シナジーとは?意味やメリット、シナジー効果の活用例も解説

きちんと理解できているのかどうか分からないビジネス用語、今回ご紹介する「シナジー」もその一つではないでしょうか。

企業の事業展開や企業間の動きはシナジー効果を期待して行われることが多く、その提携のタイプにも種類があります。

本記事ではシナジーの意味やメリット、シナジー効果の連携例について解説していきます。

シナジーとは

まず一般的な「シナジー」とビジネスにおけるシナジーがそれぞれどういった意味を持つかを確認しましょう。

シナジーの意味

シナジーの基本的な意味は「相乗効果」であり、元々は薬学や生理学で使用されていた言葉が一般的にも使用されるようになったものです。

互いに作用し合うこと

シナジーの意味である「相乗効果」とは、辞書によると「二つ以上の要因が同時に働いて、個々の要因の和以上の結果をもたらすこと」となっています。

効果や機能を高める

シナジーには「薬品を併用した場合の相乗効果」といった意味もあるように、単なる「合計」ではなく、「合わさることにより単純な合計以上に効果が高まること」という意味が含まれています。

ビジネスにおけるシナジー

それではビジネスにおいてシナジーはどのような意味で使われているのか見ていきましょう。

多くは「シナジー効果」として使用

ビジネスでは企業間、事業間において「シナジー効果」といった言葉や意味合いで使用されることが多いです。

ビジネスシーンの相乗作用

ビジネスにおいて企業同士や事業が組み合わさることで、個々に事業を行うより相互にプラスの効果をもたらすという期待が持たれます。

シナジー効果とは

シナジー効果についてもう少し細かく見ていきましょう。

シナジー効果を上げるための連携にもいくつか形態があり、詳しくは後ほど解説していきます。

異なる企業や部署の連携

シナジー効果は異なる企業や部署間の連携が上手くいった場合に起こります。

連携は共通の目的のために行われ、企業であれば最終的には利益向上が目的となるでしょう。

1つの目的に向けた業務

シナジー効果は1つの目的に向けた業務、あるいは共同で1つの事業を行う時に使用されます。

WIN-WINの関係

シナジー効果は基本的には双方にとって単体で事業を行うよりプラスになる、WIN-WINの関係を目指して行われるものです。

単独で行うより大きな成果

シナジー効果は「単独で行うより大きな成果があがる」ことを期待して行われますが、場合によってはその相乗効果が逆方向に作用することも当然ありえます。

共同運営やM&Aなどを行う

シナジー効果を生み出すために企業間で事業を連携する場合、共同出資し共通の目的のために新たに会社を興す共同経営、合併や買収などで1つの企業体にまとめてしまうM&Aなどの方法が取られます。

「アナジー効果」が現れることも

シナジー効果が思うように得られないばかりか、連携前よりかえって経営状態が悪化してしまうのがアナジー効果です。

主な要因としては資金投入の失敗、連携不足による経営力の低下、人材流出などが挙げられます。

シナジー効果のメリット

それではシナジー効果には一体どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

コスト削減

まず挙げられるのが共同で事業を行うことによるコスト削減効果です。

業務上で共通してかかっているコストの部分を統一できる点は大きなメリットです。

流通経路の共有

業務の提携により流通経路の共有を行い、商品の保管費用や配送費用といったコストを削減できます。

人件費の削減

共通する業務の一本化を行うと、その分必要な人員が少なくなり人件費の削減にもつながります。

取引先の拡大

2つ目のメリットが取引先の拡大です。

双方の現存顧客の共有により単純に顧客が増える他にも、新たな客層が獲得できる可能性もあります。

顧客の共有

違う業種、あるいは違う地域で事業を行う企業同士の提携で既存顧客の共有を行えるためそれだけでも労力をかけずに顧客数を一気に増大できます。

新たな客層の獲得

同じ業種であれば業界シェアを一気に拡大できるため、また違う業界であれば提携によりサービスが拡大できるといった効果があるため新たな客層の獲得も見込めるでしょう。

業務の効率化

最後のメリットが業務の効率化です。

特に新しい事業に手を広げる場合、自社のみで事業を行うより既に実績のある企業と提携する方が双方の人材・技術を共有できるため最小限の時間やコストで事業を拡大できます。

