ローンチとは?ビジネスにおける使用例や類義語との違いも解説

恐らく「ローンチ」と言う言葉に惹かれてご訪問いただいたものと思います。

「ローンチ」は英語のlaunchからきた言葉ですが、「造船用語」「マーケティング用語」「航空関係用語」「事業関係用語」など幅広い分野で使われています。近年は金融業界で有価証券を発行する際の起債情報としても使われているというモテようです。

しかし、「ローンチ」という言葉があまり馴染みのない言葉でしたので、本当に英語由来なのかちょっと疑問が生じ、その由来をリサーチしたところ、最初に使われたのが1300年代で、中世期の英語で「launche」という言葉が英語としては初めてであることが分かりました。そしてこの言葉はAnglo French(米国のアングロサクソン系住民)が使っている言葉の一つで「lancher」に由来していることが分かりました。この「lancher」が転じて「launcher」になり、ロケット発射装置などの意味で使われています。

2000年代に入り日本のIT関係企業が新製品を売り出す時に「ローンチ」という言葉を使い、以後コンピューター以外の各界でも新製品やサービスを売り出す時に使用されています。

ところで、「ローンチ」という言い方は日本独自のものであると考えておいた方が無難だと思います。といいますのは、大部分の日本人は「R」と「L」の区別ができないからです。日本語は語彙や表現が豊かですが、子どもの時代にRやLを聞き分ける必要がない環境で育っているからと言われています。これに対して米国人はRとLの違いに敏感です。例えば米国人に「わが社はこの度新製品をローンチすることにしました。」と言うと「Sorry,what did you say?(すみません、なんといいましたか?)」と聞き返されるかもしれません。それでもビジネスシーンで使われる場合は米国人でも理解するでしょう。

少し横道に入りましたが、ここからは本道に戻って「ローンチとは何を意味するのか?ビジネスにおける使用例や類義語との違いも解説しますので業務用語の蓄積に役立ててください。

ローンチとは

「ローンチ」という言葉は、2000年代の初頭に日本のIT企業が新製品を発売するために用いた言葉であることを先述しましたが、それが発端となって現在は様々な分野で「ビジネス用語」として使われております。本家のIT企業では新製品の発売のほか「新システムの導入」や「Webサービスの開始」の時もローンチが使われております。

ローンチの意味

「ローンチ」の意味は、各界ともIT企業にならって「新製品の発売開始」の意味で使っていますが、最近は「製薬会社が新しい薬を発売する時」あるいは「金融業界で有価証券を発行する時の情報提供」にも使われているなど大きな広がりを見せております。

「Launch」という英単語が語源

「Launch」という英単語をWeb専用辞書英辞郎で調べますと次のような用法が掲載されています。

発進する・打ち上げる等の意味

動詞として使われる時は「(ロケットを)発射する・打ち上げる、(矢を)放つ」「(船を)進水させる・水に浮かべる」「(活動などを)開始する・着手する」などの意味が掲載されております。

ビジネスにおけるローンチ

上記の用例から「ビジネスシーンでローンチ」と言う時は「発売する」あるいは「開始する」という意味で使われることが分かります。

「発売する」という意味

「発売する」という意味でローンチを使う時は、開発を進めていた新製品を売り出す時などに使います。例えば「生ごみを自動で処理するコンポスターの開発に成功!これを使えば貴方は環境保全のトップランナー。8月5日予定のローンチをご期待ください。」などと使うことができます。

「開始する」という意味

「開始する」という意味では、サービスやシステムなどの提供を始める時などに使うことができます。例えば「M社が8月中旬にローンチしたシステムは極めて評価が高い。わが社はその上を行くために、現在開発中のシステムはローンチせずに特許案件にできないか検討しよう。」というような例で「開始するという意味」を表現できます。

ローンチの使用例

「ローンチ」という言葉は複合語としても広範囲で使われています。その例をあげてみますと「プロダクトローンチ」「ローンチコントロール」「ローンチタイトル」「ローンチパッド」「ローンチパーティー」「ローンチカスタマー」などをあげることができます。覚えておくと役に立ちますので順次説明します。

