「電子カルテ」とは
電子カルテとは医療機関などで従来紙に記録をしていた診療や他の治療にまつわる情報のデータを電子化した記録のことです。日本では国民健康保険制度、社会保険制度、労災保険、介護老人保健施設制度がカバーする医療保険、介護保険などに特化して、国民のみならず日本在住外国籍の住民にまで均等に充実した医療サービスが国全体に行き渡るようになってきております。
「電子カルテ」にはどのようなタイプがある?
- 医療施設単位の管理下にあるEMR「 患者個人の医療記録 」
- 地域連携型国家単位で管理されるHER「 国の健康保険制度と連結した国民の医療記録 」といった2種類の電子カルテが主に存在します。海外と違って日本の医療業界のなかでは これら2つを分けずに扱うケースが多いところに日本の電子カルテの特徴があります。
- 患者個人が自分で自身の医療記録の一部に病院のポータルアクセスを通して予約や検査結果・デジタル診断などを受けられる極めてパーソナルな用途及び利便さを追従したPHRパーソナルヘルスレコードの電子カルテもあります。
EMRとEHRの基本的概念や電子データの構成及び運用システム枠組みに大差がないため日本では海外と異なり、大抵の場面で区別して扱うような利用者の体験的違いはありません。データの構成もコンテンツも患者さんの医療データな訳です。同じ患者さんを対象に違う場所や時に異なる医療機関が作成した電子カルテの情報を互いにアクセスし、閲覧または、他の共有機能をもたしたことで個々の医療機関が作成するものをEMRと呼び、広域共有医療情報を可能にしている合同の医療データが構築したものをEHRと呼んでいます。強いて言えば、患者が自分の病歴や過去に受けた治療や検査の結果などを追跡して新たな場所で関連治療の継続を求めるとした時、次の医療機関が患者が過去に持っていたEMR電子カルテのデータに容易にアクセスし、その記録を共有できるようにするものが EHRです。このためには、医療機関同士でデータの管理責任上課題となる主体性や共有範囲または、その活用方法を取り決め、相互運用が可能となるようにシステム上の互換性を考慮したハードウェアやソフトウェア設備を双方で設けなければなりません。
一方PHRの場合、患者が自己責任でデータのアクセスや管理を運用する形式となります。
患者の医療データという点ではどれも同じですが、データの管理主体、共有範囲や活用方法に違いがあります。別々の医療施設が一定の期間内で作成してきた個人のEMRのデータを、医療機関の間で共有可能にしたものがEHRです。EMRとは異なり、EHRは診断や検査の結果など患者の医療記録を広い意味で捉えており、患者が医療機関を変えても追従できます。
1つの医療機関がEHRシステムでデータにアクセスするには、他の医療機関EMRシステムと相互運用可能なEMRシステムを備えている必要があります。PHRにはEHRと同じ情報が含まれますが、PHRを管理するのは患者自身という違いがあります。
「電子カルテ」の選び方
電子カルテには下記の留意事項を踏まえた上で選択をする必要があります。
1.電子カルテソフトウェアは、以下の基本的な機能を有していること。
バイタルサイン、投薬、治療、検査記録など、患者の診療データと病歴の包括的な記録の作成が容易に可能であること。
院内のオーダーコードと料金の入力が治療コードに適切なコストを割り当て、処方箋または通院・入院・退院時の受付・チェックアウト請求書に記載されているコードに従って患者の請求業務がスムーズにできるようレセコンとの連携機能が有していること。
医師に患者のケアに関する意思決定を支援する機能を有し、病歴データや他の記録の分析による関連情報を提供できる機能があること。
必要に応じて院内の他の部署へ投薬注文や治療指示などをアプリ内機能から電子的にオーダーの入力および送信ができること。
患者の治療関連スケジュールを予約し、カレンダーに予約を表示し、ノーショー、順番待ちなどリストを管理し、リクエストを再スケジュールできるスケジュラー機能が内蔵していること。
コンプライアンスの追跡によって、医療業界の標準および規制に従って治療の進行が実行されていることを確認するために、コアプラクティス追跡機能の操作が可能であること。
