「マーケティングオートメーションツール」とは?
「マーケティングオートメーションツール」とは、企業のマーケティング活動において発生する作業を一部自動化し、業務効率化を図るツールのことです。「マーケティングオートメーションシステム」や、英語の「Marketing Automation」を略して「MA」と呼ばれます。
以下のような業務を効率化することを目的に利用されます。
・リードジェネレーション(リスト収集など、見込み客の創出)
・リードナーチャリング(コンテンツ配信など、見込み客の育成)
・リードスコアリング(興味度合いなどによる見込み客の分類)
・リード管理(名刺のデータ化など、見込み客を管理)
企業にとって有効な見込み客をあぶりだし、適切なタイミングでアプローチを行い、成約への手助けをするのがマーケティングオートメーションツールの役割です。
「マーケティングオートメーションツール」にはどのようなタイプがある?
マーケティングオートメーションツールは、大きく分けて「BtoB向けツール」と「BtoC向けツール」の2種類があります。
BtoB向けツール
BtoB向けのマーケティングオートメーションツールは、見込み客の抽出や興味度を数値化できる機能が多彩に備わっています。製品によっては、セミナーやイベントへの集客機能が備わっているものもあります。オンラインに限らず、オフラインでの見込み客獲得も狙うことが可能です。
BtoC向けツール
BtoC向けのツールは、BtoB向けと比べて扱えるメールアドレス数が大きく異なります。具体的には、BtoB向けツールはおよそ1万件が限度なのに対し、BtoC向けのツールはおよそ10万件まで管理でき、より多くの見込み客の管理が可能になります。製品によっては、送信したメールが閲覧されたかを確認する機能がついています。
「マーケティングオートメーションツール」の選び方は?
機能性
製品によって、利用できる機能はさまざまです。まずは自社の課題を洗い出し、課題解決に必要な機能がついているものを選びましょう。以下のような機能から選んで検討をしていきます。
・広告、メール自動配信機能(見込み客への広告やDM配信)
・見込み客データ管理機能(見込み客の属性やセミナーの参加状況などを管理)
・マーケティングシナリオ設計(どのタイミングでアプローチすべきかを設計)
・スコアリング(見込み客の興味具合を数値化)
・Webページ作成(Webサイトのランディングページ、お問い合わせページの作成)
・Web行動解析(見込み客のWebサイト上の行動履歴を分析)
・ソーシャルマーケティング(SNS運用)
・顧客管理システム連携(自社の顧客管理システムとの連携)
例えば、「商談数は多いものの成約に繋がっていない」という課題があれば、スコアリング機能が搭載された製品を選び、興味度の高い見込み客へのアプローチを優先的に行えば有効商談数が増える可能性が高くなります。このように、自社の課題解決に適した機能を持つ製品を選ぶことが重要です。
対応チャネル
ほとんどのマーケティングオートメーションツールはメール配信機能を搭載していますが、他のチャネルに対応している製品も多くあります。LINEなどのSNSと連携できる製品もあり、SNSをよく利用する若い世代へのアプローチが可能となります。メール配信だけでなく、複数のチャネルから訴求できるかも重要なポイントです。
サポート体制
特にマーケティングオートメーションツールを初めて導入する企業の場合、サポート体制が十分かをよく確認しましょう。製品の提供元によって、導入後も定期的にサポートしてくれるのか、有料か無料かなどは異なります。ツールを運用する中でトラブルがあった場合は、解決するまでマーケティング活動に支障をきたす可能性もあります。運用に不安がある場合は、すぐにサポートを受けることができる製品を選ぶようにしましょう。
デザインや操作性
ツールの操作性も、製品を選ぶ際に重要なポイントです。いくら機能が魅力的な製品を選んでも、実際に使いこなせないのであれば意味がありません。操作のしづらい製品を選んでしまった場合、逆に業務量が増えてしまう可能性もあります。実際に操作してみて、担当者が操作しやすい製品を選ぶのが大切です。
料金
料金もしっかりと確認しましょう。製品によって、無料のものから10万円前後のものまで価格はさまざまです。なお、製品によってはトライアル期間が設けられているものもあります。費用対効果を考えて製品を検討しましょう。
「マーケティングオートメーションツール」比較検討時の注意点は?
