニッチな記事の大量掲載

「ニッチなキーワードの組み合わせ」のところで述べましたように、ニッチは「隙間」を意味しますので人気商品と異なり検索者数は僅かですが購入してくれる確率がかなり高い人たちです。「ニッチな記事の大量掲載」によりキーワードは拡大しますが内容はより具体化しますので検索者が自分のニーズに合致したものを選定することができ多くの購入者の確保につながります。

内部リンクの工夫

アマゾンのサイトでオーダーする時に感心するのは「内部リンクが工夫されている」ことです。自分が購入した履歴が整理されていますので再購入の場合は2~3回クリックすれば終了します。代替品やお勧めの新商品があれば勧めてくれます。このような内部リンクの工夫は是非取り入れことをお勧めします。

ECサイト運営

「ECサイト運営」では「ニッチ商品を多く販売できる」メリットを生かすことと「実店舗との併用」を試みることを検討されることをお勧めします。

ニッチ商品を多く販売できる

基本となるECサイトを構築してしまえば、その延長線で計画性を持ったサイトを付加的に拡大していくことができます。その中でターゲットとするニッチ商品を宣伝できますので、ニッチ商品の販売拡大が期待できます。

実店舗との併用

また、ニッチ商品の販売拡大に成功すると企業全体の収益増につながりますので、企業運営の底上げにもなります。企業の一体感を維持するため好評なニッチ商品を実店舗でも販売してみることも企業としてのチャレンジになります。

ロングテールのメリット

「ロングテールのメリット」としては「売上が安定する」「不良在庫がなくなる」「ライバル店との差別化ができる」などのメリットがあります。

売上の安定

企業は売れると思われる商品やサービスを開発してその販売に注力するのが一般的です。売れ行きがいつまでも好調であれば幸いですがコロナ禍などに遭遇し、一遍に企業業績が落ち込んでしまう可能性も否定できません。

売れ筋商品に頼らない

ニッチ市場を経営していると爆発的な収益とは言えませんが「売れ筋商品に頼りません」ので安定的な収益をもたらしてくれます。

リスクの分散

従って、リスクが分散され主要製品やサービスが売れなくなって企業が倒産する事態を防ぐことができます。

不良在庫がなくなる

「不良在庫がなくなる」ことも大きなメリットです。現に保有するニッチ商品をネット市場で販売するわけですから不良在庫は存在しません。売りたいと思った商品は事前に購入してそのサイトを作ります。

商品スペースが無限

従って「商品スペースは無限」になります。サイト上での系統的な区分けは必要です。

多種類の商品を販売できる

商品スペースが無限ですのでレイアウトに頭を悩ますこともなく、「多種類の商品を販売できます」。

ライバル店との差別化

企業の商品やサービス販売では常にライバル店の動向把握に努め、自社製品の強みをいかしていかに「ライバル店との差別化」を図るかに注力していますが、ニッチ商品の販売では「独自の商品を販売できます」ので、ライバル店との差別化の問題はほとんど生じません。

独自の商品を販売できる

先に述べたアマゾンの場合は、ニッチな製品をどんどん購入しその製品に適したサイトを作って販売していますので常に「独自の商品を販売」しておりますので、ライバル店との差別化問題は大部分クリアされています。

価格競争を防ぐ

また、商品の独自化は「価格競争を防ぐ」効果があります。

ロングテールキーワードの基本

おさらいになりますが、ここでは「ロングテールキーワードの基本」について述べます。複数のキーワードの組み合わせで構成される検索キーワードを「ロングテールキーワード」と言います。

キーワードの組み合わせ

ニッチな商品やサービス販売ですから、キーワードの組み合わせは必須です。

3種類以上のキーワード

スマホの使用者を念頭におき3種類以上のキーワードを考えて検索用語を考え、検索してみてください。先述のギターの続きになりますが、「クラシックギター弦・バラ売り・オーガスチン」でグーグル検索するとアマゾン・楽天・ヤフーを初め知らない販売店などの宣伝サイトが表示されます。

検索者のニーズを読み取る

しかし、これらのサイトでは検索者のニーズを読み取ることは無理と思われます。

競合性の確認

検索者のニーズを読み取るには競合性の確認過程で可能になると思います。

検索ボリュームの少ないキーワード

ニッチ製品ですから多くのキーワードを使って網を張っていると思いますが、検索ボリュームが月間1000程度であれば、費用がかかるかもしれませんが、グーグルが運営する

「キーワードプランナーで分析」が可能と思われます。

キーワードプランナーで分析

キーワードプランナーによる分析のほか、サジェストキーワードが調べられる無料のツールとして「ラッコキーワード」がありますが検索ボリュームが知りたい場合は有料会員になる必要があります。


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