「ナレッジマネジメントツール」とは?
ナレッジマネジメントツールの理解を深めるために、それぞれの言葉が指す意味についてご説明します。
「ナレッジ(knowledge)」とは知識・ノウハウなどのスキルのことを指し、主にビジネス用語として使用されています。ナレッジを企業全体で共有・活用することでさらに業績を上げ、事業を維持発展させることを「ナレッジマネジメント」と呼びます。
社内ノウハウを共有してナレッジマネジメントを行うことで業務の効率化が高まり、生産性の向上に繋がります。ナレッジマネジメントツールはそれらの力を高めるために利用するツールのことを指します。
近年、少子化により労働力が減っており、それをカバーするためには業務の効率化を図ることが課題点とされています。ナレッジマネジメントツールを導入することで、ナレッジマネジメントを強化し、業務の効率化を行うことができます。
「ナレッジマネジメントツール」にはどのようなタイプがある?
ナレッジマネジメントツールには“クラウド(SaaS・ASP)”や“オンプレミス”のような接続タイプがあります。
クラウド型は既存のサーバーを使ってインターネット経由でサービスを使用するものです。サーバーの購入が不要なので初期費用を抑えることができ、サーバーを固定化しないのでインターネット環境があればいつでも利用できるので人気が高い接続タイプです。
クラウド型の弱点はツールを自社の要望に合わせてカスタマイズするのが難しいという点と、提供されているサーバーを利用してツールにアクセスしているので、サイバー攻撃を行われるリスクがあります。
クラウド型のSaaSの代表例としてはGmailやSkype、ASPはインターネット経由でアプリケーションの機能を提供しているものをイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。
オンプレミス型はクラウド型と異なり、はじめに自社でサーバーを用意しなければなりません。新規サーバーを導入するとなると、一般的に数十万~数百万の費用が掛かります。加えてサーバーの構築や運用・保守が必要なので知識がなければ運用は難しいでしょう。
またサーバー経由でしかアクセスができないので、アクセスできる場所が限られてしまうというデメリットがありますが、自社サーバーを利用しているためカスタマイズ性に富んでおり、セキュリティ性が高いので攻撃を受けにくいというメリットが挙げられます。
提供されている基本機能で手軽に利用したいならクラウド型、自社に合わせてカスタマイズをしたい方や社内の機密情報を取り扱う場合には“オンプレミス型”がおすすめです。
「ナレッジマネジメントツール」の選び方は?
ナレッジマネジメントのツールを選ぶ際には「接続タイプ」もしくは「使いやすさ」で選ぶと良いでしょう。
例えば、テレワークの導入ですぐに進めたい企業の場合はサーバーの設置場所にとらわれず、いつでもどこからでもアクセスできるクラウド型がおすすめです。また、自社特有の機能にカスタマイズしたいケースだと、自由度の高いオンプレミス型が適しています。
このようにツールの使い方によって適しているナレッジマネジメントツールが異なりますので、用途に合わせてセレクトします。
従業員のナレッジマネジメントで利用するわけですから、使いやすさも重要です。せっかく導入したのに操作性が悪く、使い方を理解するまでに時間が掛かってしまっては意味がありません。
「ナレッジマネジメントツール」比較検討時の注意点は?
ナレッジマネジメントツールを比較検討する際の注意点として、“情報をきちんと共有できたことが分かるか”という点や、“コミュニケーションが取りやすいシステムかどうか”を見極める必要があります。
提供されているナレッジマネジメントツールでは、教育先の進捗状況が確認できるようになっているものも多いです。しかし、「ツールを導入しているのだから確認しているだろう」というコミュニケーション不足によるすれ違いが発生してしまう可能性も高まります。
ツール上でコミュニケーションを取りやすい環境であれば、進捗状況や理解度の確認も簡単に行えますので、受取り手のリアクションが分かりやすいナレッジマネジメントツールを選定するように注意しましょう。
また、情報共有を行うことで機能するナレッジマネジメントツールですから、従業員が情報共有をしたくなる仕組みづくりを行うことも大切です。
主要な「ナレッジマネジメントツール」の一覧
「ナレッジリング」(株式会社CBIT)
おすすめ対象者
業務の効率化を図りたい方、分かりやすい操作性を求める方、コストを抑えてツールを導入したい方、働き方改革に取り組んでいる企業
主要機能
ナレッジ検索ボックス、FAQコミュニティ、キーワード分析、必読設定(プッシュ通知)、統計モニタリング
特徴
社内に蓄積されたナレッジを一元管理、誰でも簡単に利用できる
SaaSプラン:初期費用98,000円/月額9,800円+(120円×ユーザー数)/容量2GB/カスタマイズ×
ASPプラン:初期費用150,000円/月額50,000円~/アカウント無制限/容量要見積/カスタマイズ○
公開FAQプラン:初期費用150,000円/月額50,000円~/アカウント無制限/カスタマイズ○
無料プラン
あり(30日間/20アカウントまで)
サポート
あり(FAQ設計支援や基本操作レクチャーなどを専任のスタッフが導入前から導入後まで手厚くサポート)
「flouu(フロー)」(プライズ株式会社)
おすすめ対象者
テレワークの導入を進めたい企業、リアルタイムで情報を共有したい方、社内のファイルサーバーをまとめて整理したい
主要機能
文書管理、情報共有、分析機能など
特徴
リアルタイムで同時編集・共有が可能、検索機能で必要なものがすぐに見つかる、共有情報の閲覧状況の見える
費用
基本料金:550円(30日/1ユーザー)
セキュリティオプション:550円(30日/1ユーザー)、
無料プラン
有り(14日間のお試し期間)
サポート
有り(文書作成・情報共有のプロセスなどの導入支援サービス110,000円~)
「ナレッジマネジメントツール」導入のメリット、デメリット
ナレッジマネジメントツールを導入するメリットとデメリットについてご紹介します。
ナレッジマネジメントツールを導入するメリットは次のようなものが挙げられます。
・個人のスキルアップができる
・業務の効率化
・生産性の向上に繋がる
・企業経営の基盤が固まる
ナレッジマネジメントツールを使うことで従業員個人のスキルアップができます。スキルアップすることで業務を効率化することができ、生産性の向上につながります。
また人材育成は対人で行うと2人分の人件費がかかります。人材育成の一部分をナレッジマネジメントツールに置き換えることで人件費のコストカットができ、プラスの連鎖が働きます。特に人材の入れ替わりが激しい業界であればツールでのナレッジ教育は重要です。
さらに一人ひとりの従業員のスキルがアップすることで企業経営の基盤が固まることも、変化の激しいビジネス環境の中では大きなメリットを言えるでしょう。
ツールを導入するデメリットは「費用対効果が可視化しにくい」という点です。
ツールを利用して従業員にマネジメントを行うことでスキルアップに繋がりますが、それが利益として可視化しにくいのです。その点は教育指導者の人件費のコストカットと考えると良いかもしれませんね。
ナレッジマネジメントツールを導入するメリット・デメリットを鑑みて、ツールの選定を検討しましょう。