マージンとは?意味や業界ごとの使われ方、関連用語も解説

企業の中で、あるいはそれ以外でも「マージン」という言葉を耳にする機会があります。

一口にマージンといってもその使われる範囲は広く、具体的意味についての把握は難しいでしょう。

本記事では、マージンの業界ごとの使われ方、およびそれに関連した用語も含め解説します。

マージンとは

マージンとは何でしょうか。一番イメージされるのは金銭がらみかもしれませんが、自分の業界では別の意味で使用しているという場合もあるでしょう。ここでは基本的な意味について見ていきましょう。

マージンの意味

マージンはビジネスにおいても頻出の重要用語ですが、基本的には「残り」といった意味合いを持ちます。その意味合いから、商品やサービスの売価と仕入れ価格との差、つまり、売上からコストを差し引いた利益を指します。

margin」という英単語が由来

「マージン」という言葉は英語の「margin」に由来し、元々は「余白」という意味です。

「端」や「縁」という意味

「マージン」は日本語で「端」や「縁」という意味も持ちます。この意味も、ビジネスにおけるマージンの概念を理解する上で役立ちます。ビジネスにおけるマージンは、取引の結果物、つまり売上からコストを引いた残り(端や縁)であるというイメージをおさえておくとよいでしょう。

ビジネスにおけるマージン

ビジネスにおけるマージンは、企業が商品やサービスを販売する際の利益を示します。マージンは販売価格からコストや経費を差し引いた金額として計算されます。高いマージンを持つ商品やサービスは、企業にとって収益性が高いといえます。一方、低いマージンは競争の激しい業界や価格戦略の影響を受けやすいことを意味します。

「もうけ」や「手数料」

マージンは、一般的には「もうけ」や「手数料」として理解されます。企業は商品やサービスを販売する際に、仕入れ価格よりも高い価格で売ることで利益を得ます。この差額がマージンとなります。マージンは企業の収益を生み出し、事業の成長や投資への資金調達に重要な役割を果たします。

金銭以外にも使用

マージンは、単に金銭的な利益を示すだけでなく、他の文脈でも使用されます。例えば、デザインや印刷業界では「マージン」という言葉は別の意味を持つため、意味の違いに留意する必要があります。

業界ごとのマージンの意味

業界ごとにマージンの意味は異なる場合があります。ここでは各業界におけるマージンの意味について見ていきましょう。

商社のマージン

商社においては、通常は商品の仕入れ価格と販売価格の差を指すのがマージンです。商社は、国内外のサプライヤーやメーカーから商品を仕入れ、それを顧客に販売する役割を果たします。商社のマージンは、仕入れ価格から販売価格を差し引いた金額として計上され、商社はマージンを最大化することで収益を上げます。

手数料

マージンと手数料は関連する概念ですが、微妙な違いがあります。手数料は、特定のサービスや取引に対する料金を指します。例えば、金融機関が顧客に対して行うサービスに対して手数料を請求する場合があります。一方、マージンは商品やサービスの売買における利益を指すため、手数料よりも広い概念と言えます。

最も一般的に使用される

“もうけ”という根本のイメージから、一般的に、マージンは商社でよく使用される用語の一つです。

人材派遣会社のマージン

人材派遣会社におけるマージンの用法も確認しておきましょう。

派遣社員の給料から差し引く

人材派遣会社においてのマージンは、派遣会社が派遣先企業に派遣労働者を提供する際に、派遣先から派遣社員分の給料として受け取る金額から差し引く一定の金額を指します。実際に派遣社員が受け取る給料は、マージンが差し引かれた後の金額です。

派遣会社ごとに決められている

派遣会社におけるマージンは、一般的に派遣会社自身が独自に設定します。派遣会社は、人材派遣サービスを提供する際に必要なリソースやサポートを提供するため、そのコストや利益を考慮してのことです。派遣会社ごとに異なるマージン率が適用されることがあり、これは業界の競争状況やサービスの付加価値に基づいて決められます。

印刷業界のマージン

印刷業界におけるマージンは、“もうけ”という意味から離れ、基本的な意味で用いられます。このような違いも、同様におさえておきましょう。

印刷物の余白

印刷業界において、マージンという言葉は印刷物の余白を指します。印刷物のデザインやレイアウトには、ページの周囲に余白(マージン)を設けることが一般的です。この余白は印刷ミスの未然防止に加え、文章や画像がスッキリと配置され、読みやすさや視覚的なバランスを向上させる役割を果たします。

マージン本来の意味

マージンという言葉の本来の意味は、余白や端といった概念に由来しています。ビジネスのでは商品やサービスの販売における利益を指すことが多く、売価から仕入価格や生産コスト、経費などを差し引いた差額のことでした。比較すると、こちらのほうがよりマージン本来の意味に近いといえます。

不動産業界のマージン

不動産業界におけるマージンは、不動産取引における販売会社や仲介会社の利益を指します。不動産会社や不動産仲介会社は、不動産の売買や賃貸などの取引において、仲介手数料を得ることで利益を上げます。この手数料がマージンとなります。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産取引やその他の取引において仲介業者が受け取る手数料のことを指し、不動産の売買や賃貸において仲介業者は取引の仲介役として活動し、その報酬として仲介手数料を受け取ります。

法律で上限額を規定

仲介手数料に関しては、宅地建物取引業法により上限が決められています。上限額は取引金額によって変わりますが、一例として400万円を超える場合は(取引価格の3%+6万)+消費税と定められています。