患者自身が自分でセルフサービスポータルをアクセスして、予約を取ったり、医師と連絡を取ったり、検査結果や処方箋を受け取ったり、支払いを行うことができる専用ポータルを提供していること。
2.以下の法的条件の厳守が確保されていること。
真正性
書換、消去・混同、改竄を防止すること。カルテ作成者の責任の所在を明確にすること。
見読性
必要に応じカルテを肉眼で見読可能な状態にできること。直ちに書面に表示できること。
保存性
法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存をすること。
3.コストと導入に纏わる関門
従来のオンプレミス型で自院内にハード・ソフトウェアなどのインフラ設備を構築し、セキュリティを重視するか、コストダウンを狙ってプロバイダーが提供する院外インフラサービス的IaaS型電子カルテシステムの導入に踏切るかという選択があります。
4.用途とバイヤーの属性に見合ったもの
- 導入の段階、動機や用途やによって選択はピンキリです。今までも使用してきた利用者であれば、ミドルウェアを使って自院にないシステムのみの追加機能を選択できる場合があります。レセプト管理システム、手術管理システム、リハビリ管理システム、入院管理システムは、電子カルテシステム単体とその他の関連システムの一例です。選択する電カルシステムは、これら院内で使われる全てのシステムと連動する必要があります。
- 医療研究機関の場合PHRを考慮する必要はほとんどないですが、大きな病院はもちろんのことでその他一般診療所、クリニックや小中規模の病院でも患者さんのオンライン予約・ウェブリマインダー、テレメディシン聴診、問診、自宅検診、検査結果の表示や他の遠隔診療など患者さんご自身で管理できるポータルサイトの機能は今では電子カルテで出来て当然と見るバイヤーが多いです。新規導入であればBiometric、AI、クラウド、IOTなど 5G化に強いオンラインサービスに連結した電カルシステムが昨今のニーズに合ったものです。
5.地域にあるEMR及びEHR医療システムとの互換性
地域の他の病院や診療所で使われているEMRやEHR電子カルテシステムとの互換性、連携性が図れる電子カルテを選ぶ必要があります。
6.欲しい機能が搭載していること
最近の電子カルテには多様多岐の機能選択があります。自院で欲しい機能が予算内に搭載できる確認をしましょう。電子カルテには、診断書など関連文書作成に当たり、テンプレートの豊富さやワンクリックでカルテ作成出来る補助機能、音声機能やタッチパネル式に専用ペンで手書き入力するなど重要視したい機能の有無を確認して検討しましょう。
7.将来の展望
電子カルテには、診療科目別に眼科、精神科、歯科など専用システムが販売されております。その逆に自院の全診療科目を一体化した一体型のシステムもあります。あるいは、医療機関の規模別にクリニック、診療所、小中大規模病院向けに異なるシステムが開発されています。病院が無床や有床かによってもシステムの選択が違います。自院の組織計画に見合ったものを選ぶと良いでしょう。
- 十分なサイバーセキュリティツールが必要
カルテが提供できる情報共有の分野や内容こそ多様多岐に渡りますが、未だ患者の個人情報の漏洩、改竄、不正公開などの被害が頻繁に起きていて油断禁物の状況です。ランサムウェアの被害に会っている医療機関と直接関係を持つ病院が標的にされているシステムの主は、EHR電子カルテ上匿名で共有できる医療情報交換で開示されるデータベースのケースだと思われます。クラウド型の電カルに特に注意しましょう。
- システムのスペックやフォーマット詳細
電子カルテは、厚生労働省が主体となり国内推奨フォーマットを規定している。認定は、分野別に厚生労働省から委託を受けているHELICSなどの団体が定める仕様によります。使用目的に対して導入する電カル仕様の適性を問う必要があり、診療情報の標準交換規約が制定や改定されたならば、各メーカーの商品にその適応の足並みがどこまで揃っているか注意して調査を行うとしましょう。
「電子カルテ」比較検討時の注意点は?