プロダクトローンチ

「プロダクトローンチ」は「マーケティング手法の一つ」で「販売前に情報提供」することでカスタマーに期待感を抱かせ、販売日に「爆発的な売り上げを生み出す」ことを目的に行われています。

マーケティング手法の一つ

アップル社のiPhone をお持ちの方は良くご存じだと思います。新型iPhoneをローンチする時はかなり前からその特長を小出しに流します。顧客はそれに啓発されて期待感をどんどん膨らませます。その結果、ローンチする当日はカスタマーが購入するため長い行列を作って自分の番がくるのを待っている光景をテレビなどで見たことがあると思います。

販売前に情報提供する

iPhoneに限らず新製品やシステムなどをローンチする場合は、当日一大キャンペーンとして実施して一気にカスタマーの心を掴んでしまう方法もありますが、果たして成功するのか懸念が生じます。事前にカスタマーが興味を持ちそうな製品の特長を情報提供すると、覚えていてくれてローンチする日を楽しみにしてくれます。 

爆発的な売り上げを生み出す

このようなカスタマー心理を捉えた販売戦略が「爆発的な売り上げを生み出す」ことにつながります。

ローンチコントロール

自動車に精通した方であればよくご存じだと思いますが、「ローンチコントロール」つまり自動車の発車をコントロールするという意味ですから、「自動車の制御技術」を言います。

自動車の制御技術

マニュアル車でスムーズに発進しようしてもスロットルとクラッチの操作が正確にできないで失敗することがあります。

自動車をスムーズに発進させる

この自動車の制御技術は「自動車をスムーズに発進させる」ことを目的に開発されたものですから、この制御技術搭載車はマニュアル車のような操作上の苦労をしなくてもスムーズに発進できるようになりました。

ローンチタイトル

「ローンチタイトル」は「ゲーム業界用語」の一つで「新しいゲーム機と共に発売されるソフト」を言います。

ゲーム業界用語の一つ

ゲーム業界が新たなゲーム機を開発してローンチしようとする時は、そのゲーム機を動かすソフトが必要です。そのソフトが「ゲーム業界用語の一つ」になっています。

新しいゲーム機と共に発売されるソフト

その「新しいゲーム機に付随して発売されるソフトを「ローンチタイトル」と言います。ソフトの良し悪しがゲーム機の売り上げに直接影響しますので各社とも工夫を重ねています。

ローンチパッド

ローンチパッドは「Macで利用できるツール」です。「アプリの管理に活用」されています。

「Mac」と言えばすぐ頭に浮かぶのは対抗馬の「Windows」ですが、世界でのデスクトップOSのシェア率は2021年12月に行ったStatCounterの調査では、「Windows」 が73.7%に対して「Mac」は15.3% となっています。日本国内の状況もそれほど変わらないようですので「Mac」は分が悪いようです。

それでも熱狂的なMac 愛好者がいますので、「Macで利用できるツール」を作成し「アプリの管理に活用」できるよう提供されています。

Macで利用できるツール

ローンチパッドのパッド(pad)は詰め物(パッケージ)の意味があります。Macを起動すると利用できるツールの一覧が表示されますのでその中から必要なツールを選択して使うことができるシステムになっています。

アプリの管理に活用

また、自分でグループ化したり削除したりすることもできますので分類するのに便利で「アプリの管理に活用」することができるという特徴があります。

ローンチパーティー

選挙が近づくと議員さん達はあちこちでパーティーを開催しますが、ご存じのようにこれは選挙資金を集めることを目的としております。「パーティー」と言うと人が集まって華やかな雰囲気を想像するのが一般的ですが、ローンチパーティーはその華やかさを利用して、開発した製品やサービスを一気にお披露目しようとするものです。 

