「ピッキングシステム」とは?
ピッキングシステムとは倉庫や工場などで保管している商品を管理する際、リストに沿って出荷前の商品を選別する作業をシステムとして運用することで、作業効率をアップさせるためのシステムのことを指します。
そもそもピッキングとは倉庫業には欠かせない「必要な商品を集める」という作業のことで、ピッキングをすることで後の倉庫内商品の検品や仕分け、梱包作業がスムーズに行えます。
ピッキングにはスピードと正確さが求められるため、2人1組になって行うことが多いです。
作成されたピッキングリストを利用して1人がリストを読み上げ、もう1人が商品の取り出しを行います。2人1組にすることで作業効率は上がりますが、その分人件費が掛かってしまうというデメリットが挙げられます。
ピッキングシステムを導入するとこの人件費を削減できるだけでなく、機械を利用することでミスを防ぐことができるので、さまざまな企業でピッキングシステムの導入が進んでいます。
世の中に多く出回っているピッキングシステムと、ハンディー型の機械でバーコードリーダーを読みることで、在庫のチェックや商品の取り出しを行うモノを想像して頂くと分かりやすいでしょう。
「ピッキングシステム」にはどのようなタイプがある?
ピッキングシステムにはITを活用したものが多く、大きく分けると“クラウド型”と“オンプレミス型”の2つのタイプに分かれています。
ピッキングシステムをクラウド型で導入すると、初期費用が安価でインターネット環境を整えるだけで簡単に利用が開始できます。インターネットを介して24時間どこからでも利用でき、サーバーの構築・管理なども不要です。
クラウド型はどの企業にも対応できるベーシックな機能が適応されていますが、デメリットとして基本的にカスタマイズに対応していません(一部導入前にカスタマイズ可能なシステムも提供されています)。
ピッキングシステムをオンプレミス型で導入すると、自社の要望に合わせて自由度の高いカスタマイズが実現できます。しかし、サーバーの構築や運用・保守などをしなければなりませんので、ある程度の知識が問われます。
カスタマイズが不要でなるべく簡単にピッキングシステムを利用したい企業はクラウド型、自社のインターネットサーバーを利用して、ある程度カスタマイズして自由度の高い運用がしたいという方はオンプレミス型が適しているでしょう。
「ピッキングシステム」の選び方は?
ピッキングシステムには複数のタイプがあるとご紹介しましたが、さまざまな種類のシステムが提供されています。ピッキングシステムの導入を検討する際には、どのようにシステムを選定すれば良いのでしょうか。
倉庫業を取り扱っている企業は、企業によってピッキング方法が異なります。ピッキングを効率よく行うために、自社に合った読み取り方法を提供しているシステムを選びましょう。
例えば、ピッキングシステムは次のようなものを利用してピッキングを行います。
・バーコードリーダー・QRコード
・Radio Frequency Identifier(RFID)
・デジタルピッキング(DPS)
それぞれの違いについて簡単にご説明すると、バーコードリーダーやQRコードは商品にそれらをシールなどで貼り付け、ハンディターミナルなどでスキャンすることでピッキングをします。RFIDはタグを用いてバーコードやQRコードを同様にタグの情報を読み込みます。
デジタルピッキング(DPS)は表示器を利用したピッキングシステムで、表示器で商品を管理します。具体的には商品棚にランプを取付けて、ランプが光った棚の商品を表示された数だけ取り出してピッキングします。
このように企業の商品の管理方法やピッキング方法によって適しているシステムが異なります。自社の管理方法を考慮して、ピッキングしやすい機能を搭載しているピッキングシステムを選びましょう。
「ピッキングシステム」比較検討時の注意点は?
ピッキングシステムを導入する際は「システム規模が適切かどうかを判断する」ことが大切です。せっかくピッキングシステムを導入しても倉庫の商品量と見合っていない機能面だと、機能不足であったり、無駄なコストが掛かってしまったりします。
ピッキングシステムを比較検討する場合は、自社の管理規模に見合ったシステムかどうかを判断しましょう。
主要な「ピッキングシステム」の一覧
「スマートグラスピッキングシステム」(恒和工業株式会社)
おすすめ対象者
スマートグラスを使用したピッキングシステムを利用したい方、既存のシステムと連携して動作させたい方
主要機能
在庫管理:入庫・出庫・棚卸の管理ができる、賞味期限や使用期限切れた商品だけをピックアップできる、発送先やメーカー別などをピックアップできる
特徴
ハンズフリー、複数同時利用可能、作業効率アップ、バーコード不要でピッキングができる
初期費用や月額費用
非公開(要問合せ)
無料プラン
無し
サポート
有り(フォロー対応、トラブル対応)
「ピッキングシステム」(株式会社タカハタ電子)
おすすめ対象者
分かりやすい操作性を求める方、多くの商品をスピーディーにピッキングしたい方、仕分けを効率化したい方
主要機能
仕分け・在庫管理、検品、出荷明細の発行
特徴
ピッキング表示器により色と数字でカイドしてくれる、人員削減によるコストダウンができる、ペーパーレス化、初心者でも作業が簡単
初期費用や月額費用
非公開(要問合せ)
無料プラン
有り(WEB打ち合わせでデモンストレーションライブ中継)
サポート
有り(運用・保守サポート、WEB打ち合わせ)
「ピッキングシステム」導入のメリット、デメリット
ピッキングシステムを導入するメリット・デメリットについてお話しします。
ピッキングシステム導入のメリットは「人件費が削減できる」や「カウント・仕分け時のミスを減らせる」という点が挙げられます。
ピッキングシステムを利用しないピッキング作業は2人1組となって確認しながら作業することが多く、1人で行う作業と比較すると2倍の人件費が掛かってしまいます。さらに人が手作業でカウントしているとどうしてもミスが発生してしまう可能性が高まります。
ピッキングシステムを導入することでカウントミスを大幅に削減し、バーコードリーダーや棚に搭載しているセンサーなどによってピッキングを行うので作業効率もアップします。
ピッキング作業は慣れるとスピーディーに行うことができますが、一度ミスをしてしまうと再度仕分け直しや数え直しが必要となってしまいます。システムを利用すれば、カートや棚単位で簡単にピッキングができるので、時短に繋がるのが大きなメリットです。
また、データとして管理するのでペーパーレス化できるので入力の手間が省け、紛失のリスクも無くなります。
ピッキングシステム導入のデメリットは「ランニングコストが掛かる」や「機械トラブルが起こると操作できない」という点が挙げられます。
ピッキングシステムには初期費用や月々の使用料としてランキングコストが発生します。
人件費とピッキングシステム導入時のランキングコストを比較して、人件費の方がコストを占めている場合は導入を検討すべきですが、ピッキング作業の量が少ない場合は目視でピッキングを行った方がお得なケースもあります。
また、ピッキングシステムはITを活用して動作しているので、システムトラブルが発生するとピッキング作業が行えなくなってしまいます。万が一トラブルが発生した際のことを想定し、提供会社のサポート体制を確認しておきましょう。