- 代理店が多数あり、対面でのサポートが決め手というならば、PHC社のMedicomシリーズや、富士通社のHOPE シリーズがだんとつトップランキングに上がっています。
- セキュリティー重視の場合同じくPHC社のMedicomシリーズや、富士通社のHOPE シリーズが良い。 日立
- 予算内にしたいと思うなら低コストのエムスリーデジカルやビー•エム•エル社のQUALIS
キヤノンメディカルシステムズのTOSMECシリーズの順となります。
このほか、MEDLEY社、Donuts社などを目指すべきです。
- クリニック向けならエムスリーデジカル社、ダイナミクスDynamics、EMシステムズ
PHC社のMedicom-HRシリーズ、ビー•エム•エル社QUALIS、キヤノンメディカルシステムズ社のTOSMECシリーズ。ラボテック社のSUPER Clinic、ユヤマ社のBrain Boxシリーズがトップランナーです。
- 主要な「電子カルテ 」の一覧を最新総合ランキング順に置きますと以下のようです。
主要な「電子カルテ 」の一覧
1)PHC(旧パナソニックヘルスケア)社
「Medicomシリーズ」
2)ビー・エム・エル社
「Medical Station」「Qualis」
3)ユヤマ社
「BrainBoxシリーズ」
4)ダイナミクス社
「Dynamics」
5)日立ヘルスケアシステムズ(旧日立メディカルコンピュータ)社
「Hi-SEEDシリーズ」
6)キヤノンメディカルシステムズ(旧東芝)社
「TOSMECシリーズ」
7)富士通社
「HOPEシリーズ」
8)グローバルソフトウェア社
「イージーカルテ」
9)エムスリーデジカル社
「M3 Digikar」
10)島津メディカルシステムズ社
「SimCLINIC シリーズ」
11)EMシステムズ社
「MRN」
12)ラボテック社
「SUPER CLINIC」
13)アイネット・システムズ社
「AI・CLINIC Revo」
14)NTTエレクトロニクステクノ社
「モバカルネット」
15)シィ・エム・エス社
「Doctor’s Desctop3」
16)きりんカルテシステム社
「カルテZERO」
17)三栄メディシス社
「DearDr.Ⅱ」「Dr.Simpty」
18)蓼科情報社
「NOA X」
19)LSIメディエンス社
「m-KARTE」
20)亀田医療情報社
「アピウスシリーズ」
21)セコム医療システム社
「OWEL/ユビキタス電子カルテ」
22)エフ・カルテット社
「fカルテット」
23)メディブレイン社
「BRAINS」
24)システムロード社
「RACCO」
25)いしだ社
「いしだの電子カルテ」
クリニカル・プラットフォーム社
「CLIPLAシリーズ」
海外の電子カルテ老舗
1) AdvancedMD
2) NextGen Healthcare
3) Kareo
4) eClinicalWorks
5) Allscripts
「電子カルテ」導入のメリット
- 診療情報の一元化により情報の整理、分析、調査、訂正、保存、アクセス、検索、出力、 共有、セキュリティ、見直しなど情報管理全般が容易にできます。
- 診療記録の書き込み、解読、表示、開示、共有、譲渡の過程で起きるヒューマンエラーを回避します。
- 医療機関にとって診療情報が業務の肝心な動脈的要素であるため、電子カルテの導入によって組織全体の部署間、組織内の他のシステム間や同業者間のコミュニケーション力が上がり、業績アップに 繋がります。
- PHRのポータルアクセス機能を追加することで顧客が企業のサービスポータルに自分自身で直接アクセスできるようになり、営業の間口が広がるので売り上げを向上させる利点があります。
- 医療機関のデジタル化を完結させる役割をもっているため、組織の将来性がより柔軟性をもって時代の変化に対応しやすくなります。
- 診療業務全般の効率化が図れます。
「電子カルテ」導入のデメリット
- M&Aなどが頻繁に起きているICT業界に提供される商品・サービスのためシステム変動・変更のリスクが高いためコスト計画そのものが困難であり、経済的負担が 大きい。
- 医療機関のHISオーダリングシステム、レセプト会計・経理システムやその他数々の重要システムと連動性・互換性・整合性が必要なためITやICTリテラシーの高度人材の確保とその人事の維持管理が難解である。 • サイバー犯罪に攻撃されやすいリスクがある。