広告業界のマージン

広告業界におけるマージンは、不動産業界と同様に、広告代理店が受け取る手数料になります。

広告代理店に支払う手数料

広告代理店に支払う手数料は、企業や広告主が広告代理店に対して支払う報酬です。広告代理店は、広告キャンペーンの企画・制作・実施などを専門的に行い、広告主のニーズに応じた広告を提供します。その際に、広告代理店が広告主から受け取る手数料がマージンです。

広告元と広告媒体をつなぐ

広告代理店は、広告主(企業やブランド)と広告媒体(新聞、テレビ、インターネットなど)をつなぐ役割を果たします。広告代理店は広告主のニーズや要求を理解し、適切な広告媒体を選定し提案します。また、広告代理店は広告媒体との交渉や契約の管理、広告素材の提供なども行います。広告代理店の役割は、広告の効果的な配信や広告主との円滑なコミュニケーションの実現です。

投資業界のマージン

投資業界でのマージンは「利益」や「手数料」とは違う意味合いで使われます。投資業界で使われるマージンの意味は「証拠金」です。

証拠金

証拠金は主に先物取引、FXなどの金融取引において取引参加者が保証金として預ける金銭を指します。この証拠金は、取引参加者が取引リスクに対して一定の保証を提供するために預けられ、証拠金により少ない資金で多額の取引が可能になります。

保証として預ける金銭

証拠金は、取引の保証として預けられる金銭です。証拠金は取引参加者が取引を行う上での義務であり、保証金として預けられた金銭は、取引参加者の信用力やリスク管理の要素として取引業者によって評価されます。

マージンに関する用語

「マージン」から派生した関連用語もいくつか存在します。ここでは関連用語について解説します。

マージン率

人材派遣業界では、マージン率という概念が重要な役割を果たしています。マージン率は、派遣会社が取引先に対して提供する人材の費用と、実際に派遣労働者に支払われる給与との差額の割合を示します。

人材派遣業界で使用

派遣会社は、人材の仲介や管理、事務手続きなどを行うための経費もかかります。そのため、マージン率は派遣会社の運営コストや利益確保の重要な要素となっています。労働者に適正な報酬を支払いながら、派遣会社の利益を確保するバランスが求められます。

派遣会社の利益

マージン率は派遣会社の利益を計る指標として使われます。例えば、派遣会社が人材を提供する際、取引先から支払われる金額と、派遣労働者に支払われる給与との差額がマージンとなります。このマージン率が高いほど、派遣会社の利益は増えることになります。

マージンミックス

マージンミックスは、商品販売の一形態であり、異なる価格帯や利益率を持つ商品を組み合わせることによって、総合的な利益を最大化する戦略です。

商品販売の方法

具体的には、高利益率の商品と低利益率の商品を組み合わせにより、総合的な粗利益率を確保します。例えば高利益率の商品単体では中々売れないところを、低利益率の商品を安く混ぜておくことにより集客力を向上させ、結果として全体としての利益を向上させる、という手法です。

粗利益率の確保が目的

マージンミックスの目的は、高利益率の商品によって一部の顧客から高い利益を得る一方で、低利益率の商品によって集客、販売を実現し、顧客の需要を満たすと同時に粗利益率を確保することです。

マージンローン

マージンローンは、投資家が資金を効果的に活用し、株式取引での収益を最大化するための手段として利用されます。しかし、リスク管理や適切な投資戦略の実行が重要であり、注意深く取引を行う必要があります。

株式取引で使用

マージンローンは、株式取引において使用される融資の一形態です。マージンローンを利用すると、証券会社は投資家に対して証拠金額以上の資金を融資できます。

証拠金を担保として受ける融資

投資家が証拠金取引を行う際には、一定の証拠金を証券会社に預ける必要があります。マージンローンは投資家が証券会社や金融機関から融資を受ける際に、保有株式や証拠金を担保として借り入れるローンを指します。保有株式と借入額の差、つまり「マージン」があるためマージンローンと呼ばれます。

マージン取引

マージン取引は、少ない資金で取引を行いたい投資家にとって有益な手段です。有用である反面、リスクも同様にある手段です。

マージンローンを利用した取引

マージン取引は、マージンローンを利用して行われる取引の一形態です。マージン取引では、少ない資金を元に取引を行うことができます。

少ない資金で取引できる

マージン取引を利用すれば、投資家は実際の資金よりも多くの取引ができるため利益が出た場合に利益額が大きくなります。

マージンコール

マージンコールは「追証」とも呼ばれています。投資家やトレーダーは、マージンコールに注意を払い、証拠金の状況を適切に管理する必要があります。

追加証拠金

マージンコールは、先物取引などの取引形態において使用される用語で、追加の証拠金を要求する通知を指します。相場の急激な変動などによって、取引額に対して規定されている維持率より証拠金の額が不足した場合に、投資家に対して証拠金の不足を通知し追加の証拠金の補填を求めるものです。

先物取引などで使用

先物取引などの取引では、取引参加者は一定の証拠金を預ける必要があります。この証拠金は、取引のリスクをカバーするために必要な保証金です。マージンコールは追証金を入金する、または建玉を返済して維持率を回復させて解消する必要があり、期限までに解消できない場合は強制決済されてしまいます。

まとめ

マージンの意味や使い方は業界や文脈によって異なるため、商談や取引を行う際にはそれぞれの業界の特性や定義に注意を払う必要があります。適切な理解とコミュニケーションを通じて、スムーズな商談を行えるようにしましょう。


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