新商品を発表するイベント

お披露目することは「新商品を発表するイベント」と言うことができます。企業が発表する新商品はメディアも注目してくれます。大手メディアが取り上げてくれれば、莫大な費用をかけずに全国で知られるようになります。

メディアを利用してPR

そのため、ローンチパーティーは「メディアを利用してPR」する側面もあります。メディアを利用してPRを図る方法としては、手間がかかりますが記者を招待して情報を伝達する「記者発表会」があります。「時流に乗りそうなもの」「話題を呼びそうなもの」であれば記者発表会を設定することを検討してみてください。

ローンチカスタマー

企業が新製品を開発して市場投入するには、果たして売れるかどうかの判断が要求されます。

新製品の購入を予約済みの消費者

そのため、事前のPRなどで「新製品の購入を予約済みの消費者」が多ければ多いほど売れるという判断ができ新製品の開発意欲が湧いてきます。この消費者を「ローンチカスタマー」と呼んでいます。しかし、一般的な製品については市場動向を把握する方法が進んでいますので現在はあまり実施されていないようです。

航空業界での使用が多い

他方で、航空業界では旅客機や商業機などの開発要求が大手航空会社に寄せられているようです。しかし、開発に要する費用は膨大になりますので大手航空会社が「ローンチカスタマー」になり、事前に大量な注文を入れておくことで開発を決意させる方式を取っていますので、「航空業界での使用が多い」状況になっています。  

ローンチの類義語

ローンチの意味や使い方はある程度ご理解いただけたと思いますので、ここではローンチの類義語について説明いたします。

リリース

リリースという言葉は日常生活の中でも聞くことがありますのでご存じと思います。

新商品の発表時に使用

「新商品の発表時に使用」される言葉ですが、英語の「release」をカタカナ読みにして使われています。Web専用辞書英辞郎では名詞として「釈放、救出、解放、〔苦難や精神的重荷の〕取り除き、除去、〔固定した物の〕取り外し、切り離し、〔機器の〕始動、[映画などの]公開、封切り[新発売の]作品等様々な意味が掲載されています。新商品の発表では「映画などの公開・封切りやアーティストの新曲発表の意味で使われることが多いです。

ローンチとの違い

ローンチとリリースの違いは、ローンチが「触って使える製品の発売」などで使われるのに対してリリースは上記のような映画や新曲など情報の公開に使われるのが一般的です。

プレスリリース

プレスリリースと言う言葉を聞いたことがあると思いますが「プレス」は「新聞や新聞社」を表す言葉です。また、リリースは発表や公開を意味しますので「プレスリリース」はマスメディア向けの発表を意味します。

マスメディア向けの発表

プレスリリースで、「マスメディア向けの発表」をすると、それを受けて新聞などのマスメディアが次のようなことを実施します。

ローンチやリリースを告知

新製品のローンチ(発売)や映画や新曲などのリリースを告知してくれるという図式になります。

キックオフ

女子を含めて近年のフットボール熱(日本ではサッカー。サッカーと呼ぶのは少数派)は全世界を支配しています。

フットボール用語から引用

「キックオフ」は「フットボール用語から引用」されていますので、「試合開始」を意味すると理解する人が大部分であると思いますがビジネスの世界ではビジネス上の事業やプロジェクトを開始する際の「決起集会」を意味します。

決起集会

決起集会はキックオフミーティングなどと呼ばれたりしますが、このミーティングでプロジェクトが開始され、その成果物として製品やサービスがローンチされるという図式になります。

カットオーバー

カットオーバー(cutover)は英語で「新システムの開発・導入、新システムへの移行、新システムが稼働を開始すること」を意味します。

本番移行

従って、新システムなどが開発され「本番移行」する際に使われる用語です。ローンチは製品等のお披露目に使われ、カットオーバーはシステムなどを実際に使い始める時に使われます。

バージョンアップ

また、カットオーバーは「バージョンアップ」の意味も含んでいますので、本番環境のサービスを更新した際にも使われています。


AD