ノウハウを持つ人材の共有

展開したい業界で既に実績を持つ企業と提携すれば、ノウハウを持つ人材を共有できるためお互いの得意な分野を効率的に強化しあうことが可能です。

新システムの導入もスムーズ

また、新しいシステムを導入する場合もノウハウや技術の共有、あらかじめシステムに関連した信頼できるデータがあるためスムーズに行えます。

シナジー効果の種類

シナジー効果には4つの分類があります。

次はその4つについてそれぞれ解説していきましょう。

販売シナジー

販売シナジーとは、流通経路や販路に関わる面でのシナジー効果のことです。

流通経路などを共有

流通経路の共有による効率化やコストダウンの他に、販売ルートの拡大などが挙げられます。

ブランド力の強化

提携による業界シェア拡大や既に実績のある企業との提携により、ブランド力が強化される効果もあります。

生産シナジー

生産シナジーは、生産過程での設備やノウハウの共有によって起きるシナジー効果のことです。

技術や設備を共有

生産設備や技術を共有することで業務の効率化や統合が行われる結果、コストや人員が削減できる効果があります。

生産性の向上

技術の共有による効率化や、事業規模の拡大により部品や原料の調達コストが下がる、安定供給されるといった効果が起きる結果、生産性の向上につながります。

投資シナジー

投資シナジーとは、企業同士が情報やお金も含めたお互いの経営資源を一部共有することで起きるシナジー効果です。

共同で研究や開発

企業同士が独自のノウハウや資金を共有して研究や商品開発を行い、新たな商品の開発や新事業への転用につながる可能性を持ちます。

将来性に期待

特に買収などの場合において、現在のメリットだけでなく相手企業の将来性に期待した投資シナジーを見込んで提携を行う場合があります。

経営シナジー

経営シナジーは、管理者・経営者の持つノウハウや情報を共有することで起こるシナジー効果です。

管理者・経営者のノウハウを共有

ある企業が有益なノウハウを持ちながらも資金の都合で業績が伸びなかったり新事業に参入できなかったりするような場合、それを補える企業との提携でお互いの利益につなげることが可能です。

新規事業の参入に有効

事業提携や共同経営などにより企業としての価値が上がれば、新規事業を立ち上げる際の資金調達も楽になります。

シナジー効果を目指す連携の例

シナジー効果を目指した連携にはいくつか種類があります。

最後にその違いについて見ていきましょう。

業務提携

業務提携は、複数の企業が経営は独立したまま特定の事業に関して協力する形態です。

互いの強みを活かす

それぞれの企業に元々あった経営資源や強みを活かし、業界シェアを上げたり新規事業に参入したりといった形で競争力を強化します。

互いの弱点を補う

逆に、企業間でそれぞれのノウハウや設備といった経営資源を共有することで互いの弱点を補い合うというシナジー効果を生み出すメリットもあります。

M&A

M&Aは複数の会社を1つにする合併や、企業の買収など資本の移動がある連携の形態です。

市場競争力の強化

M&Aによる業界シェアの拡大や複数サービスを一元化して提供することによる顧客の囲い込みが起きる結果、市場競争力が強化されます。

また、企業規模が拡大し企業価値が上がるとその分優秀な人材が集まりやすくなり、人材確保の面でも競争力が強化されます。

コスト削減や業務の効率化

業績を上げるには顧客ニーズや世間の動向といった不確定要素がありますが、M&Aを行ったことによる開発費や人件費といったコストの削減や業務の効率化は内部である程度コントロールできる部分です。

そのため、結果的に利益率の向上につながりやすくなります。

多角化戦略

多角化戦略とは、これまでの経営資源を利用し新たな事業を展開する形態です。

企業の収益率向上

企業の売り上げが1つの分野に集中している場合、その分野が好調であればいいですが時代や消費者の嗜好の変化、強力な競合企業にの台頭によって一気に業績が下がることもあるでしょう。

多角化戦略によって企業全体の業績を安定させ、収益率の向上が狙えます。

新事業への参入

多角化のパターンは大きく分けて、既存の技術で類似した市場に展開する「水平型」、新たな技術で類似した市場に展開する「垂直型」、既存の技術で新分野へ展開する「集中型」、全く関連のない新事業に乗り出す「コングロマリット化」の4つです。

シナジー効果が起きれば収益性が向上する反面、経営資源の分散で経営が不安定になるリスクもはらんでいます。

まとめ

今回はシナジーについて解説しました。

ターミナル駅に宿泊施設や商業施設を展開する鉄道各社や、生産から販売までを一括して管理することで利益率を上げる小売りや飲食チェーン、M&Aにより屈指の企業規模になったソフトバンクグループなど、シナジーによる成功例は数多くあります。

しかし一事業の業績不振がアナジー効果を起こしグループ全体の足を引っ張るといったケースもあります。

本当にそれぞれの強みのかけ合わせによってシナジー効果が見込めるのか、自社も含め連携する企業や展開する業種についてリサーチと準備が必要なことは言うまでもないでしょう。


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