マーケティングオートメーションツールを比較検討する際には、自社の課題と必要な機能を洗い出しておきましょう。企業によって必要な機能は大きく異なります。機能が充実した製品はその分料金も高く、使わない機能を多く搭載した製品を契約してしまうと不要なコストがかかってしまいます。ツールを選ぶ際に失敗しないためにも、事前に必要な機能を検討し、優先度の高い機能を備えた製品を選びましょう。
主要な「マーケティングオートメーションツール」の一覧
「Hubspot Marketing hub」(HubSpot)
おすすめ対象者
無料版も含めてまずは気軽に始めたい事業者
主要機能
ランディングページ作成、広告管理、メール配信、ウェブチャトなど
特徴
営業支援ソフトウェア「Sales Hub」、カスタマーサービスソフトウェア「Service Hub」と連携し、マーケティング業務のほとんどを網羅できます。無料版もあり、まずはお試しで始めたい方にもおすすめ。
初期費用、月額費用、その他費用
Starter 5,400円/月
Professional 96,000円/月
Enterprise 384,000円/月
無料プランの有無、無償トライアルの有無
無料版あり
サポートの有無
コミュニティー、メール、チャット、電話での問い合わせ対応
「Kairos3」(カイロスマーケティング株式会社)
おすすめ対象者
精度の高いスコアリングで有効商談を増やしたい事業者
主要機能
リード(見込み客)管理、メール配信、スコアリング、フォーム作成、イベント管理
マーケティング分析、名刺管理アプリ連携など
特徴
企業情報に加え、顧客との接点を記録した独自の「顧客カルテ」を作成。関心度の高い顧客を自動で通知し、優先度の高い顧客からの営業アプローチを実現できます。
初期費用、月額費用、その他費用
初期費用10,000円 月額15,000円~
※月額費用は保有リード数・月間PV数・月間メール送信数によって変動
無料プランの有無、無償トライアルの有無
無
サポートの有無
有(専門スタッフによる操作説明、フォームや電話での問い合わせなど)
「List Finder」(株式会社イノベーション)
おすすめ対象者
導入後も、効果改善に向けて定期的なサポートを受けたい事業者
主要機能
名刺データ化代行、メール配信、スコアリング、アクセス解析、フォーム作成など
特徴
上場企業での導入率ナンバー1。Salesforceなどの他システムとの連携も可能。
導入後も個別相談会などのサポートが充実で、初心者でも安心して利用できます。
初期費用、月額費用、その他費用
ライト 初期費用100,000円 月額39,800円
スタンダード 初期費用100,000円 月額59,800円
プレミアム 初期費用100,000円 月額79,800円
※その他、PV数・顧客データ数に応じて追加料金あり
無料プランの有無、無償トライアルの有無
無
サポートの有無
有(運用サポート、定期コンサル)
「Marketo Engage」(Adobe)
おすすめ対象者
幅広いサポートで、マーケティング業務改善に取り組みたい事業者
主要機能
リード管理、メール配信、広告配信、マーケティングアナリティクスなど
特徴
BtoB、BtoC問わず利用可能。有料と無料での幅広いサポート体制が充実しているため、
導入後サポートを受けながら効果を改善できます。
初期費用、月額費用、その他費用
別途問い合わせ
無料プランの有無、無償トライアルの有無
無
サポートの有無
有(コンサルティングサービス、無料のトレーニングコースなど)
「SATORI」(SATORI株式会社)
おすすめ対象者
シンプルな管理画面と即日利用を求める事業者
主要機能
リード管理、ランディングページ作成、メール配信、スコアリングなど
特徴
サイトに計測タグを埋め込むだけで簡単に運用開始。シンプルな構成で初心者でも簡単に運用できます。実名でだけでなく、匿名でのリード管理も可能。
初期費用、月額費用、その他費用
初期費用30,000円 月額148,000円
※従量課金が発生する場合あり
無料プランの有無、無償トライアルの有無
無
サポートの有無
有(オンライン問い合わせ、オンラインマニュアル提供、セミナー開催など)
「マーケティングオートメーションツール」導入のメリット、デメリット
メリット1:マーケティング業務担当者の負担を減らせる
マーケティングオートメーションツール導入のメリット1つめは、なんといってもマーケティング業務担当者の負担を選らせる点です。マーケティングには見込み客データの収集や分析など、幅広い業務があります。ツールを導入することで一部を自動化できれば、より重要な部分にスタッフを配置でき、生産性向上につながります。また、ツールでメールの閲覧数やWebサイトのアクセス数などを可視化できるため、課題や対策を見つけやすくなります。
メリット2:データを統合して管理できる
マーケティングオートメーションツール導入のメリット2つめは、見込み客のデータを統合して管理できる点です。見込み客はメール問い合わせやセミナー参加など、複数の行動を起こします。これらの情報が連携できていなければ、最適なタイミングでアプローチするのは難しいでしょう。すべての情報を一元管理することで、見込み客の全体像を把握でき、優先度や適切なアプローチ手段がわかりやすくなります。
デメリット1:コストがかかる
マーケティングオートメーションツール導入のデメリット1つめは、コストがかかる点です。多くの製品は月額で料金がかかるため、利用がない月でも毎月同じ料金を支払う必要があります。また、製品そのもの以外に、運用スタッフの配置など運用面でもコストがかかる場合があるでしょう。導入の際は費用対効果をしっかりと確認し、導入すべきかを検討するのが重要です。
デメリット2:逆に業務が増えてしまう可能性がある
マーケティングオートメーションツール導入のデメリット2つめに、逆に業務が増えてしまう可能性が考えられます。多くの機能を備えているマーケティングオートメーションツールですが、慣れるまでは実際の操作に時間がかかってしまう場合が多いでしょう。また、導入時は設定などで一時的に多くの手間がかかります。導入後にスムーズに利用するためにも、デザインや操作性を見て利用しやすい製品を選びましょう。
まとめ
マーケティングオートメーションツールは、機能が多く運用が難しく感じてしまうかもしれませんが、使いこなすことで今以上の顧客の獲得やマーケティング業務の効率化に繋がるとても有能なツールです。
是非この機会に運用を検討し導入してみてはいかがでしょうか?