ID管理ツールとはさまざまなサービスやシステムのIDやパスワードなどのユーザー情報をツールで一元管理するシステムです。
社員の入退社や人事異動などで組織が変わった際に一人ひとりの社員情報を手動で変更していると、従業員数が多ければ多いほど入力作業に手間と時間がかかってしまい、Excelなどで管理・入力していると削除し忘れてしまうリスクも考えられます。
ID管理ツールを利用すると変更時の作業工程を削減し、定期的なパスワード変更やアカウントの点検などをツールで自動化でき、管理者の負担を軽減できるメリットがあります。
またユーザー情報の管理だけでなく、使われていないIDやライセンスを特定してコストの削減ができたり、管理できていないライセンスの不正ログインを防ぐこともできます。
ID管理ツールは社員情報をまとめて管理したい企業に人気があります。
「ID管理ツール」にはどのようなタイプがある？
ID管理ツールはクラウド型とオンプレミス型の2つの接続タイプに分かれています。
これらはツールを利用するまでに接続するサーバーに違いがあり、サーバーが異なるだけで機能の幅や料金・納期などに差がでます。どちらのタイプが適しているのかはツールの利用目的や運用方法によって分かれます。
クラウド型のID管理ツールはサービスの提供者が管理するサーバーを経由してツールを利用します。
インターネット環境が整っていれば時間や場所を問わずにいつでもアクセスできるのが特徴で、すでにID管理ツールに搭載されている一般的な機能で十分満足した活用ができるという企業に適したタイプです。
また、クラウド型ではサーバーの構築や運用はツールの提供元が行うので、新規サーバーの開設や自社でのシステム運用・保守作業を行う必要はありません。そのため、専門的なシステム運用の知識がなくても導入できるというメリットがあります。
ライセンス費用を支払うことでツールが利用できるので、初期費用を抑えてツールを導入したい企業や早い納期を希望する企業に適しています。
ツールのバージョンアップやセキュリティ対策も運用元が行ってくれますが、大衆向けのサーバーを利用しているため、外部からの不正アクセスを受けてしまうリスクやカスタマイズが難しい点がデメリットとなります。
オンプレミス型は自社専用のサーバーを用意してPCにハードウェアを構築することで、自社内でID管理ツールのシステム開発を行うタイプです。
自社専用のサーバーだから外部からのサイバー攻撃を受けるリスクが低く、IDやパスワードなどの重要な情報を管理するため、セキュリティ面を重視してツールを利用したいという企業に適しています。
また自社でシステム開発を行えるので、機能の追加やデザイン・レイアウト変更などの自由度の高いカスタマイズができる特徴があります。
システム障害の対応やバージョンアップも管理するため、社内にエンジニアがいなければ満足できる運用を実現することは難しいでしょう。またサーバーの新設やシステム開発費用が発生するため、クラウド型と比較して初期費用が高くなる傾向にあります。
「ID管理ツール」の選び方は？
ID管理ツールを選ぶポイントは使いやすさや必要な機能が選べるかを軸として選ぶことをオススメします。
ツールは業務負担の軽減やユーザー情報を管理しやすくすることを目的として導入する訳ですから、使いにくいツールを導入してしまうと意味がありません。ツールの導入前にはデモ画面や無料体験期間を利用してツールの使いやすさを確かめておくようにしましょう。
またID管理ツール内にはさまざまな機能が搭載されているものも多く、本来の目的である機能以外にも不要な機能が多数搭載されいてることもあります。コストを抑えて導入したいと考えている企業は、機能が選べるタイプのID管理ツールを選びましょう。
「ID管理ツール」比較検討時の注意点は？
ID管理ツールを導入する際の比較検討時の注意点は、既存システムとの連携ができるかどうかです。
現在、情報を管理しているシステムが新しく導入するツールに対応していなければ、情報を移す作業に膨大な時間がかかってしまいます。業務改善のために導入したものの、かえって手間になってしまったということにならないようシステムの連携には注意が必要です。
主要な「ID管理ツール」の一覧
「iDoperation（アイディーオペレーション）」（ＮＴＴテクノクロス株式会社）
おすすめ対象者
特権ID・特権ユーザー・権限を見える化して管理したい方、IDを貸し出してアクセス制御を行いたい方、ターゲットからアクセスログを収集し自動点検したい方、特権ユーザーによる操作を記録したい企業
主要機能
アカウント管理、ユーザー管理、権限管理、パスワード一括変更、アカウント点検、レポート、貸出ワークフロー、報告ワークフロー、権限管理、特権ID貸出、アクセスログ点検、操作ログ点検
特徴
パスワード変更やアカウント点検を自動化、7年連続No.1、市場シェア27.4%、必要な機能を選んで導入できる、監査対応実績100%、製品のアップデートポリシー、抜け漏れのない高いレポート品質、自動化により管理工数を削減
費用
初期費用、月額費用、その他費用はアカウント数や使用する機能によって異なるため別途見積
無料プランの有無
無料プランなし、無償トライアルなし
サポートの有無
サポートあり（問い合わせフォーム・メール対応、サポート窓口、イベント・セミナー開催要）
「メタップクラウド」（株式会社メタップス）
おすすめ対象者
担当者の負担を軽減したい方、コスト削減を行いたい企業、安全なアクセス環境を求める方、分かりやすい操作性を求める企業、
主要機能
アカウントの発行/削除、組織情報の管理、アカウント一覧、ワークフロー、コスト分析/最適化、利用分析、ID管理、SaaS毎の管理、ダッシュボード
特徴
企業のクラウド資産を可視化、ドラック&ドロップの簡単操作、マルチプラットフォーム対応、アクセス管理によるセキュリティの強化
費用
【SSO+SaaS】※年間一括払いで1ヶ月分の料金が無料
フリー／利用SaaS数：5個まで 料金：無料
スタンダード／利用SaaS数：30個まで 料金：月額350円（税抜）
ビジネス／利用SaaS数：100個まで 料金：月額450円（税抜）
プレミアム／利用SaaS数：無制限 料金：月額550円（税抜）
【SaaSのみ】※10名まで利用可能
ライトプラン／利用SaaS数：無制限 料金：年66,000円（税抜）
無料プランの有無
無料プランあり（利用SaaS5個まで）、無償トライアルなし
サポートの有無
サポートあり（専任担当によるサポート、電話・メール問い合わせ対応、サポート内容の概要）
「ID管理ツール」導入のメリット、デメリット
ID管理ツールを導入するメリットは次のようなものが挙げられます。
- 自動化により管理工数を削減できる
- 操作ミスを防げる
- 担当者の負担を大幅に軽減
- コストを削減できる
ID管理ツールはアカウントを一括で管理・操作できるため、従業員の入退社や組織変更が行われた際に必要な操作を自動で変更・管理してくれます。操作の自動化により人為的な操作ミスを防げるので、確認や修正の手間も省けるメリットがあります。
人事異動が重なる4月は繁忙期となり人事部や情報セキュリティ部の業務が増えるため、ID管理ツールがあることで従業員の負担を大幅に軽減できます。
また、ID管理ツールを導入するとSaaSのコストやアカウント数・利用頻度などの状況を可視化して、使っていないアカウントや不要な契約を解約することができるためコストを抑えられます。
ID管理ツールを導入するデメリットは特にありませんでした。
例えば、これまでExcelで情報を管理していたものをID管理ツールで管理するとなると、初期費用やライセンス費用などの料金が発生するためデメリットだと言えますが、その分入力や修正業務などの業務が効率化されるので、人件費の削減にも繋がります。
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