給与計算システムの比較

「給与計算システム」とは?

低コストで導入が簡単なのが魅力のクラウド型の給与計算システムが、注目されています。

給与計算は非常に手間(工数)がかかる業務で、毎月決まった日に業務が集中することへの精神的負担も大きいです。

しかし、給与計算システムを使えば、煩雑な給与計算業務が効率化でき、経理担当者の工数削減が可能になります。また人件費の削減にもつながるでしょう。

さらに、年末調整や税率・社会保険料の変更に対応しているシステムもあり、難しい知識がなくても簡単に業務を行えます。

「給与計算システム」にはどのようなタイプがある?

給与計算システムには、以下の3タイプがあります。

  • 給与計算特化タイプ
  • 人事給与タイプ
  • ERPタイプ

「給与計算特化タイプ」とは、勤怠管理や労務管理などの機能がなく、給与計算に特化したタイプです。システムにより対応できる業務が異なります。給与の自動計算・明細発行のみのシステムから、社会保険手続き、マイナンバー管理などができるシステムなど様々です。

「人事給与タイプ」は給与計算だけでなく、各種人事労務を1つのシステム内でできるタイプ。給与計算特化タイプとの違いは、勤怠管理機能を備えているかどうかです。

企業の主要業務を統括的に管理・効率化できる基幹系情報システムを活用する「ERPタイプ」。人事業務以外にも、販売・会計業務などにも対応しており、すべてのデータを一括で管理できるのが特徴です。

多くがカスタマイズ機能を持っており「COMPANY給与計算」などは大企業ならではの複雑な給与体系、福利厚生制度などにも対応できます。

「給与計算システム」の選び方は?

給与計算システムを選ぶ際のポイントは全部で3つ。

  • 企業規模
  • 自社の体制・業務フローに応じた選び方
  • 大金管理方法

従業員が300人を超え、他拠点展開している場合には、福利厚生なども複雑になってきます。その場合は、要件定義やカスタマイズ可能な「ERPタイプ」の導入を検討するのがオススメです。

給与計算システム導入後の体制・業務フローはどうするのかによっても選ぶ基準が変わってきます。「年末調整業務を社内で行う」「給与明細のWeb発行をしたい」「社会保険の保険料計算だけでなく、加入手続きも行いたい」など、給与計算意以外に求めるものが何かを考慮して、給与計算システムを選ぶ必要があります。

給与計算特化タイプは他の勤怠管理システムと連動させることで、勤怠情報を取り込む必要があります。すでに使っている勤怠管理ソフトを運用している場合は、連携できるかを確認しましょう。

もし現状の勤怠管理システムを変えたいと思っているなら、「人事給与タイプ」「ERPタイプ」を検討してみると良いでしょう。

「給与計算システム」比較検討時の注意点は?

どのようなタイプが合っているのか分かったら「業務範囲」「自動計算」「システム連携」

について比較検討します。

給与の自動計算はどれもできるが、「Web給与明細の発行」「オンライン振込」「年末調整業務」「社会保険手続き」など対応できる業務範囲は異なります。そのため、社内の体制・業務フローと照らし合わせて比較検討しましょう。

従業員の雇用形態が複数ある場合、割増賃金の計算・各種手当のルールも複数存在するため、個別に計算するのは大変ですよね。そのような場合、複数の給与体系が登録でき、自動計算するシステムが便利です。

法改正に応じて、税率や社会保険料率を自動で更新してくれるシステムがおすすめ。

給与計算特化タイプに関しては他の勤怠管理ソフトとの連携を確認しておくのはもちろんですが、それ以外にも他のシステムと連携できれば業務をより効率化できます。

ソフトによってどのシステムと連携できるかは異なるため、すでに導入済みのソフトがあれば連携の可否を確認しておくこと。

主要な「給与計算システム」の一覧

ここからは主要な給与計算システム3つを、サービス内容や対象者、費用などと併せて紹介していきます。

「人事労務freee」(freee株式会社)

クラウド給与計算ソフトシェアNo.1(2016年3月)で有料課金ユーザー企業数は25万事業所以上(2021年1月末時点)。

給与計算だけでなく、勤怠管理や入社手続きも含めて人事労務全般を一貫して管理できる・人事給与タイプのクラウド給与計算システムです。

【おすすめ対象者】

 ・人事・労務をできるだけ少人数で行いたい企業

 ・設立したてのベンチャー企業

 ・各種クラウドサービスと連携させたい企業

【主要機能】

 ミニマムプラン:

 ・毎月の給与計算(勤怠は時間入力)

 ・年末調整/年度更新/算定基礎/随時改定など主要な給与イベント

 ・法廷三帳簿に対応

 ・マイナンバー管理

 ベーシック:

 ・ミニマムプラン+会計経費精算連携、労務手続き、勤怠打刻機能/位置情報の記録

 プロフェッショナル:

 ・ベーシック+人事マスタ、身上変更の承認ワークフロー、給与計算チェック機能

【特徴】

・他社勤怠ソフトはCSVファイルでデータ取り込み可能

・slackでの出退勤の打刻操作や給与明細発行通知の受け取り可能

・設立したての企業から中堅企業まで対応可能

【料金】(税抜)

ミニマム(従業員〜3名):23,760円〜/年(1,980円〜/月)もしくは2,200円〜/月

従業員追加 300円/人/月

ベーシック(従業員5名〜):47,760円〜/年(3,980円〜/月)もしくは4,480円〜/月

従業員追加 500円/人/月(税抜)

プロフェッショナル:96,960円〜/年(8,080円〜/月)もしくは9,280円〜/月

従業員追加 700円/人/月(税抜)

