モチベーションとは?ビジネスにおける意味と種類、向上させる方法も解説

ゴールデンウイークが終わりマイホームに到着。「今年のゴールデンウイークは子どもをキャンプに連れていくことができ大喜びだった。心身がリフレッシュできたので、あすから会社で頑張るぞ!」と休日を有効活用されたビジネスパーソンが多いと思います。その一方で、新入社員などは長期の休みで緊張していた状態が解放されいっぺんに疲れが出て、いわゆる「五月病」になってしまった方がいると思います。五月病は「集中力が続かない」「倦怠感がある」「やる気が出ない」といった初期症状が共通しています。このような状態は5月病に限らず社員のモチベーションを低下させ早期離職につながるなど企業にとって生産性をあげる大きな障害となります。

そこでここでは、モチベーションがビジネスにおいてどのような意味を持つのか、その種類と高め方についても述べますので、職場で人事管理のポジションにおられる方は是非参考にしてください。

モチベーションとは

「モチベーション」という言葉は様々なシーンで使われていますので、おそらく1度は聞いたことがあると思います。例えば、全日本吹奏楽コンクール高校生の部で5年間続けて「金賞」を獲得していた学校が今年は「銅賞」になってしまった時、指揮を務めた担当の先生が反省会で「今年は地震などで練習時間が不足し『モチベーションが足りなかった』」と言うかもしれません。この場合のモチベーションは、地震が「意欲・やる気」を発揮する妨げになり、十分な練習時間が取れず、集中力も発揮できなかったことを意味します。モチベーションが高いと集中力も高くなるのが通常です。

モチベーションの意味

モチベーションは使われるシーンによって異なることがありますが由来は英語の「motivation」で、日本語読みにして使っているのが定着していますので、ここでも「モチベーション」の言葉で説明します。

英語の「motivation」を引用

英語の「motivation」は「動機」という意味の「motive」に由来します。「motive」をWeb専用の英辞郎で調べてみますと、名詞として「ある行動をとる『動機・真意・誘因』」となっており、形容詞としては「原動力となる、行動の動機となる」という意味であることが搭載されています。

「動機付け」や「意欲」を表す

つまり「動機付け」や「意欲」を表す言葉であることが分かります。コロナ禍で止めていた新入社員の歓迎会を今年実施した企業は約3割と言いますので、コロナ禍前までには達していないようですが、歓迎会で飲みすぎて調子に乗って2次会などに行くと翌日は二日酔い状態になり、モチベーションが低下して「何もする気が起こらない」ことがあります。身体状況による一過性のものですが、モチベーションを保つことがいかに難しいかを教えられます。

ビジネスにおけるモチベーション

「ビジネスにおけるモチベーション」と言う時は「自身の業務への意欲」「自身の成長と意欲」「会社や部署への貢献意欲」を意味します。

自身の業務への意欲

自身の業務への意欲が高いと「モチベーションが高い人」と言われるのが通常です。上司から指導や命令がなくても自身の業務に率先して取り組み、課題が見つかると自ら解決しようと努力します。業務を進めるには経験が必要ですから、自分で解決できないことは、先輩や上司にお願いして指導してもらうタイプの人ですので、企業にとって一番頼りになる人材と言えます。

自身の成長と希望

自身の成長と希望をもって業務に取り組む人も「モチベーションが高い人」です。

例えば「このAI関係の業務を経験すると会社の流通部門に応用でき、会社から報奨金をもらえる可能性が高い」と常に前向きな姿勢で取り組みますので、高いモチベーションをキープできます。

会社や部署への貢献意欲

会社や部署への貢献意欲は会社側が最も期待しているモチベーションと言えます。会社や部署への貢献マインドを持って競合他社より一歩進んだ製品やサービスを開発できれば、昇進・昇格を勝ち取ることが現実的となります。 

モチベーションの効果

ここでは、モチベーションの効果として「モチベーションが上がった場合」と「モチベーションが下がった場合にどのような効果やマイナスが表れるのか説明します。

モチベーションが上がった場合

「モチベーションが上がった場合」は「集中力の向上」「新しい業務への挑戦意欲」「失敗を恐れないでチャレンジする」などの効果が期待できます。

集中力の向上

モチベーションは日常生活でもアップダウンがありますが、ビジネスシーンでは特に感じることがあります。その日に処理する業務が次々浮かんでなんの苦もなく取り組むことができる。しかも「集中力が向上」していることを感じて処理速度が速い時はモチベーションが相当高い時です。ご経験がおありだと思います。

新しい業務への挑戦意欲

モチベーションが高いと「新しい業務への挑戦意欲」も高いと言えます。仕事で目標を立てた時にそこに到達するには山登りと同じで一段ずつ上る必要があります。モチベーションが高い人はそのことを知っている人が多いので「今日までは販売戦略を学んだから、あすからは実店舗で試してみよう」と順序を踏んだ手法を取ることは当たり前と考えています。プロジェクトの場合はその推進にリーダーシップを発揮して他のメンバーを説得したりします。

