リモートアクセスとはインターネット通信を利用して、自宅や外出先などから遠隔で企業の社内システムに接続するための手段です。
自分の権限を持つネットワーク内であれば遠隔地からも社内ネットワークにアクセスでき、社内と変わらない操作ができ、テレワークや在宅勤務など働く場所にとらわれないリモートアクセス環境を求める企業からの注目が高まっています。
自宅や出先でネットワークを繋げるとなるとセキュリティ面での不安が発生しますが、リモートアクセスで接続すると社内ネットワークと同じセキュリティ機能を保有したままアクセスできます。
また、社内に設置するデスクトップPCを自宅や出先に持ち出すのは難しいため、ノートパソコンやスマートフォン・タブレットなどから簡単に社内LANにアクセスするのが一般的です。
「リモートアクセス」にはどのようなタイプがある?
リモートアクセスにもさまざまな種類が提供されており、主に次の3種類がメインとなっています。
- VPN(Virtual Private Network)
- リモートデスクトップ
- セキュアブラウザ
いざ導入するとなった時に「リモートアクセスの環境が整っていなくて困った」という声も多く寄せられていますので、それぞれの特徴を簡単にご説明します。
VPN(Virtual Private Network)は本社やオフィスなどに専用のルーターを設置して、既存のインターネット上に仮想の専用ネットワーク回線を構築することで、安全に安定した通信を行えます。
仮想ネットワークサーバーを設置することにより、接続したい拠点同士を物理的に繋がなくても、ユーザーそれぞれの場所からLAN接続が可能となります。
セキュリティ面では外部からの影響を受けずにデータの送受信を行うために、データのトンネリングを行っているから安全性の高い仮想ネットワークサーバーが実現できます。
リモートデスクトップは離れた場所にあるPC(デスクトップ)を手元にあるPCやタブレット端末から遠隔操作する方法です。社内にあるPCの画面をリモート端末に転送するので、簡単にオフィスで勤務しているのと同じ画面で業務ができます。
リモートデスクトップの導入方法はWindowsなどのOSに搭載されている機能やMicrosoftリモートデスクトップ、Chrome リモートデスクトップなどが一般的によく知られています。
例えばChrome リモートデスクトップなら事前設定やインストールなどを行う必要はなく、ブラウザのChromeとGoogleアカウントがあれば簡単にリモートデスクトップが利用できます。
設定が不要なので無料で利用したいという利用者からの人気が高いですが、既存のサーバーを利用してアクセスを行うので、情報漏洩などのリスクが考えられます。
セキュアブラウザは一般的にインターネットを利用する際のWebブラウザと同等の基本機能を持ち、セキュリティ機能が完備されているから外部からの不正アクセスや情報漏洩を防止できる機能が携わったリモートアクセス方法です。
ブラウザからアクセスできるのでアクセス方法も簡単で、セキュリティ対策をしながらリモートアクセスを行いたいという多くの企業が導入しており、一般的になっています。
個人のPCやスマートフォンなどの端末から社内のPCにアクセスできるため、リモートワークの普及でさらに注目を集めているアクセス方法です。
「リモートアクセス」の選び方は?
リモートアクセスを選ぶポイントは「導入にかかるコスト」や「アクセス方法」を軸として選ぶことをオススメします。
導入時のコストで比べるとリモートデスクトップはChromeリモートデスクトップなどの無料で利用できるツールが多数提供されているため、気軽に導入しやすいです。
しかし、システムの拡張性やセキュリティ対策ができない点がデメリットもありますので、導入を検討する企業が重要視するポイントを押さえてアクセス方法を選定しましょう。
「リモートアクセス」比較検討時の注意点は?
リモートアクセスを導入する際の比較検討時の注意点は「セキュリティ対策」です。
企業の重要なデータや情報を取り扱うわけですから、リモートアクセスを導入する際は万全なセキュリティ対策を行っているツールを導入することをオススメします。
セキュリティ対策が整っていなければ、せっかくリモートアクセスを導入しても外部へ情報漏洩が起きると企業の信用が傷ついてしまいますし、重要なデータが消えてしまうリスクも考えられます。
VPN・リモートデスクトップ・セキュアブラウザの3つを比較すると、セキュアブラウザはアクセスがブラウザのみに限られるため、1番セキュリティ機能が高いと言えるでしょう。
主要な「リモートアクセス」の一覧
「Splashtop」(スプラッシュトップ株式会社)
おすすめ対象者
テレワークを導入したい企業、急なPCシステムへのアクセスにも対応したい方、台風や地震などの災害時の対策を行いたい企業、出先でも社内ネットワークを利用したい方
主要機能
リモートデスクトップ機能、ユーザーアカウントの権限をSSOで一元管理、自動アップデート、画面転送、リモートマイク機能、遠隔操作、アクセス可能時間設定
特徴
距離に影響がなく接続できる、暗号化された高いセキュリティで快適にリモートワークを実現、5ID以上で20%オフ、複数のデバイスに対応可能、OS対応、充実したサポート体制
費用
初期費用、月額費用、その他費用については別途要見積り。
通常価格:1ID 18,000円
※5IDの場合:特別価格72,000円(税別) ※ 10ID以上の場合は25%オフ
無料プランの有無
無料プランなし、無償トライアルあり(30日間)
サポートの有無
サポートあり(カスタマーサポート、電話・メール対応、アプリ診断ツール)
「FortiClient(フォーティネット)」(FORTINET)
おすすめ対象者
社外でも社内ネットワークを利用したい企業、安全にリモート接続を行いたい企業
主要機能
セキュリティ ファブリックの統合、WEBフィルタリングとSAAS制御、ソフトウェアのインベントリ管理、インシデント対応の自動化、SASE、ZTNA
特徴
多要素認証(MFA)を備えたゼロトラストエージェント、EMSによる集中管理、集中的なロギングとレポート、脆弱性エージェントと修正、MFAを備えたSSL VPN、MFAを備えたIPsec VPN、FortiGuard Webフィルタリング、USBデバイス制御、スプリットトンネリング、シングルサインオン(SSO)
費用
初期費用、月額費用、その他費用については要問合せ
無料プランの有無
無料プランなし、無償トライアルなし
サポートの有無
サポートあり(デモ・イベント・セミイナー開催、カスタマーサポート窓口、電話・メール対応)
「リモートアクセス」導入のメリット、デメリット
リモートアクセスを導入するメリット・デメリットについてお話していきます。
リモートアクセスを導入するメリットは次のようなものが挙げられます。
- 業務の効率化
- 働く場所にとらわれない働き方ができる
- 緊急時の対応がスムーズ
リモートアクセスを導入すると自宅やサテライトオフィスなどの社外で社内と変わらない業務ができるので、外部からの遠隔操作ができ業務の効率化と働く場所にとらわれない働き方を実現できます。
また緊急対応で社内のネットワークへのアクセスが必要になった際には、自宅にいながら社内ネットワークにアクセスできるので、スピーディーな対応を行えます。
リモートアクセス導入のデメリットは以下の3点が挙げられます。
- 構築/運用にコストがかかる
- ウイルス感染や情報漏洩のリスクがある
- 通信速度により動作の遅さや遅延が発生する
リモートアクセスを導入する際にセキュリティ対策が整ったリモートアクセスを導入するとなると、サーバーの構築や運用にコストがかかります。また仮想サーバーを設置するVPNや無料で利用できるリモートデスクトップはウイルス感染や情報漏洩のリスクがあります。
また、インターネット通信環境が悪い場合は動作が遅くなってしまうなど、業務中にストレスを感じる可能性もあります。