【無料プラン・無償トライアル】

お試し期間(1ヶ月間)あり

【サポート内容】

ミニマムプラン・ベーシック:メール/チャットサービス、ヘルプページ

プロフェッショナル:上記サポート+電話サポート

  

「ジョブカン給与計算」(株式会社Donuts)

給与計算特化タイプの給与計算システム「ジョブカン給与計算」。給与計算担当者の「あったらいいな」を実現する細かい部分までこだわって作られています。他のジョブカンシリーズと連携が可能なので、すでに他のサービスを利用しているなら使わない手はないでしょう。ITトレンド年間ランキング2020・2019年で1位を獲得しています。

【おすすめ対象者】

・5名までの小規模企業

・ジョブカンリシーズを利用している企業

・細かいサービスや機能が欲しい企業

【主要機能】

・給与規定グループ機能

・支給・控除項目の計算式適用

・税率・保険料率の自動アップデート

・通勤手当/社会保険/雇用保険料/所得税の自動計算

・支給・控除等一覧表/住民税一覧表/賃金台帳/社会保険関係書類等の出力

・Web明細、マイナンバー管理など

【特徴】

・社労士監修、給与計算担当者の意見を基に開発されている

・slackでの出退勤の打刻操作や給与明細発行通知の受け取り可能

・設立したての企業から中堅企業まで対応可能

【料金】(税抜)

●中・小企業

無料プラン‥0円/月+サポート&初期費用0円

有料プラン‥一人あたり400円/月+サポート&初期費用0円

●大企業(500名程度)

要問い合わせ

【無料プラン・無償トライアル】

お試し期間(30日間)あり

【サポート内容】

メールサポート/チャットサポート/電話サポート

「マネーフォワードクラウド給与」(株式会社マネーフォワード)

「マネーフォワードクラウド給与」は、5つの設定項目だけで給与計算が始められる給与計算特化型タイプの給与計算システムです。

年末調整の進捗管理から帳票の出力までWeb上で完結させることができます。

【おすすめ対象者】

・給与計算に手間をかけたくない企業

・別のマネーフォーワードサービスを利用しており、連携させたい企業

・シンプルでわかりやすい給与計算システムを求めている企業

【主要機能】

・確定申告

・請求業務

・その他(経費/給与/社会保険/勤怠/マイナンバー)

【特徴】

・画面設計がよく、使いやすい

・テレワーク・在宅勤務にも対応

・年末調整が非常にスムーズ

【基本料金】(税抜)+重要課金+その他オプション

●個人

パーソルミニ:9,600円〜/年(800円〜/月)もしくは980円〜/月

パーソナル:11,760円〜/年(980円〜/月)もしくは1,280円〜/月

パーソナルプラス:35,760円〜/年(2,980円〜/月)

●〜30名以下の法人

スモールビジネス:35,760円〜/年(2,980円〜/月)もしくは3,980円〜/月

ビジネス:59,760円〜/年(4,980円〜/月)もしくは5,980円〜/月

●30名〜以下の法人

要問い合わせ

【無料プラン・無償トライアル】

お試し期間(1ヶ月間)あり

【サポート内容】

・チャットサポート

・定期的な説明会の開催

「給与計算システム」導入のメリット、デメリットは?

「給与計算システム」の導入にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリットとデメリットをそれぞれ説明します。

「給与計算システム」導入のメリット

「給与計算システム」導入のデメリットは、主に次の2つ。

  • 給与計算業務の効率化
  • 属人化を解消し、生産性を上げられる
  • 強いセキュリティで個人や会社の情報が守られる

給与系計算の作業負担は、給与体系が複雑であれば複雑であるほど大きくなります。従業員の数だけ計算が異なるため、それだけで労力がかかってしまいます。しかし、給与計算システムなら初期設定だけしてしまえば、自動計算で行うことができ、計算ミスも防げます。

計算方法や複雑な法制度に詳しくなくても、処理が行えます。

給与計算業務を特定の従業員しかできない体制にしておくと、担当者に何かあった際に業務が止まってしまいます。また引き継ぎ等も簡単です。

給与計算で使用する情報は従業員の個人情報や企業情報を多く含んでいるため、取り扱いには十分な注意が必要です。しかし、各給与計算システムでは高度なセキュリティ対策が取られているので、情報漏洩の心配もありません。

「給与計算システム」導入のデメリット

「給与計算システム」導入のデメリットは、主に次の3つ。

  • ネット環境が必要
  • コストがかかる
  • カスタマイズが難しい

クラウド型の給与計算システムは、ネットワークを経由して使用するため、インターネット環境が必須です。また、ネット環境があっても接続状況が悪いと処理速度に影響し、作業効率の低下につながります。

また、給与計算祖システムは、月額制のものと課金制のものがあります。課金制のシステムは従業員数が多いと、それに応じて費用が高くなる仕組み。そのため、大企業で課金制の給与計算システムを導入するとコストが高くなる可能性があります。

給与計算システムによって機能やサービスが異なります。クラウド給与計算システムはカスタマイズが難しいので、一度導入してしまうと途中で調整することができません。複雑な給与規定のある企業は、それに対応できるかどうかを導入前に検討する必要があります。

まとめ

今回は給与計算システムの選び方やおすすめのシステムをご紹介しました。

給与計算システムの導入は、担当者の作業負担の軽減や正確な業務の実現に効果的な手段です。まだ導入していない企業は、この機会に検討してみませんか?

システムによって、可能な業務内容やサポートは異なります。

自社の給与体系や他システムとの連携の可否を確認した上で比較検討し、給与計算システムを決めましょう。


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