失敗を恐れない

例えば、現在の商品販売のレイアウトを全て変えてしまうというアイディアが出た時などに、「モチベーションが高い人は失敗を恐れずに」実行する傾向があることも特徴的です。「1カ月間実行したうえで、以前のレイアウトとの違いを比較分析して結論を出そう」など即実行モードに入ります。モチベーションが高い人は、業務変革にも前向きです。

モチベーションが下がった場合

モチベーションが下がった場合は残念ながらビジネスへのマイナス面として現れます。その現象としては「自発的行動力の低下」「業務効率の低下」「新しい業務への意欲低下」などがあげられます。

自発的行動力の低下

ビジネスの運営に一番大きく作用するのは個々人の自発的行動力です。自発的行動力が低下することは「自分から率先して業務を実施しよう」という姿勢が見えないことですから先輩や上司の指示待ちになります。指示があっても最小限で終わらせようとします。「おざなりな仕事」になります。プロジェクトの場合は他のスタッフに悪影響を及ぼします。 

業務効率の低下

モチベーションの低下は「業務効率の低下」にもつながります。「できるだけ仕事はしたくない」というシチュエーションは「できればその仕事を回避したい」ということを意味しますので、その人の業務に対するモチベーションは最低レベルになっている可能性があります。

新しい業務への意欲低下

新しい業務に取り組む時は、モチベーションが低下していますと「新業務に取り組むぞ」という自主的なマインドも高揚しませんので「新しい業務への意欲低下」が予測されます。「心機一転して新しい業務に挑戦する」という方向に進むこともありますが、総体的に見て厳しいと思われます。

モチベーションが低下して業務にマイナス面がでる時は、モチベーション維持に向けたマネージメントを上層部や人事部が中心となって実行することをお勧めします。

モチベーションの種類

モチベーションは「内発的モチベーション」と「外発的モチベーション」の2つに大別することができます。

内発的モチベーション

「内発的」ですから自分自身の心の中から湧いてくる「やる気」です。上司や先輩などの指導・命令を受けたものではありませんので長続きするモチベーションと言うことができます。「自身の心からの意欲」で「外部環境の影響を受けにくく」「長期間維持しやすく」「達成感が次のモチベーションにつながる」という好循環が期待できるモチベーションです。

自身の心からの意欲

「かなり厳しい仕事だな」と思っても「この仕事は自分の役に立ちそうだ」と考えてやり切った時に達成感や充実感を持たれたことがあると思います。自分の心が作用して意欲が生じ、それをキープし続けて結果をだすと成功体験となってさらに困難な仕事に挑戦することが苦にならなくなります。自身の心からの意欲はとても強力です。

外部環境の影響を受けにくい

「この仕事をやってみよう」と決心したときは、どのように実行するかある程度段取りを考えているはずです。そのため、参考になりそうな意見には耳を傾けても自分のやり方が阻害されるような外部環境の影響を受けないで済みます。

長期間維持しやすい

趣味で始めたこととは異なり、ビジネスで始めた場合は中途でギブアップすると自分への評価に影響するだけでなく、周囲の協力してくれた人にも迷惑をかけることがあります。「自分が始めたこと」の意識が常に働きますので「長期間維持しやすい」状態を続けることができます。

達成感が次のモチベーションにつながる

苦労すればするほど成功の達成感は大きく、その延長線は成功体験として蓄積され、次のモチベーションにつながっていきます。内発的モチベーションの良さが分かります。

外発的モチベーション

外発的モチベーションは、外部から与えられた動機付けによってモチベーションが高揚されるものです。ビジネスパーソンの場合は「会社から評価される」「会社から報酬を受けることができる」「昇給や昇進が得られる」などのメリットがありますが「達成するとモチベーションが低下」したり「消極的なモチベーション」もあります。

評価されること

人間は他人から「あの人はいつも素晴らしい仕事をする」と評価されると元々高いモチベーションを持っている人でも嬉しくなり、引き続き高いモチベーションを維持するものです。例えば、ビジネスパーソンの場合は会社側が常にスタッフのモチベーションの向上策を考えていますので、朝礼の時などに取締役から「AさんとCさんは1週間で売り上げを倍増させましたので、ここに報奨金を贈呈します。」と評価されるとご本人だけでなく、他のスタッフも「今週は自分も頑張って売り上げを倍にするぞ」と会社全体のモチベーションが上がります。

報酬を受けること

会社側が一定のルールを設けてそれをクリアした時に「報酬を受ける制度」が定められているとスタッフのモチベーションアップにつながります。報酬は金銭に限りません。例えば、月間売り上げがナンバーワンの人には「2日間の特別有給休暇とパッケージツアー券を贈呈」などスタッフが最も喜ぶ報酬を考えると効果があると思います。

昇給や昇進

企業に就職したビジネスパーソンにとってモチベーションの維持に一番インパクトがあるのが「昇給や昇進」だと思います。企業に就職した人にとって自分の将来に関わることですので、その企業側もきちんとした社則などを整えていると思いますが、厚生労働省の調査(2009年1月)では成果主義賃金を取り入れている企業は平均して30.2%に留まっています。新入社員が成果主義を期待して入社している場合は、成果主義を取り入れていないとモチベーションの向上はあまり期待できないかもしれません。ただ、統計が古いこととこの時点でも1000人以上の大企業は成果主義を取り入れている割合が75.3%になっていますので「昇給や昇進」は、モチベーションの維持に効果があると言えます。

達成すると低下することもある

外発的モチベーションアップ策は即効性があり、社員全体のモチベーションを上げるのに有効ですが、それを達成した人のモチベーションが低下することもありますので、達成した人が引き続きモチベーションを維持できる方策を考えておくことが求められます。

消極的なモチベーションもある

社員は色々な性格の人たちの集合体ですから、時には常に消極的・否定的な態度を示す人がいます。このような人はモチベーションを高めるには好ましくない存在になります。このような人を積極人間に変えるプログラムがありますので活用されることをお勧めします。

モチベーションを向上させる方法

ここではモチベーションを向上させる方法として企業が取り組んでいる例をご紹介します。

企業の取り組みの例

企業の取り組みの例として、「労働時間の短縮」「コミュニケーションの円滑化」「配置転換」があります。

労働時間の短縮

日本の企業は残業が多く長時間労働で有名ですが、法律で抑制するために平成22年4月に労働基準法の改正が行われ既に施行されています。1例として月 60 時間超の時間外労働については割増賃金率を 25%以上から 50%以上に引き上げるなどの規程が設けられています。これを受けて各企業は労働時間の短縮に取り組んでいますが、厚生労働省が委託した調査(平成23年10月実施)では、「従業員間の労働時間の平準化」「残業を事前に承認する制度」「従業員の能力開発の実施や自己啓発の支援」の 3 つは、約 8 割の事業場において実施されていました。ビジネスパーソンの意識も変わっていますので、今後も労働時間短縮が進むものと推測されます。

コミュニケーションの円滑化

コミュニケーションの円滑化を図ることで企業のモチベーションを向上させることに取り組んでいる企業もあります。例えば生産ラインやプロジェクトなどでチームプレイが必要な時はチーム全員の意思の疎通が図られていないと生産ラインの場合は非効率による生産量の低下、プロジェクトの場合は方向性が決まらないなどの弊害が生じる可能性があります。普段からコミュニケーションを円滑にしておくことでそれぞれの役割を認識し、生産量をあげたり、素晴らしいプロジェクト案ができたりします。また、プロジェクトはできるだけ他部門のスタッフにも入ってもらうと横断的かつ全社的なプロジェクトになります。

配置転換

配置転換は本人が希望する場合は人事部がその希望に沿う方向で実現するとモチベーションのアップにつながると思いますが、そうでない時は貴社にも人事規則があると思いますので、それに沿った対応をすべきです。社員の定期異動の際に実行するのが無難ですが、それでも内示をして了解を得る必要があります。人事権の行使でその処遇に不満な人が訴訟を起こして裁判になるケースがかなりあります。

内発的モチベーションの重視

内発的モチベーションが重視される傾向にありますが、それは自分の意思を原点とするモチベーションからです。ビジネスパーソンがビジネスシーンで自分の意思を明らかにした以上そのモチベーションは継続するのが通常です。

また、全体的な傾向として「外発的モチベーションに偏りがち」なこと「成功体験の積み上げ」ができること「目標設定のサポート」があることなどもあげられます。

外発的モチベーションに偏りがち

ビジネスパーソンは企業の組織人ですから、企業が社員のモチベーションを上げようして提案する方策は最初に対応しようとします。外発的モチベーションに偏りがちと見られるのはそのためです。

成功体験の積み上げ

成功体験の積み上げができるのはやはり内発的モチベーションがトップランナーです。

目標設定のサポート

内発的モチベーションが原点になって目標設定をするときは、企業の運営などに関わることですから、所属している部および人事部・企画部などのサポートを得ることができます。

現状の把握

最後になりますが、内発的モチベーションを重視して職員が目標設定をする時サポートした関係部門は「現状を把握」しておくことも重要です。把握方法としては「フィードバックの実施」がメインになりますが、当該職員がモチベーションを維持できるように「孤立を防ぐこと」も必要です。

フィードバックの実施

アドバイスしたことを中心にその後のプロセスを確認したり、新たに気づいたことを再アドバイスするなどやりとりを実施します。

社員の孤立を防ぐ

実施社員は注目を浴びたり孤独感に襲われることがありますので孤立しないように見守ってあげることが大切です。


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